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番外編:グレゴリー編
12.とりあえず目的は果たした(グレゴリー(狂信者)編)
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「皇帝陛下、戻りました」
深々と自身の王に頭を下げたリーンハルト。恭しいその態度とさっきまでのヤツの態度が重ならない。
「ああ、戻ったか。しかし、まだ絆は結んでいないのだな」
何故かイガルク帝国の皇帝が僕をそのガルシア公爵そっくりの青い瞳で見つめて来る。その瞳を見返して首を傾げると彼はそのまま吹き出した。
(ガルシア公爵と似ているがハムスターにはならないらしい)
同じ場所に居るガルシア公爵を見ると、ガルシア公爵は欲張ったハムスターのように頬袋を膨らませていたので、
顔は似ているが性格はわりと違うようだと判断した。
「いや、うむ。笑っては悪いな。リーンハルト、お前にはしばらく休暇をやろう。そうだな、プロキオン王国にでも行って婚約者殿と親睦を深めて来い。具体的には契りくらいは結んでくるとよい」
「ありがたき幸せでございます」
そう答えている横顔は凛々しくも見えるから悪くないと思いかけたけれど一旦その想いは胸にしまっておいた。そんな姿を見たマーティンが、なんだか納得したように言った。
「リーンハルトしゃんとグレゴリーが婚約したってびっくりしたんよ。でも、うん。ある意味お似合いだとは思った」
「それ分かる。何だろう。狂気と狂気がぶつかることでこうなんか安心感が逆にあるよね」
マーティンが言っている意味は1マイクロミリも理解できないが、ルーク殿下のお言葉には同意だ。とりあえず僕といると安心するということか。とても嬉しい。
「それなんよ。なんだっけマイナスとマイナスと足すとプラスになる感じの……」
「バカマーティン。マイナスは足し算してもマイナスだ。マイナスをプラスにするのは掛け算だ」
思わずいつもの癖でツッコミを入れると、ルーク殿下がとても生ぬるい瞳で何か察したようにお言葉を紡いだ。
「つまり、リーンハルトさん×グレゴリーならプラスになるんだね」
神のお言葉は崇高すぎてなんだか意味は分からなかったが、ルーク殿下はこの世の心理なので、僕は頷く。
「……ルーク殿下がおっしゃるならマイナスもプラスです」
「なんなんよ!!相変わらずグレゴリーは狂信者なんよ」
僕たちがまるでルーク殿下が王太子だった頃のように話しているのを、リーンハルト、皇帝、ガルシア公爵が三者三様で見ている。
リーンハルトはあの砂糖菓子を煮詰めつくしたような甘い甘い狂った目で見ている。恐怖しかない。皇帝は何故かドヤ顔でこちらを見ている意味が分からない。ガルシア公爵は仲間になりたそうにこちらを見ているが、仲間にする気はないので目を逸らす。
「僕のグレッグたん尊いでしょう。あのこうツンデレとチワワが融合してなんかすごい尊いだけのパンダみたいななんかこうすごいんですよ」
「ははは、リーンハルト。お前壊れているぞ。まぁ、元から壊れていたが磨きがかかって正直ヤバイな」
「……ルークをあんなふうに笑わせるなんて、僕だってマクス×ルークって言われたい」
色々カオスだが、元々親しかった友人や神と再会し、目的を果たしたうえに、婚約までした僕は一応幸せだろう。
その混沌を胸に、マーティン以外は、プロキオン王国に帰国することになった。
*****************************
※短いですがここで切ります。大体後2話くらいで終わるはずです……どうぞよしなに。
深々と自身の王に頭を下げたリーンハルト。恭しいその態度とさっきまでのヤツの態度が重ならない。
「ああ、戻ったか。しかし、まだ絆は結んでいないのだな」
何故かイガルク帝国の皇帝が僕をそのガルシア公爵そっくりの青い瞳で見つめて来る。その瞳を見返して首を傾げると彼はそのまま吹き出した。
(ガルシア公爵と似ているがハムスターにはならないらしい)
同じ場所に居るガルシア公爵を見ると、ガルシア公爵は欲張ったハムスターのように頬袋を膨らませていたので、
顔は似ているが性格はわりと違うようだと判断した。
「いや、うむ。笑っては悪いな。リーンハルト、お前にはしばらく休暇をやろう。そうだな、プロキオン王国にでも行って婚約者殿と親睦を深めて来い。具体的には契りくらいは結んでくるとよい」
「ありがたき幸せでございます」
そう答えている横顔は凛々しくも見えるから悪くないと思いかけたけれど一旦その想いは胸にしまっておいた。そんな姿を見たマーティンが、なんだか納得したように言った。
「リーンハルトしゃんとグレゴリーが婚約したってびっくりしたんよ。でも、うん。ある意味お似合いだとは思った」
「それ分かる。何だろう。狂気と狂気がぶつかることでこうなんか安心感が逆にあるよね」
マーティンが言っている意味は1マイクロミリも理解できないが、ルーク殿下のお言葉には同意だ。とりあえず僕といると安心するということか。とても嬉しい。
「それなんよ。なんだっけマイナスとマイナスと足すとプラスになる感じの……」
「バカマーティン。マイナスは足し算してもマイナスだ。マイナスをプラスにするのは掛け算だ」
思わずいつもの癖でツッコミを入れると、ルーク殿下がとても生ぬるい瞳で何か察したようにお言葉を紡いだ。
「つまり、リーンハルトさん×グレゴリーならプラスになるんだね」
神のお言葉は崇高すぎてなんだか意味は分からなかったが、ルーク殿下はこの世の心理なので、僕は頷く。
「……ルーク殿下がおっしゃるならマイナスもプラスです」
「なんなんよ!!相変わらずグレゴリーは狂信者なんよ」
僕たちがまるでルーク殿下が王太子だった頃のように話しているのを、リーンハルト、皇帝、ガルシア公爵が三者三様で見ている。
リーンハルトはあの砂糖菓子を煮詰めつくしたような甘い甘い狂った目で見ている。恐怖しかない。皇帝は何故かドヤ顔でこちらを見ている意味が分からない。ガルシア公爵は仲間になりたそうにこちらを見ているが、仲間にする気はないので目を逸らす。
「僕のグレッグたん尊いでしょう。あのこうツンデレとチワワが融合してなんかすごい尊いだけのパンダみたいななんかこうすごいんですよ」
「ははは、リーンハルト。お前壊れているぞ。まぁ、元から壊れていたが磨きがかかって正直ヤバイな」
「……ルークをあんなふうに笑わせるなんて、僕だってマクス×ルークって言われたい」
色々カオスだが、元々親しかった友人や神と再会し、目的を果たしたうえに、婚約までした僕は一応幸せだろう。
その混沌を胸に、マーティン以外は、プロキオン王国に帰国することになった。
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※短いですがここで切ります。大体後2話くらいで終わるはずです……どうぞよしなに。
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