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第四章:太陽の国と皇太子

64.海の王子と不幸令嬢

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「レミリア……やっと再会できたね」

ベッドの上で眠る、レミリアの髪を撫でながら、どこか恍惚とした表情でクリストファーは呟いた。やっとのことで、レミリアを自身の元へ取り戻すことができた高揚感に浸っていた。

クリストファーはサンソレイユ帝国に来てから何度も、正式な手続きでレミリアに会いたい、見舞いたいと申請したが、その申請が通らなかった。

その間にも、クリストファーの狂気は増幅し、ついには恐ろしい計画を実行に移してしまった。そのために幸せに暮らしていた自身の叔母であるアトラス王国の元王女を利用した。

叔母は自身と同じ「太陽狂い」だったが、女であったため、太陽の王族のハーレムに嫁ぐことで精神を安定させることができ、且つ子宝にも恵まれていた。

しかし、彼女にはひとつ大きな弱みがあった。彼女は確かに王女だったが、その母親の身分は平民であった。本来なら、王女になることは難しいが先代国王が王女の母を異常に愛していたため、貴族に強引に輿入れさせて婚姻を結び、結果的に王女という肩書になったのだが、先代王はかの王女がサンソレイユ帝国に嫁いだ後に、王女の母を捨て元の平民に身分は戻った。だから彼女はアトラス王国へ戻れば王族ではない。

そのことについてサンソレイユ帝国の彼女の夫である、皇帝は知らない。そして彼女も自身の出自を明かすことができなかった。

(もし、私が平民の娘だとしれたら、ルイ様からの寵愛を失い、最悪捨てられてしまう)

脅迫観念が彼女を蝕む。そこにクリストファー漬け込み、彼女とその息子がレミリアの治療時にレミリアを攫うように指示したのだ。

結果、うまくいき今はサンソレイユ帝国でのアトラス王国の諜報活動用の拠点に身を潜めていた。

「レミリア、僕はどんなことをしたって君を離さない。愛おしい僕の太陽」

その唇に口づけをしたいと思った。いままでずっと我慢していた欲望が眠っているレミリアを見て爆発しかけている。

「レミリアと僕は絶対に結婚する。そうしたら君のこの美しい体も僕だけのものになる」

指で柔らかな唇に触れるだけで、狂おしい感情が沸き立つ。

「彼女は僕だけのものだ。誰にも渡したりするものか」

(それは本当にお前の感情か?)

しかし、その高揚感の中で何か奇妙な引っかかりを覚える。レミリアを誰よりも愛しているはずなのに何故かそれが正しくないと自身の中にいる何かが告げるのだ。

「当たり前だ。僕はレミリアをずっと結婚することだけを夢見てきた」
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