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72.女性と仲良くなれるかチャレンジ失敗か?
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「何かジャックの方でわかったの?」
パパ上が砕けた口調だが、真剣な顔でジャックを見据えた。するとジャックは一枚のメッセージカードを恭しくベルダンディ公爵に渡した。
それを受け取ったベルダンディ公爵が、中身を開いて確認する。
「……これは一体なんだ?」
「彼、いえ、彼女からの手紙です」
その紙をベルダンディ公爵はパパ上、兄上、叔父様と僕に回してくれたので中身を確認する。そこには男性の字にしては繊細な丁寧さをもった綺麗な文字でこう綴られていた。
『ありがとう、そしてごめんなさい。
この償いは必ずいたします。ただ、もう少しお時間をください。どうしてもやるべきことが出来ました。
末筆ながら、ルーク殿下とジャック殿の幸福をお祈りしております
ヨシノ』
あのガチムチの庭師の人ヨシノさんって名前だったのか。この世界の人にしては珍しい名前だし、もっというと女性的な名前だよね。文字も大人の女性っぽいし、さっきジャックも彼女って言ってたな……ん、もしかして。
「ジャック、僕すごい気になることがあるんだけど……」
「なんですか、ルーク殿下」
「あのガチムチの庭師の人って実は女性だったの!?」
だとしたら、なんて惜しいことをしたんだ。僕は女性とお近づきチャレンジを不意にしたってことでしょう。女性全てを愛することを目指すルーク君としては大失敗だよね?……僕は悲しい。
「いえ、彼は男ですが……」
ジャックが困惑しているのがわかる。しかし、僕は気付くべきだった。この場には僕に対して熱い感情を向けている人達が沢山いることを……。
「ルーク、女性だったら何かあったのかな?」
兄上の目が怖い。感情が死んだみたいなヤンデレの目をしている怖い。
「ルーク、私は君をそのようなふしだらな子に育てた覚えはありません」
ベルダンディ公爵が急に泣き出した。えっ、育てられた覚えがそもそもないけど、正気度が減る。
そして、無言で僕を抱きしめる力を強めた叔父様。今怖くって叔父様の顔を見れない。いや、多分叔父様はすごく良い笑顔だと思う。そう、すごくきれいな笑顔だけれどだから怖いのだ。
「そういえば、ルーク、大切なことを伝え忘れていたよ」
先ほどの熱い感情を僕に持っている人のひとりである、現在ヤンデレ主人公みが出てきている兄上が艶やかに笑う。しみじみ思うけど、僕より兄上の方がBL本の主人公向いてると思う。
前世の姉の部屋で兄上みたいなキャラがこう逞しい男の腕に、しなだれている表紙死ぬほどみたことある。あ、僕みたいなキャラも割といたような気はするけど、それについては記憶から抹消済みなのでなかったことにします。
「私は、ルークを諦めないことにした。だから無理やり王族に復帰させたり、貴族の爵位を再付与することはしない。ただ、バローズ公爵家が君に対して不当に請求している賠償金についてのみ追及させてもらう予定だ」
「ほえ……」
予想外の発言に思わず変な声が出る。僕を諦めないとは言ったが勝手に洗脳しないと誓った兄上。それはつまり……。
(かゆきも回避できたのか!!おめでとうルーク君!!やったねルーク君!!)
「その代わり……」
そう言って叔父上の腕の中にいる僕の顎を、兄上の形の整った美しい白い指が掴む。そして……
「絶対に逃がさないから覚悟しておいて、ね?」
「はわわわわ!!」
とっても艶っぽいその仕草と言葉に、割と腰にダイレクトアタックがきた。なんていうか兄上はやっぱり美人だよね。これ、兄上なら抱くならありかもしれない。あ、抱かれるのは叔父様以外は一応無理ですが。
「あ、そうそうルーク。例のルークからのご褒美については、決まり次第連絡するね」
わざと、ニャーオと猫のような仕草をした兄上。この間の恥ずかしがっていた人はどこへ行ったの?って思ったし、例の僕のすごい恥ずかしい記憶が蘇る。また、愧死りそうだ。
その後も諸々の質問に答えたり、色々してやっと報告から解放されたのは既に空が暗くなった頃だった。
パパ上が砕けた口調だが、真剣な顔でジャックを見据えた。するとジャックは一枚のメッセージカードを恭しくベルダンディ公爵に渡した。
それを受け取ったベルダンディ公爵が、中身を開いて確認する。
「……これは一体なんだ?」
「彼、いえ、彼女からの手紙です」
その紙をベルダンディ公爵はパパ上、兄上、叔父様と僕に回してくれたので中身を確認する。そこには男性の字にしては繊細な丁寧さをもった綺麗な文字でこう綴られていた。
『ありがとう、そしてごめんなさい。
この償いは必ずいたします。ただ、もう少しお時間をください。どうしてもやるべきことが出来ました。
末筆ながら、ルーク殿下とジャック殿の幸福をお祈りしております
ヨシノ』
あのガチムチの庭師の人ヨシノさんって名前だったのか。この世界の人にしては珍しい名前だし、もっというと女性的な名前だよね。文字も大人の女性っぽいし、さっきジャックも彼女って言ってたな……ん、もしかして。
「ジャック、僕すごい気になることがあるんだけど……」
「なんですか、ルーク殿下」
「あのガチムチの庭師の人って実は女性だったの!?」
だとしたら、なんて惜しいことをしたんだ。僕は女性とお近づきチャレンジを不意にしたってことでしょう。女性全てを愛することを目指すルーク君としては大失敗だよね?……僕は悲しい。
「いえ、彼は男ですが……」
ジャックが困惑しているのがわかる。しかし、僕は気付くべきだった。この場には僕に対して熱い感情を向けている人達が沢山いることを……。
「ルーク、女性だったら何かあったのかな?」
兄上の目が怖い。感情が死んだみたいなヤンデレの目をしている怖い。
「ルーク、私は君をそのようなふしだらな子に育てた覚えはありません」
ベルダンディ公爵が急に泣き出した。えっ、育てられた覚えがそもそもないけど、正気度が減る。
そして、無言で僕を抱きしめる力を強めた叔父様。今怖くって叔父様の顔を見れない。いや、多分叔父様はすごく良い笑顔だと思う。そう、すごくきれいな笑顔だけれどだから怖いのだ。
「そういえば、ルーク、大切なことを伝え忘れていたよ」
先ほどの熱い感情を僕に持っている人のひとりである、現在ヤンデレ主人公みが出てきている兄上が艶やかに笑う。しみじみ思うけど、僕より兄上の方がBL本の主人公向いてると思う。
前世の姉の部屋で兄上みたいなキャラがこう逞しい男の腕に、しなだれている表紙死ぬほどみたことある。あ、僕みたいなキャラも割といたような気はするけど、それについては記憶から抹消済みなのでなかったことにします。
「私は、ルークを諦めないことにした。だから無理やり王族に復帰させたり、貴族の爵位を再付与することはしない。ただ、バローズ公爵家が君に対して不当に請求している賠償金についてのみ追及させてもらう予定だ」
「ほえ……」
予想外の発言に思わず変な声が出る。僕を諦めないとは言ったが勝手に洗脳しないと誓った兄上。それはつまり……。
(かゆきも回避できたのか!!おめでとうルーク君!!やったねルーク君!!)
「その代わり……」
そう言って叔父上の腕の中にいる僕の顎を、兄上の形の整った美しい白い指が掴む。そして……
「絶対に逃がさないから覚悟しておいて、ね?」
「はわわわわ!!」
とっても艶っぽいその仕草と言葉に、割と腰にダイレクトアタックがきた。なんていうか兄上はやっぱり美人だよね。これ、兄上なら抱くならありかもしれない。あ、抱かれるのは叔父様以外は一応無理ですが。
「あ、そうそうルーク。例のルークからのご褒美については、決まり次第連絡するね」
わざと、ニャーオと猫のような仕草をした兄上。この間の恥ずかしがっていた人はどこへ行ったの?って思ったし、例の僕のすごい恥ずかしい記憶が蘇る。また、愧死りそうだ。
その後も諸々の質問に答えたり、色々してやっと報告から解放されたのは既に空が暗くなった頃だった。
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