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第五章:真実の断片と
92.太陽の国と月の国と不幸令嬢02
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「その通り。そして、彼は我々とある交渉も同時に行っている。しかし、それについては現在保留している。もしそれを受け入れるとアトラス王国は最早王国としての機能を失いかねない」
その言葉はルーファスには驚きだった。自身の権利を放棄するに値するだろう打診をしているというアトラス王国の王太子。
(一度直接話をしたい……)
正直ルーファスはかの国の王族となるべく関わり合いにはなりたくない。ただ、レミリアを救うために無理やりにでも接しているのが実情だ。しかし、かの王太子は何か違う予感がした。だからこそ直接見極めて今後の相談をしたいと考えた。
「なるほど、話は分かりました。出来れば僕もアトラス王国の王太子殿下とは直接話してみたい」
「そうね、ルー。私もクレメンテ殿下にはお礼を言わないといけない」
ルーファスの言葉にレミリアが何故か頷く。レミリアは彼とは面識があるはずだ。ならば少し聞いてみたい気もする。彼女から見た彼の印象を。
「とりあえず、有力な協力者を得ている中で、現在、サンソレイユ帝国内の隠れ家が改められているだろう。それにより、第2王子を捕縛できればまず、ひとつめのミッションをクリアできるし、それにより、サンソレイユ帝国の現行陛下のつかえも取れそうだ」
「つかえ??」
「……今回レミリアの体が略奪された件には、陛下の妻のひとりがかかわっている。陛下はかの妻のこと、私から見ても異母兄弟の母である彼女を大変心配している。だからその安全の確保ができればこちらとしても安心できる」
そう答えたカールの様子は家族を心配する親類そのものだった。ルーファスには異母兄弟もましてや父の後妻もいない。ムーンティア王国では一夫一妻制だ。しかし、サンソレイユ帝国では一夫多妻制、ハーレムをとるとは聞いていた。だからこそ、カールはレミリアのことも大きな家族のひとりとして考えて現在も手を貸してくれている。
彼等にとっての家族とはルーファスが考えるよりはるかに明るくあたたかいのかもしれない。
(過ちを許せるということは家族でも難しいのに、カール殿下はそれを受け入れている。ああ、やはり太陽の血筋が僕には……)
「殿下、我々は我々でしかありません。月は太陽の光で輝くけれど、太陽は月の光では輝けない、その性質を入れ替えることはできないのです」
ヨミが悲し気にそう言ってルーファスを自然と慰めた。月が太陽になれないのも憧れるのも仕方のないことだ。けれど月は月らしくあるべきなのだ。そう言っているような気がルーファスはした。
その言葉はルーファスには驚きだった。自身の権利を放棄するに値するだろう打診をしているというアトラス王国の王太子。
(一度直接話をしたい……)
正直ルーファスはかの国の王族となるべく関わり合いにはなりたくない。ただ、レミリアを救うために無理やりにでも接しているのが実情だ。しかし、かの王太子は何か違う予感がした。だからこそ直接見極めて今後の相談をしたいと考えた。
「なるほど、話は分かりました。出来れば僕もアトラス王国の王太子殿下とは直接話してみたい」
「そうね、ルー。私もクレメンテ殿下にはお礼を言わないといけない」
ルーファスの言葉にレミリアが何故か頷く。レミリアは彼とは面識があるはずだ。ならば少し聞いてみたい気もする。彼女から見た彼の印象を。
「とりあえず、有力な協力者を得ている中で、現在、サンソレイユ帝国内の隠れ家が改められているだろう。それにより、第2王子を捕縛できればまず、ひとつめのミッションをクリアできるし、それにより、サンソレイユ帝国の現行陛下のつかえも取れそうだ」
「つかえ??」
「……今回レミリアの体が略奪された件には、陛下の妻のひとりがかかわっている。陛下はかの妻のこと、私から見ても異母兄弟の母である彼女を大変心配している。だからその安全の確保ができればこちらとしても安心できる」
そう答えたカールの様子は家族を心配する親類そのものだった。ルーファスには異母兄弟もましてや父の後妻もいない。ムーンティア王国では一夫一妻制だ。しかし、サンソレイユ帝国では一夫多妻制、ハーレムをとるとは聞いていた。だからこそ、カールはレミリアのことも大きな家族のひとりとして考えて現在も手を貸してくれている。
彼等にとっての家族とはルーファスが考えるよりはるかに明るくあたたかいのかもしれない。
(過ちを許せるということは家族でも難しいのに、カール殿下はそれを受け入れている。ああ、やはり太陽の血筋が僕には……)
「殿下、我々は我々でしかありません。月は太陽の光で輝くけれど、太陽は月の光では輝けない、その性質を入れ替えることはできないのです」
ヨミが悲し気にそう言ってルーファスを自然と慰めた。月が太陽になれないのも憧れるのも仕方のないことだ。けれど月は月らしくあるべきなのだ。そう言っているような気がルーファスはした。
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