上 下
30 / 77

26.ミケパンを奪うものは許すまじ!!ってあれ??(側近ガトー視点)

しおりを挟む
「……不潔なマタタビ玄関マット竜人のことはほっとくとして、今開かずの間といいかけなかったか??」

「そうですにゃ!!竜帝陛下大変でございますにゃ、あの部屋の前に不審な男がおりまして……」

ミケの愛くるしい発言に竜帝様の様子が明らかに変わる。開かずの間とは、竜帝様の番様が保護監禁されている部屋のことである。

厳重な魔法がかけられていて簡単にひらいたりはしないが、それでも

「すぐ行く。後、不潔なマタタビ玄関マット竜人はいい加減に朕の下半身から離れろ。大切なことだから言うが朕は下半身に大切なものをしまうタイプの竜人ではないので、さっきからお前が触っているそれは……」

「……手を洗ってきます」

「ついでに服も着て来い。さすがに全裸はなんかダメな変態っぽいからな」

「そうだ。服も着ろ。ヴィクトール、ダメな変態っぽいんではなく、今のあいつはダメな変態マタタビ竜人だ」

背後から、竜帝様の情け容赦ない言葉という現実が突きつけられて私は、ビクン、もとい猛省した。これでは愛するミケからとても怖い目で見られ続けてしまう。毛虫でも見るみたいなあの目で見られるとさらにビクンビクンしてしまうし、なんなら次いでに踏んでほしくなるが、ミケから信用されなくなるのは流石にダメだと私でも分かるので、一旦紳士らしく服を着てから汚名挽回もとい名誉挽回、汚名返上しなければ。

そう意気込んで一度執務室を出てから手洗い場に行く。手洗い場は中庭にあるおかげで開けていて、城の部屋をぐるりと見渡せるような作りになっていた。

竜帝様の大切な何か(意味深)を触ってしまったので、入念に手を洗ってやっと服を着ようと決意した時だった。

先ほどミケが開かずの間に不審な男がいるということで、執務室には今は無人のはずだ。それなのに、その扉が開いたのだ。

(!!なんだ、これはポルターガイストか??)

そう考えたが、その考えが間違いだと分かる。そこからひとり見覚えのある人物が顔を出したのだ。

甥っ子様だ。しかもその手に何か持っている。遠すぎて分からないが布のように見えた。私の第6感辺りが瞬時にひらめく。

(間違いない、あれは……ミケパン!!)

私が寝ている間に奪われた秘宝。何故甥っ子様が持っているかわからないが、アレは私のものだ。取り返さないといけない。

咄嗟に私の体は動いていた。服を着るのを忘れて全裸で風になった私は甥っ子様の背後に躍り出て、驚いて逃げようとしたその体を卍固めにした。

「その手にあるものを返してください!!甥っ子様と言えど窃盗は犯罪です」

「……っう!!ってなんで全裸なの。ちょ、汚い。えっやめてよ僕の首の後ろになんか嫌な感触があるのだけど」

「そんな些事は気にしてはいけません。それよりその手のものを離しなさい。離さないと首の後ろのものをより食い込ませて……」

「わ、わかったよ!!」

ショタな甥っ子様が、長身で整った筋肉を持つ銀髪碧眼のイケメン(ただし全裸)の私に技を掛けられたら勝てるわけがない。

「首の後ろが気持ち悪い」とか「早くお風呂入らないとマタタビ竜人のアレに触れていた部分から腐る」とか酷いことを言っている甥っ子様だが、一応その手のものは奪い返せた。

しかし、それは薄汚いハンカチのような布で、なぜか血が付いていた。そうミケパンではなかった、ガッテム。

「ねぇ、返したから帰っていいでしょう??」

一応、まだ拘束していた甥っ子様が嫌そうな顔で言った。しかし、あくまで手の中のものを返しても窃盗を行おうとした事実は変わらない。

「だめです。窃盗未遂の現行犯ですので竜帝様に沙汰を頂く必要があります」
しおりを挟む
感想 42

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

ヤクザと捨て子

幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子 ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。 ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

幸せな番が微笑みながら願うこと

矢野りと
恋愛
偉大な竜王に待望の番が見つかったのは10年前のこと。 まだ幼かった番は王宮で真綿に包まれるように大切にされ、成人になる16歳の時に竜王と婚姻を結ぶことが決まっていた。幸せな未来は確定されていたはずだった…。 だが獣人の要素が薄い番の扱いを周りは間違えてしまう。…それは大切に想うがあまりのすれ違いだった。 竜王の番の心は少しづつ追いつめられ蝕まれていく。 ※設定はゆるいです。

悪役令息に転生しましたが、なんだか弟の様子がおかしいです

ひよ
BL
「今日からお前の弟となるルークだ」 そうお父様から紹介された男の子を見て前世の記憶が蘇る。 そして、自分が乙女ゲーの悪役令息リオンでありその弟ルークがヤンデレキャラだということを悟る。 最悪なエンドを迎えないよう、ルークに優しく接するリオン。 ってあれ、なんだか弟の様子がおかしいのだが。。。 初投稿です。拙いところもあると思いますが、温かい目で見てくださると嬉しいです!

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない

迷路を跳ぶ狐
BL
 自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。  恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。  しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

処理中です...