【第1部終了】断罪されて廃嫡された元王子に転生した僕は救国の英雄の叔父に監禁されえげつない目にあうようです

ひよこ麺

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番外編:マーティン編

06.あの時襲っていた刺客の正体を知ったんよ(マーティン(廃嫡フレンズ)編)

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※戦闘描写があるため、血の描写、ケガの描写があります、ご注意ください。


色々見たことないものを見せてもらったり食べさせてもらって、感動していた矢先、庭に居た飼い主しゃんのところに見たことないすごい綺麗な兄しゃんがやってきた。

サラサラの黒い髪に、紫の瞳。カラーリングは若干違うけど、ルークの優しそうでバリ腹黒いお兄しゃんうちのくにのおうたいしでんかにちょっと似ている気がする。

「皇帝陛下、例の連中が……ん?こちらの可愛らしい方は??」

でも、この綺麗な兄しゃんも眼球がおかしいんよ。俺は180㎝あるそこそこ筋肉質な男なんで、可愛いではなくカッコイイが正しいんよ。そもそも男に可愛いは嬉しくないしな。

「ああ、彼は、マーティン。私の番だ」

その言葉に、綺麗な兄しゃんがすごい優しい笑顔になる。綺麗な人の笑顔の破壊力はバリやばい。これがお姉しゃんだったら完全に落ちてた。恋するマーティンが爆誕していた。

優しい笑顔が綺麗な兄しゃんが、僕に恭しく臣下の礼をとる。

「初めまして、マーティン様。僕はリーンハルト。皇帝陛下の側近をしている魔術師です」

「魔術師!!すげぇ、初めて見た。あ、はいけんした!!俺は、マーティンっす、よろしくお願いいたします」

「マルえる、リーンハルトばかり見ていると寂しいからこっちを向いておくれ」

ぐりんって音しそうなくらい俺の首をこちらに回そうとする、飼い主しゃん、流石にそれは痛い。痛みに割と強い自負はあるけどそういうのはだめなんよ。

「飼い主しゃん、首ぐりんはダメなんよ。最悪、すじが伸びてバリ痛いから」

「皇帝陛下、そのようにしては、マーティン様が割とお強いから大丈夫でしたが、ほかの人にはやってはいけません。最悪首がもげる可能性があります」

あれ、俺とリーンハルトしゃんの言い分がだいぶ違う。むしろあれって首もげるほどの力だった??そこまでは強くなかったと思うけど。

「すまない。マルえるが怪我をしたら私は生きていけない」

ふたりに怒られて珍しくシュンとしている飼い主しゃん。整った顔の人ってシュンとしても絵になるからうらやましい。

俺が前にシュンとしてたら、ルークのバリ怖い叔父しゃんには「雨に濡れている子犬」と言われて、ルークには「しわしわのピカチュ〇」って言われた。そう言えばピカチュ〇ってなんだろう。ネズミの一種なんかな。

そういえば、その時にグレゴリーからは「ドブネズミ」って言われたから、ルークのピカチュ〇もネズミの一種かもしれんな。

「番様を見つけられて、皇帝陛下、本当におめでとうございます。お披露目のセレモニーを開かねばと思いますが、その前に例の連中が王宮の家臣に紛れているようです」

「ああ、マルえるに出会った際に沢山の刺客に襲われていただろう?彼らが例の連中だ」

飼い主しゃんはそうとても寂しそうに言った。皇帝陛下なのに刺客に狙われているなんて、何かあるのだろう。

「彼らは、皇帝陛下のことを「化け物」やら「悪魔」と呼び、人の手に治世を戻すべきだとする過激派組織となります。皇帝陛下の力のおかげでこの美しい国が守られていることを1ミリも理解しておらず、都合の悪いことばかり皇帝陛下のせいにしているような輩なのです」

リーンハルトしゃんがめちゃんこ怒っている。怖い。笑っているのに怒っている。こういう顔をルークの優しそうでバリ腹黒いお兄しゃんうちのくにのおうたいしでんかとか弟のテディがするんだけど割と苦手なんよね。だってなんで笑ってるのに怒ってるんだろう。どちらかにした方が絶対、楽なのに。

「皇帝陛下の飼い主しゃんは頑張ってるのに、バリ頭くる連中っすね」

「そうですね。そこで陛下、そいつらをあぶり出すために……」

ドーン!!

リーンハルトしゃんが飼い主しゃんに何か言いかけた時、突然爆音が響いた。

「まさか……ここまで堂々と……」

大勢の刺客に襲い掛かられて、リーンハルトしゃんが魔法で障壁や攻撃をしているけれど、手が間に合っていない。そして、相変わらず護衛どもは全く戦わない。

(実質、ひとりしか働いとらんとかどうなんよ!!)

そんな中、魔法の障壁を抜けた刺客が、突然、飼い主しゃんに襲い掛かろうとシャムシールで切りかかった。

「邪悪なる竜王に鉄槌を!!」

「飼い主しゃん、危ない!!」

咄嗟に俺の体が動く。ルークのバリカッコイイ護衛もできる側近だったから、丸腰だったけど咄嗟に一番ダメージが低いように腕で刀を受けた。当然、血が出たが、相手が剣を使えないうちに、腹を蹴り上げて、その勢いで飛んだシャムシールを手に取る。

「リーンハルトしゃん、助太刀しやす!!」

そのまま、歩み出ようとした時、大気が揺れるような激しい殺気を感じた。その方角を振り返った時、俺は動物的な本能で震えた。

飼い主しゃんの青い目が、まるで鋭利な刃物のような殺気を放っていたからだ。

「……余の番を傷つけてただですむと思うな」
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