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リクエスト作品(IF等)
01.壊したルビー【前編】(レイズ(兄上)×ルーク)(レイズ(兄上)視点)
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※こちらは前提としてルークがかゆきもされたIF世界のお話しとなり、本編とは全く関係ありません。
ルークが兄上に例の「王都の外れにあるタウンハウス」に監禁されて愛されているだけのお話しです。おじたん以外とエッチなことするルークが許せないよ!!という方にはオススメできない作品です。またこちらリクエスト頂いたCPでの作品となります。
***************************************
絢爛豪華な城の謁見の間で、父である陛下から王冠を引き継ぐ。それは私の即位式だった。沢山の歓声と祝福の声の中で、一番欲しい声を聞くことはないと分かっている。
私は無難な表情を浮かべて、無難な話をして、そして傍らに控える元々ルークの婚約者であり、今は私の妃となったナターリエと共にそれぞれの玉座に座った。
もっとも輝かしい栄光を手に入れたというのに、私の心が明るくなることはなかった。
その栄光は本来、ルークが、私の愛しい弟が手に入れるべきものだった。けれど弟は私の横で何食わぬ顔をしている淑女の生家である公爵家により排除された。私が公爵家の不正を暴いたことで王籍には復権したが、そのまま臣下降下し今は王都の外れにあるタウンハウスに「フェルナンデス公爵」として暮らしている。
それは表向きで、フェルナンデス公爵家は実質ヴェルダンディ公爵家が合わせて管理を行っており、ルークがすることは何もない。そもそもルークはあの断罪事件後しばらく辺境の地で平民として生きた際に虐待を受けて、精神に異常をきたして療養しているということになっている。
実際は、私が弟を王籍に復権させた日から祝福の影響で完全におかしくなり、あのタウンハウス、「鳥かごの館」に囲っているというのが真実だ。
あの日、以降ルークは私を見るとそれはそれは蕩けるような笑みを浮かべて「兄上、いえ、レイズお兄たん。僕はお兄たんが好きです」と甘えた声で言ってくれるようになった。
そのルークの愛らしさ、長年望んだ姿に嬉しくてたまらずさらにルークを自身の望む存在にしたくてその日から調教を始めた。
(ああ、可愛いルークに早く会いたいな)
即位式の後は、晩餐もあるし、その後もたくさんの催しや仕事があり中々ルークの、最愛の元へ行けないのが辛いが、私は王となったのでそれらを放棄する訳にはいかない。
けれど、頭の中に浮かぶのは愛おしいルークの姿ばかりだった。甘い声で自身に愛されて幸せそうにする姿を思い出すだけで胸がじんわりとあたたかくなる。
そう考えていた時、父上、前陛下がどこか悲し気な表情を浮かべながら話しかけた。
「レイズ、いや、新国王陛下ともう呼ばないといけないな。即位おめでとう」
「ありがとうございます」
「これからこの国はレイズ陛下が導くことになる。賢く才能もある陛下に王位を譲れたことを後悔はしていない、ただ……」
どこか遠くを見るように、ルークとよく似たルビー色の美しい瞳が私の背後を見ていた。その理由を問うことはない。何が言いたいのかなんとなく察した。
「前国王陛下、お言葉を頂きありがとうございます。私は今後、王として民に尽くし、そしてこの国を繁栄させる所存でございます」
けれど、それを言わせるつもりはなかった。その空気を察したように父上は別の言葉を紡いだ。
「……ああ。がんばってくれ。表舞台からは去るがレイズ陛下の繁栄をお祈りしよう」
立ち去る父上が小声で、「それが君の幸せなら、何かを言う筋合いはないか……」と囁いたのが聞こえたが、それを掘り下げて聞くつもりもなかった。
「レイズ陛下、ご即位おめでとうございます」
側近のエドワードが自身も礼服に身を包み臣下の礼を取る。晴れやかな笑顔を浮かべる彼に自身と同じ闇を感じた。彼も順調に最愛の実の兄を調教できていると聞いている。私とエドワードはある意味どこまでも共犯者であった。
同じように実の兄弟を愛しているという背徳的な共犯者。
「ああ。ありがとう」
「レイズ殿下は幸せですか、僕はとても幸せです」
真っ暗な闇のように光のない瞳だったが、その顔は嬉しそうに笑っている。
(壊れているな。まぁ私も似たようなものだな)
ひとつ違うとすれば、壊れているのが彼自身もだということだ。私は正気だ。ルークは狂気におかされているが。私とルークも幸せである。
「ああ。もちろん」
その答えに満足したようにエドワードはもう一度礼をしてその場を立ち去る。その後ろ姿に何故か言い知れない不安を感じた。
ルークが兄上に例の「王都の外れにあるタウンハウス」に監禁されて愛されているだけのお話しです。おじたん以外とエッチなことするルークが許せないよ!!という方にはオススメできない作品です。またこちらリクエスト頂いたCPでの作品となります。
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絢爛豪華な城の謁見の間で、父である陛下から王冠を引き継ぐ。それは私の即位式だった。沢山の歓声と祝福の声の中で、一番欲しい声を聞くことはないと分かっている。
私は無難な表情を浮かべて、無難な話をして、そして傍らに控える元々ルークの婚約者であり、今は私の妃となったナターリエと共にそれぞれの玉座に座った。
もっとも輝かしい栄光を手に入れたというのに、私の心が明るくなることはなかった。
その栄光は本来、ルークが、私の愛しい弟が手に入れるべきものだった。けれど弟は私の横で何食わぬ顔をしている淑女の生家である公爵家により排除された。私が公爵家の不正を暴いたことで王籍には復権したが、そのまま臣下降下し今は王都の外れにあるタウンハウスに「フェルナンデス公爵」として暮らしている。
それは表向きで、フェルナンデス公爵家は実質ヴェルダンディ公爵家が合わせて管理を行っており、ルークがすることは何もない。そもそもルークはあの断罪事件後しばらく辺境の地で平民として生きた際に虐待を受けて、精神に異常をきたして療養しているということになっている。
実際は、私が弟を王籍に復権させた日から祝福の影響で完全におかしくなり、あのタウンハウス、「鳥かごの館」に囲っているというのが真実だ。
あの日、以降ルークは私を見るとそれはそれは蕩けるような笑みを浮かべて「兄上、いえ、レイズお兄たん。僕はお兄たんが好きです」と甘えた声で言ってくれるようになった。
そのルークの愛らしさ、長年望んだ姿に嬉しくてたまらずさらにルークを自身の望む存在にしたくてその日から調教を始めた。
(ああ、可愛いルークに早く会いたいな)
即位式の後は、晩餐もあるし、その後もたくさんの催しや仕事があり中々ルークの、最愛の元へ行けないのが辛いが、私は王となったのでそれらを放棄する訳にはいかない。
けれど、頭の中に浮かぶのは愛おしいルークの姿ばかりだった。甘い声で自身に愛されて幸せそうにする姿を思い出すだけで胸がじんわりとあたたかくなる。
そう考えていた時、父上、前陛下がどこか悲し気な表情を浮かべながら話しかけた。
「レイズ、いや、新国王陛下ともう呼ばないといけないな。即位おめでとう」
「ありがとうございます」
「これからこの国はレイズ陛下が導くことになる。賢く才能もある陛下に王位を譲れたことを後悔はしていない、ただ……」
どこか遠くを見るように、ルークとよく似たルビー色の美しい瞳が私の背後を見ていた。その理由を問うことはない。何が言いたいのかなんとなく察した。
「前国王陛下、お言葉を頂きありがとうございます。私は今後、王として民に尽くし、そしてこの国を繁栄させる所存でございます」
けれど、それを言わせるつもりはなかった。その空気を察したように父上は別の言葉を紡いだ。
「……ああ。がんばってくれ。表舞台からは去るがレイズ陛下の繁栄をお祈りしよう」
立ち去る父上が小声で、「それが君の幸せなら、何かを言う筋合いはないか……」と囁いたのが聞こえたが、それを掘り下げて聞くつもりもなかった。
「レイズ陛下、ご即位おめでとうございます」
側近のエドワードが自身も礼服に身を包み臣下の礼を取る。晴れやかな笑顔を浮かべる彼に自身と同じ闇を感じた。彼も順調に最愛の実の兄を調教できていると聞いている。私とエドワードはある意味どこまでも共犯者であった。
同じように実の兄弟を愛しているという背徳的な共犯者。
「ああ。ありがとう」
「レイズ殿下は幸せですか、僕はとても幸せです」
真っ暗な闇のように光のない瞳だったが、その顔は嬉しそうに笑っている。
(壊れているな。まぁ私も似たようなものだな)
ひとつ違うとすれば、壊れているのが彼自身もだということだ。私は正気だ。ルークは狂気におかされているが。私とルークも幸せである。
「ああ。もちろん」
その答えに満足したようにエドワードはもう一度礼をしてその場を立ち去る。その後ろ姿に何故か言い知れない不安を感じた。
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