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28.甥っ子様の変貌と竜ケツの話(側近ガトー視点)
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「確かに人間には好き嫌い、合う合わないはある。けれど、シユはそれがどんな悪人であろうとあんな冷たい顔で悪口を言う子ではなかったはずだ」
辺境伯様は気絶した甥っ子様を抱きしめて呆然としている。それについては私は甥っ子様には興味関心が一切なかったから知らないが、どうも性格が変容しているらしい。
「……ああ」
竜帝様も短くそう答えた。しかし、そのふたりの態度に反旗を翻した人物がいた、そうマイスイートミケだ。
「そうですかにゃ??俺が知る公爵令息はいつもあんなかんじでしたにゃ。特に殿下とは折り合いが悪くていつもいつも嫌なことしてくれていたにゃよ」
「嫌なこと??」
それが信じられないというような顔で辺境伯様が、ミケを見つめている。物凄く人相が悪くなっている辺境伯様に対して、しかしミケはそれに動じることはなくスラスラと言葉を続けた。
「そうですにゃ。大体公爵令息が現れてから王太子殿下の様子が変わったにゃ。具体的には愚かになっていったのにゃ。どう考えてもそれっておかしいですにゃ。あの聡明な殿下がまるでマタタビ廃猫みたいになるなんて、ローズベルのずっと仕業だって思ってましたが、よく考えたら男爵令嬢にそんな伝手が普通あるはずないのですにゃ。だとしたら誰かが故意に王太子殿下に何かしたとしか……」
「嘘だ。シユが、シユが……」
辺境伯様は涙をこぼしながら、気絶している甥っ子様を抱きしめている。色々と混乱しているが私がすべきことは決まっていた。
「竜帝様、私にはこの汚い布の価値がわかりませんが、甥っ子様がこの部屋から持ち出そうとしたものです」
そう言って、竜帝様に汚らしい布を渡す。
「私はこんな汚い布より、ミケパンが欲しいですが……」
「……本当にこれをシユが持ち出そうとしていたのか??」
とても低く怖い声で、竜帝様が私に問いかけた。
「はい」
「……なるほど。ああ、やはり先ほどの件、ガトーではなくシユ側が嘘をついていたのだな」
竜帝様がとても暗く険しい顔になる。具体的には目も声も怖っ!って感じでかなり恐ろしいオーラを放っている。威厳ともいうようなそれは一応竜人の帝らしい覇気でもある。
「なぜ、そう決められたのですか兄上??」
「簡単だ。この布が何かをガトーは知らないし、なんなら必要もないものだからだ」
「その布が何か……ってそれは!!」
驚いたように辺境伯様が目を見開く。
「竜ケツのついた布!?」
「そのフリガナはやめろ。竜血だ。ケツだけ片仮名にするとなんだか……」
「竜の尻みたいですね」
キリっといって尻を向けると、竜帝様の眉間の皺が増えた気がするが気のせいだろう。
「ガトー。いい加減に服を着ろ。今から10秒以内に着ろ。さもなくばお前の竜玉を潰して、竜ケツまみれにしてやろう」
「こわっ!!すぐ着ますにゃ」
「にゃ!?えっ、ガトーしゃんが俺と同じ語尾にゃ」
「……次、ガトーが「にゃ」といったら竜玉の片方を潰す」
「酷い!!冗談じゃないですか。冗談に対して竜人としての尊厳を潰すとか怖いです。横暴です。暴君ドラクロアです。なんか微妙にハバネロみが……」
その言葉を言い終わる前に、本気の竜帝様に竜玉を潰されかけてヒュンとなり、大人しく着替えた結果、なんとか10秒に間に合った。
「竜血を盗もうとしたとなると、例え朕の甥っ子でもシユはただではすまぬ。竜血とはそれは竜人、しいては竜の命ともいえる始祖様の血の付いた布であり、その血を抽出することであらゆる奇跡が呼び覚まされるとされている。しかし、それは諸刃の刃でもある……」
辺境伯様は気絶した甥っ子様を抱きしめて呆然としている。それについては私は甥っ子様には興味関心が一切なかったから知らないが、どうも性格が変容しているらしい。
「……ああ」
竜帝様も短くそう答えた。しかし、そのふたりの態度に反旗を翻した人物がいた、そうマイスイートミケだ。
「そうですかにゃ??俺が知る公爵令息はいつもあんなかんじでしたにゃ。特に殿下とは折り合いが悪くていつもいつも嫌なことしてくれていたにゃよ」
「嫌なこと??」
それが信じられないというような顔で辺境伯様が、ミケを見つめている。物凄く人相が悪くなっている辺境伯様に対して、しかしミケはそれに動じることはなくスラスラと言葉を続けた。
「そうですにゃ。大体公爵令息が現れてから王太子殿下の様子が変わったにゃ。具体的には愚かになっていったのにゃ。どう考えてもそれっておかしいですにゃ。あの聡明な殿下がまるでマタタビ廃猫みたいになるなんて、ローズベルのずっと仕業だって思ってましたが、よく考えたら男爵令嬢にそんな伝手が普通あるはずないのですにゃ。だとしたら誰かが故意に王太子殿下に何かしたとしか……」
「嘘だ。シユが、シユが……」
辺境伯様は涙をこぼしながら、気絶している甥っ子様を抱きしめている。色々と混乱しているが私がすべきことは決まっていた。
「竜帝様、私にはこの汚い布の価値がわかりませんが、甥っ子様がこの部屋から持ち出そうとしたものです」
そう言って、竜帝様に汚らしい布を渡す。
「私はこんな汚い布より、ミケパンが欲しいですが……」
「……本当にこれをシユが持ち出そうとしていたのか??」
とても低く怖い声で、竜帝様が私に問いかけた。
「はい」
「……なるほど。ああ、やはり先ほどの件、ガトーではなくシユ側が嘘をついていたのだな」
竜帝様がとても暗く険しい顔になる。具体的には目も声も怖っ!って感じでかなり恐ろしいオーラを放っている。威厳ともいうようなそれは一応竜人の帝らしい覇気でもある。
「なぜ、そう決められたのですか兄上??」
「簡単だ。この布が何かをガトーは知らないし、なんなら必要もないものだからだ」
「その布が何か……ってそれは!!」
驚いたように辺境伯様が目を見開く。
「竜ケツのついた布!?」
「そのフリガナはやめろ。竜血だ。ケツだけ片仮名にするとなんだか……」
「竜の尻みたいですね」
キリっといって尻を向けると、竜帝様の眉間の皺が増えた気がするが気のせいだろう。
「ガトー。いい加減に服を着ろ。今から10秒以内に着ろ。さもなくばお前の竜玉を潰して、竜ケツまみれにしてやろう」
「こわっ!!すぐ着ますにゃ」
「にゃ!?えっ、ガトーしゃんが俺と同じ語尾にゃ」
「……次、ガトーが「にゃ」といったら竜玉の片方を潰す」
「酷い!!冗談じゃないですか。冗談に対して竜人としての尊厳を潰すとか怖いです。横暴です。暴君ドラクロアです。なんか微妙にハバネロみが……」
その言葉を言い終わる前に、本気の竜帝様に竜玉を潰されかけてヒュンとなり、大人しく着替えた結果、なんとか10秒に間に合った。
「竜血を盗もうとしたとなると、例え朕の甥っ子でもシユはただではすまぬ。竜血とはそれは竜人、しいては竜の命ともいえる始祖様の血の付いた布であり、その血を抽出することであらゆる奇跡が呼び覚まされるとされている。しかし、それは諸刃の刃でもある……」
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