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18.甥っ子の尻を狙っている系の叔父(側近ガトー視点)

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「……シユがそんなことを言ったのか」

竜帝の執務室でその言葉を紡いだ時の竜帝様の様子は悲しみに満ち溢れていた。そこにあるのは最愛の番への愛と、子供のように愛していた甥っ子からの心ない言葉に傷ついている元千年童帝様がいた。

自身のやっと見つけた愛しい番がただでさえ呪われて、可哀そうな状態でそれをただただ見ている変態プレイを続けるよりほかない竜帝様が、さらに追い打ちをかけられている状態である。

「はい、流石にいくら甥っ子様でも番殺しを口にするのは……」

「許されない行為だな。あまりやりたくないことだが……シユがその件を持ち出しかねないなら朕にも考えがある」

その目は本気だった、あまりに本気すぎて目が怖いくらいの表情を浮かべている。

「考え……なるほど、甥っ子様を全裸に剥いてそのまま帰らせるとかですか??先日パンツを無理やり脱がせた竜帝様なら可能でしょうね。前回はただ番の臭いもといにおいのするものを持っていただけだからパンツだけで許されましたが、今回は殺害予告ですから、すべての衣を剥がれてもしかたありません」

「すべての衣というとなんだかエビフライとかみたいだからやめろ。後、朕はシユをストリーキングにするつもりはない。もっと根本的に解決する策がある。あいつを、を呼んだ」

その言葉に、私は思わず目を見開いた。

我が国は帝国、つまり複数の属国からなる国である。その国の辺境、つまり国境とは無数にあるのだが、その全てをただひとりで守り続けている狂人、もとい強靭な男こそ我が帝国の辺境伯であり、竜帝様にとっては弟である。

竜帝様は3人兄弟の長男であり、元千年童帝、次男は公爵で甥っ子様の父親、そして、三男が戦闘狂もとい辺境伯様である。

なお、次男以外の長男と三男に番はいなかった。正確には三男である辺境伯様曰くは「俺には番はわかっている。わかっているけど、手をだせない。色々あるんだ!!」などと言って私と元童帝陛下とは違うのだと日々いっていた。

けれど、私には分かっている。戦闘狂で脳筋の辺境伯様にもし番が本当にいたならば、多分フィーバーで国ひとつくらいはやりすぎで焦土にするはずだ。それをしていないということは本当はいないけど見栄で言っていただけだろう。

しかし、その辺境伯様を呼んでどうして、甥っ子様の件が解決するのか分からず首を傾げる。

「あの……辺境伯様を呼ぶ意味とは……」

「あいつは朕以上に、シユを愛している。そのシユが番を見つけて婚約した」

「それは、喜ぶんじゃ……」

番を見つけるということは、竜人にとっては最大の慶事である。それも可愛がっている甥っ子の番が見つかったなら喜ぶのではと思ったが、邪悪な顔で笑う竜帝様の感じからはどうも違うらしい。

「あいつは、シユをそれは心から愛している。よく口癖で「ああ、可愛いシユ。尻にいれたい、いや、尻に挿入したいくらい可愛い。ただ、まだシユは小さいから俺のははいらん。我慢しないといけない」とか言っていた。ちなみに俺が、あいつを辺境伯にしたのは戦闘狂だけでなく、甥っ子の貞操を守るためでもあった。けれど、シユが朕の愛する番を殺そうとするなら、仕方ない」

「……つまり、辺境伯様は実の甥っ子の尻をねらっているのですか??」

「その通りだ。大丈夫。あいつも少しは辺境で戦うことで己を律し……」

何か竜帝様が言いかけた時だった。突然、部屋の中で大きな音、具体的には爆発音が響いた。そして立ち上る爆炎の中、ひとりの人物がずかずかとこちらへ歩いてきた。

「兄上!!久々ですね!!」

真っ赤な炎のような髪に、ひとみはその真逆の冷たいアイスブルーを湛えた、長身で筋肉質な男。

「……静かに瞬間移動を使えないのか」

「いや、なんでかしらんが、俺が使うと爆発してしまう。兄上みたいにスマートにはいかんな」

そういって豪快に笑う彼こそが、甥っ子の尻を狙っている系の叔父で竜帝様の弟の辺境伯ヴィクトール様だ。
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