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番外編:グレゴリー編
10.久遠の最果てまで01(リーンハルト視点)(グレゴリー(狂信者)編)
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「そうです、グレッグは僕が世界で一番幸せにしますのでご安心ください」
半ば強引だったことは理解している。けれど嘘偽りのない気持ちを宣言すると、ちょっと恥ずかしそうなグレッグが見れた気がした。
僕にとって、そんな顔をグレッグにさせられただけでも上出来だ。僕の最愛の攻略は難しい。しかし、この段階で僕がグレッグと結婚できるのは過去最短記録のはずだ。
(ああ、グレッグの命が尽きるその日まで、1マイクロ秒だって無駄にするものか、全てが尊いのだから……)
なぜならはじめに絶対に僕以外の推しが存在しているからだ。
はじめのベーオウルフ王は死の間際のほんのひと時以外はずっと、狂った竜王を追い求めて僕に目をくれることはなかった。けれど、それでも僕は……。
「ありがとう、リーンハルト」
そう言って、最期は僕を瞳に映してこと切れたその人を覚えている。そして、その瞬間に僕は悟った。「彼こそが僕の最愛だった」と。
これほど絶望したことはない。元々、人と妖精のハーフである僕は人より妖精よりであり人間的な感情も感傷もなかったのに、その最期を看取ってからもはや戻ることのないその人だけが心から消えなくなってしまったのだ。
来る日も来る日ももう目覚めない人の霊廟でただ、泣いていた。涙を零したのはそれがはじめてだったけれどそれこそ死ぬ日まで泣いていようと思っていたくらいだ。
そんなある日、霊廟にあり得ないような存在が現れた。漆黒の髪に黄金の瞳をしていて2メートル近い身長のその存在からは人間ではないものの気配が漂っていた。
具体的には神様というものだと分かった。
「……ベーオウルフ、正直僕に付きまとっていた時は鬱陶しいなと思ったこともたくさんあったけれど、お前のおかげで堕ちてしまった息子を救うことができたのだ、感謝をしないといけないね」
何かが切れる音がした。
「お前が、お前のせいで、ベーオウルフ王は……」
それが無駄なのは分かっていた。何故なら神に逆らった存在はみな破滅を迎えるだけだから。それでも許せなかった。愛する人が死ぬ原因を作った存在が。
涙を流しながら、気付いたら呪いの魔法を詠唱していた。それをベーオウルフが、最愛が許すことなどないと知っていたのにだ。
当然、あっさりと神はその魔法を消した。そしてこの後生きていても見たことの内容な常軌を逸脱したような笑みを浮かべた。
「まさか神を呪おうとするなんて、中々だね。でもそういう狂気は嫌いじゃない。最愛のためにやらかしちゃうことってあるよね。僕も愛おしい番のためならなんでもしてしまうからね、ちょっと逸脱していると言われる変態行為とか……あ、今のは忘れて。折角カッコイイ感じだったのに台無しになったから。うん。でも神を呪うのはだめだ、だからお前にも呪いをあげよう」
そう言った瞬間なにかが、僕を狂わせた。そして、それっきり竜王は姿を消した。
(なんだったんだ??)
その感覚の正体は後日僕が最愛を追うために自殺を図った日に判明した。死ねないのだ。
どんなに自信を切り刻もうがどうしようが決して死ねなかった。
「嘘だ、こんなの……」
絶望する僕の耳にまたあの変態竜王の声が聞こえた。
「お前は、僕の呪いで死ぬことを奪った。世界が終わる日まで永遠に生きるそれが絶望であっても。けれどひとつだけ救いがあるのなら、お前の最愛の魂は輪廻してくる、だからその魂に永遠に何度でも出会うことはできるよ」
こんなに恐ろしいことはないと後に僕は思った。そう、それは最愛を失い続ける地獄のはじまりだったのだから。
半ば強引だったことは理解している。けれど嘘偽りのない気持ちを宣言すると、ちょっと恥ずかしそうなグレッグが見れた気がした。
僕にとって、そんな顔をグレッグにさせられただけでも上出来だ。僕の最愛の攻略は難しい。しかし、この段階で僕がグレッグと結婚できるのは過去最短記録のはずだ。
(ああ、グレッグの命が尽きるその日まで、1マイクロ秒だって無駄にするものか、全てが尊いのだから……)
なぜならはじめに絶対に僕以外の推しが存在しているからだ。
はじめのベーオウルフ王は死の間際のほんのひと時以外はずっと、狂った竜王を追い求めて僕に目をくれることはなかった。けれど、それでも僕は……。
「ありがとう、リーンハルト」
そう言って、最期は僕を瞳に映してこと切れたその人を覚えている。そして、その瞬間に僕は悟った。「彼こそが僕の最愛だった」と。
これほど絶望したことはない。元々、人と妖精のハーフである僕は人より妖精よりであり人間的な感情も感傷もなかったのに、その最期を看取ってからもはや戻ることのないその人だけが心から消えなくなってしまったのだ。
来る日も来る日ももう目覚めない人の霊廟でただ、泣いていた。涙を零したのはそれがはじめてだったけれどそれこそ死ぬ日まで泣いていようと思っていたくらいだ。
そんなある日、霊廟にあり得ないような存在が現れた。漆黒の髪に黄金の瞳をしていて2メートル近い身長のその存在からは人間ではないものの気配が漂っていた。
具体的には神様というものだと分かった。
「……ベーオウルフ、正直僕に付きまとっていた時は鬱陶しいなと思ったこともたくさんあったけれど、お前のおかげで堕ちてしまった息子を救うことができたのだ、感謝をしないといけないね」
何かが切れる音がした。
「お前が、お前のせいで、ベーオウルフ王は……」
それが無駄なのは分かっていた。何故なら神に逆らった存在はみな破滅を迎えるだけだから。それでも許せなかった。愛する人が死ぬ原因を作った存在が。
涙を流しながら、気付いたら呪いの魔法を詠唱していた。それをベーオウルフが、最愛が許すことなどないと知っていたのにだ。
当然、あっさりと神はその魔法を消した。そしてこの後生きていても見たことの内容な常軌を逸脱したような笑みを浮かべた。
「まさか神を呪おうとするなんて、中々だね。でもそういう狂気は嫌いじゃない。最愛のためにやらかしちゃうことってあるよね。僕も愛おしい番のためならなんでもしてしまうからね、ちょっと逸脱していると言われる変態行為とか……あ、今のは忘れて。折角カッコイイ感じだったのに台無しになったから。うん。でも神を呪うのはだめだ、だからお前にも呪いをあげよう」
そう言った瞬間なにかが、僕を狂わせた。そして、それっきり竜王は姿を消した。
(なんだったんだ??)
その感覚の正体は後日僕が最愛を追うために自殺を図った日に判明した。死ねないのだ。
どんなに自信を切り刻もうがどうしようが決して死ねなかった。
「嘘だ、こんなの……」
絶望する僕の耳にまたあの変態竜王の声が聞こえた。
「お前は、僕の呪いで死ぬことを奪った。世界が終わる日まで永遠に生きるそれが絶望であっても。けれどひとつだけ救いがあるのなら、お前の最愛の魂は輪廻してくる、だからその魂に永遠に何度でも出会うことはできるよ」
こんなに恐ろしいことはないと後に僕は思った。そう、それは最愛を失い続ける地獄のはじまりだったのだから。
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