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86.最初の男と最後の男
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「レイズ、ルーたんがいくら可愛いからといって、体を撫でまわして誘惑し、キスを強請るのは頂けない。何度も言っているがルークはもう僕の妻だ」
今「ルーたん」って叔父様の口から聞こえた気がするのだけれど……。
全裸で兄上に抱かれてぼんやりしていた僕を、叔父様が素早い速度で歩み寄り取り返す。そして自身の羽織っていた白いマントで、僕の色々が見えないように優しく包み込んだ。その動きの速さに僕も兄上も呆然とする。神速ってヤツである。
「あの、僕の聞き違いでなければルーたんって今、おじたん言いませんでした?」
「ルーク、マクスまたは恥ずかしければだんなさんと呼びなさい。ああ、ルークが心配で「魔導式貞操アナルプラグ改」には音声を収音する効果が付与されているから、そこからずっとふたりの会話は確認していた」
「いや、「魔導式貞操アナルプラグ改」そんな機能までついてるんですか!?それ基本、尻の中にあるんですが……」
尻の中に収音機能付きの物入れているとか、新しいプレイすぎるだろう。聞こえないで良い音まで聞こえてそうで全力で人間の尊厳を失っている気がする。アイデンティティーVS人間の尊厳のバトルがそろそろされかねない。
そんなことを考えていたら、兄上が深いため息をついた。
「叔父上、ルークの同意なく結婚するのは流石にどうかと思います。しかもあんなに大々的に宣言して逃げ場をふさぐなんて」
挑むように兄上が叔父様を睨みつけた。そう言えば兄上は、この間、別れる時に僕を諦めないと言っていたな。あれ本気だったんだ。
「確かに返事を待たずには、婚姻関係を結んでしまったが、それは僕が既成事実をルークとの間に作ったのでその責任をしっかり取るためだ」
既成事実とは、僕と叔父様が結ばれたことを指しているで間違いないだろう。確かに王族は契りを交わした相手と婚姻を結ぶのは一般的ではあるので、一旦ふたりの会話を大人しく聞こうとおもった。
すると兄上の表情が無に変わる。
「叔父上はルークを、ルークの処女を奪ったのですか?」
「そうだ。ルークからちゃんと同意を得てこちらは行っている」
凄い畏まって処女喪失の話されるのが嫌すぎる。そろそろふたりになにか茶々を入れようと思った時だった。
「まぁいい。電撃結婚についてはもう公的に認められてしまったので祝福します。けれど私はルークをまだあきらめていません」
「もうルークが僕だけの花嫁になったというのに諦めないと」
バチバチとふたりの間で見えない火花が散っているようで怖い。さらに兄上は続けた。
「僕はルークの最初の男にはなれなかったけれど、ルークの最後の男になることはできますから。命が尽きる時にルークと居れればそれで上出来だ」
そう答えた兄上の言葉が思わず胸を突き刺す。そこまで想われているのに、僕は今後も兄上に向き合う日が来るのかわからない。それでも兄上は僕を愛し続けるというのだ。
「残念だけれど、僕はルークの全てを君にすら譲る気はない」
「ええ。でも私の方が貴方より長く生きるはずだ」
泥仕合の様相を呈してきたので、そろそろ止めたいと思った、その時兄上が僕の方へ近づいた。
「ルーク、今はまだ愛せなくても良い。けれどせめて覚悟してくれ」
そう低く囁くと僕の額に触れるだけの優しいキスを落とす。その瞬間、叔父様に僕は抱き上げられる。そのまま二人は無言で見つめ合っていたが……
「では、レイズ王太子殿下、失礼いたします」
そうどこか冷たく言って、一度頭を下げた叔父様は、そのままいつものテレポートをした。
(こんな余裕のない顔はじめて見たかもな……)
なんやかんやいつも余裕綽々の叔父様がこんな表情するなんて、少し胸が高鳴ったのは秘密だ。
「家だ、なんだかほっとします……」
気が抜けたのでそう話しかけるが、叔父様はさっきから僕を抱えたままどこかへ脇目もふらずに向かっている。
「……ルーク、すぐに湯あみをしよう」
そう言うが早く、叔父様は僕をいつもと違う浴室へ連れて行った。そこは天然温泉が湧いているのか滾々とあたたかいお湯が沸き出していてすぐ入れるようだ。
(叔父様って案外温泉がすきなのかな……)
そんな呑気な考えは、叔父様の真剣な表情にかき消される。いままでも叔父様の真剣な表情は当然見たことがあるが、今見ているそれはなんというか……。
「ルーク。ルーたんの時、どこを触られた??」
「あ、えっと……首の下とかですかね……あまり覚えていなくて……」
滅茶苦茶、気持ちよかったのは覚えているけれど、記憶が割と曖昧だったりする。そんな僕に対して真剣だった叔父様の顔が笑顔になる。けれど僕は知っている。この笑顔は要注意の笑顔である。
「そうか、ならとりあえず首の下の部分を全て、キレイキレイしないといけないね」
今「ルーたん」って叔父様の口から聞こえた気がするのだけれど……。
全裸で兄上に抱かれてぼんやりしていた僕を、叔父様が素早い速度で歩み寄り取り返す。そして自身の羽織っていた白いマントで、僕の色々が見えないように優しく包み込んだ。その動きの速さに僕も兄上も呆然とする。神速ってヤツである。
「あの、僕の聞き違いでなければルーたんって今、おじたん言いませんでした?」
「ルーク、マクスまたは恥ずかしければだんなさんと呼びなさい。ああ、ルークが心配で「魔導式貞操アナルプラグ改」には音声を収音する効果が付与されているから、そこからずっとふたりの会話は確認していた」
「いや、「魔導式貞操アナルプラグ改」そんな機能までついてるんですか!?それ基本、尻の中にあるんですが……」
尻の中に収音機能付きの物入れているとか、新しいプレイすぎるだろう。聞こえないで良い音まで聞こえてそうで全力で人間の尊厳を失っている気がする。アイデンティティーVS人間の尊厳のバトルがそろそろされかねない。
そんなことを考えていたら、兄上が深いため息をついた。
「叔父上、ルークの同意なく結婚するのは流石にどうかと思います。しかもあんなに大々的に宣言して逃げ場をふさぐなんて」
挑むように兄上が叔父様を睨みつけた。そう言えば兄上は、この間、別れる時に僕を諦めないと言っていたな。あれ本気だったんだ。
「確かに返事を待たずには、婚姻関係を結んでしまったが、それは僕が既成事実をルークとの間に作ったのでその責任をしっかり取るためだ」
既成事実とは、僕と叔父様が結ばれたことを指しているで間違いないだろう。確かに王族は契りを交わした相手と婚姻を結ぶのは一般的ではあるので、一旦ふたりの会話を大人しく聞こうとおもった。
すると兄上の表情が無に変わる。
「叔父上はルークを、ルークの処女を奪ったのですか?」
「そうだ。ルークからちゃんと同意を得てこちらは行っている」
凄い畏まって処女喪失の話されるのが嫌すぎる。そろそろふたりになにか茶々を入れようと思った時だった。
「まぁいい。電撃結婚についてはもう公的に認められてしまったので祝福します。けれど私はルークをまだあきらめていません」
「もうルークが僕だけの花嫁になったというのに諦めないと」
バチバチとふたりの間で見えない火花が散っているようで怖い。さらに兄上は続けた。
「僕はルークの最初の男にはなれなかったけれど、ルークの最後の男になることはできますから。命が尽きる時にルークと居れればそれで上出来だ」
そう答えた兄上の言葉が思わず胸を突き刺す。そこまで想われているのに、僕は今後も兄上に向き合う日が来るのかわからない。それでも兄上は僕を愛し続けるというのだ。
「残念だけれど、僕はルークの全てを君にすら譲る気はない」
「ええ。でも私の方が貴方より長く生きるはずだ」
泥仕合の様相を呈してきたので、そろそろ止めたいと思った、その時兄上が僕の方へ近づいた。
「ルーク、今はまだ愛せなくても良い。けれどせめて覚悟してくれ」
そう低く囁くと僕の額に触れるだけの優しいキスを落とす。その瞬間、叔父様に僕は抱き上げられる。そのまま二人は無言で見つめ合っていたが……
「では、レイズ王太子殿下、失礼いたします」
そうどこか冷たく言って、一度頭を下げた叔父様は、そのままいつものテレポートをした。
(こんな余裕のない顔はじめて見たかもな……)
なんやかんやいつも余裕綽々の叔父様がこんな表情するなんて、少し胸が高鳴ったのは秘密だ。
「家だ、なんだかほっとします……」
気が抜けたのでそう話しかけるが、叔父様はさっきから僕を抱えたままどこかへ脇目もふらずに向かっている。
「……ルーク、すぐに湯あみをしよう」
そう言うが早く、叔父様は僕をいつもと違う浴室へ連れて行った。そこは天然温泉が湧いているのか滾々とあたたかいお湯が沸き出していてすぐ入れるようだ。
(叔父様って案外温泉がすきなのかな……)
そんな呑気な考えは、叔父様の真剣な表情にかき消される。いままでも叔父様の真剣な表情は当然見たことがあるが、今見ているそれはなんというか……。
「ルーク。ルーたんの時、どこを触られた??」
「あ、えっと……首の下とかですかね……あまり覚えていなくて……」
滅茶苦茶、気持ちよかったのは覚えているけれど、記憶が割と曖昧だったりする。そんな僕に対して真剣だった叔父様の顔が笑顔になる。けれど僕は知っている。この笑顔は要注意の笑顔である。
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