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82.命が国と同様の重さとなりました

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(ものすごい皆がみている。そりゃそうだよな)

これは本当の意味で愧死しかねない。それなのに叔父様はとても誇らしげな表情である。殴りたいその笑顔。周りとの温度差がかなり酷い。

なんとか叔父様のところまでたどり着いた時、いきなり臣下の礼をとるように叔父様が僕の前で跪いた。その様子をパパ上がニコニコ見ている。おいダメ王、止めろ。

(待て待て、僕、今ただの「最愛の恋人まくすのせいどれい」だから。あ、でも結婚したとかいってたな、だとしたら、「最愛の花嫁まくすのせいどれい」とかになったのかもな)

「順番が逆になってしまい、すまない、ルーク。君を永遠に愛し守ると誓う。僕と結婚してください」

そう言って僕の、手をとってキスを落とした。まるで騎士の誓いっぽいプロポーズをされた。それが意味するところは……。

「ルーク元王太子殿下にガルシア公爵が忠誠を誓われた!?」

「この国、最強の騎士に忠誠を誓わせるなんて……でもガルシア公爵は我が国に忠誠を誓う剣で……」

「だとしたら、ルーク元王太子殿下も国と同等に守るということか?」

ガヤガヤと声がする。うん、普通こうなるんだよな。そして完全に「だが断る」って言いたいけど言えない空気なんだよね。外堀を埋めきった状態なんだよな。なんなら森林を破壊して完全にコンクリートで埋めきっている状態なんだよ、戻すことができない地点に来ているんだよ。

仕方ない。もう良く分からないけど腹を括るしかない。何も言わないとより大変なんことになるというのもある。僕は叔父様を見つめて、覚悟を決めて、渾身のキメ顔、通常の数倍はキリっとしたとした感じ(当社比)を作りその手をとった。

「その誓いお受けいたします」

いや、うん、だってここで「だが断る」とか絶対言えないからね。言えるなら言いたかったけど、言いたかったけどね。

「私は今後もであるルークを守り続けていこう」

とりあえず歓声が上がる。うん、もう観衆はやけくそなんだろうな。ここでなんで国と花嫁同列なんだよとか言ったら最悪、この英雄がこの国の部分を守るのをやめてしまう可能性があるという危険性に皆が気付いてしまったからね。すごい生ぬるい視線を感じる。

つまり、「僕の命=国」という壮大な図式が今完成した訳だけれど……。僕は王族席を見る。兄上が虚無と怒りがない交ぜになった表情でこっち見てる。これ絶対まだ一波乱あるじゃん。

それに、さっきから宰相というヴェルダンディ公爵が息してないんだよね。そりゃあ可愛い幼児がいきなり花嫁なんかになるはずないからね。ショックだよね。後ね、その隣のグレゴリーも全く同じ顔してるよ。流石、だな。後、エドワードはニコニコしているけどあれ絶対、腹に一物がありますわ。目あわさないでおこう。

「実に良きかな、ふたりの婚姻は既に余が認めている、さぁ惜しみない祝福を」

あ、犯人はパパ上か。パパ上、さようなら、いい父だったよ。この後、パパ上死んじゃうな。うん、約束された死だよ。某次回予告風に言うなら、「次回、「パパ上死す」。」だね。

後、知らなかったけど、うちの国って同性結婚できたんだ……いや、できないはずなんだよな。この辺りについては落ち着いたら小一時間問い詰めよう。

そんなことを考えている僕を叔父様がお姫様抱っこで持ち上げた。

「な、なに??」

「行こう、僕の花嫁ルーク

まるでバージンロードを逆に歩いていくように、僕は叔父様に抱えられてそのまま王城を後にした。その際、王侯貴族ならびに民衆の惜しみない歓声と実に生ぬるい視線を浴びながら、もうこの作品で何回目かの愧死を味わわされたのだった。
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