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70.愧死ブラザーズは結成できなかった
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僕の言葉に、叔父様がこの間のマックスたんの時のような悪戯が成功した少年のような目をしている。その横で真っ赤になって俯いている兄上と、状況が掴めずオロオロしているジャック。
三者三様全く違う反応だ。ただ、この叔父様の笑顔にものすごく嫌な予感がする。
「あの……レイたんは……」
「ルークが動物を大好きなことは知っているが、いきなり動物の陰部のにおいを嗅ごうとするのは流石によくないと思う。どんなにルークが好きでも、本能的に蹴ってしまう」
そう恥ずかしそうに答えた、兄上。僕は全てを察した。しかし少し往生際悪く知らないふりをしてみよう。僕はとても往生際が悪い。結果さらに傷を拡げてかすり傷を重傷程度にするスペシャリストである。
「あれれ~?おかしいぞ~。どうして兄上が僕がレイたんにしたことを知っているのかな?」
「それは……」
兄上すごい恥ずかしそう。そうだよね。動物になってもふもふされていた方もきっと恥ずかしい。はずかしいはずだ……が。
「レイズはルークに赤ちゃん言葉で話しかけられながら、キスしてもらえたかい?後、体中を求めて撫でまわされたかい?しかし、ルーク。僕の時は流石に陰部に顔を埋めようとは……」
「ああああああああ!!違います、陰部ではなくお腹のにおいをくんかくんかしたかったんです。レイたん柑橘類みたいな良い香りがして……」
傷口に僕は自身で粗塩を塗り込んだ。因幡の白兎のように。
「すまない、ルーク。私は君を騙したくはなかった、けれど……ルークが可愛い顔で私を求めてくれるとつい拒めなくて……」
(兄上、そんな恥ずかしそうに顔を赤らめて伏せるのはやめて。その言葉だけだと僕が兄上を襲ったみたいじゃないか。いや、実際襲ったのか?てか兄上ってとても美人で色っぽいんだな。前に僕が拘束されて襲われた時には感じなかったけど……前世の姉さんが「レイズ殿下は受け。攻めもいいけど受けもみたいのよ!!」とか叫んでいたけど……今納得したわ。どちらもいけますこれは)
そう割と失礼なことを考えていたのがバレたのか、何故か急に兄上が不敵に笑った。
「ただ、ルークが先ほど猫の私としてくれた「レイたん。おうちに帰ったらレイたんの好きなことご褒美でひとつ叶えてあげるから」という約束については、折角だから王城についたら必ず履行してもらうのでそのつもりでいてね」
先ほどの恥ずかそうな、僕と愧死ブラザーズ感があった兄上は完全に消えてしまい、あの監禁時のドSみのある兄上みたいに戻りふるえた。
そんな僕らふたりを生ぬるい眼差しで叔父様が見つめている。しかし、そこで僕はとても大切なことを思い出す。
「ジャック、あの血まみれの庭師の人はどうしたの?」
「それは……彼は捕縛して、先ほどの部屋におりますが……」
そう、ジャックが答えたが僕には妙な胸騒ぎがした。それを立証するように叔父様が続けた。
「……ジャック、普通の縄で縛っているか?だとしたら気づいたら彼は逃げ出せるはずだ。とあえず確認に向かおう」
それはまた、叔父様が危険に晒されるのでは。咄嗟に先程の惨劇が浮かぶ。
「嫌です。おじたんにまた何かあったら……」
「大丈夫だよ。今度は全身に結界を張ってあるから最悪すぐに殺されることはない。それに愛するルークと王太子のレイズは守る必要があるからね。ジャックふたりで先陣を切ろう」
そう言って微笑む叔父様。たとえ後、11機ほどの残機があってもまた叔父様が死んでしまうところを見るのは絶対に嫌だった。ただ、今回はジャックもいるしバリアもあるから慎重にいけば問題ないだろうとも思った。
さっき居た部屋に戻ると襖はしっかりと閉められていた。鍵があるわけでもないその部屋の扉をゆっくりと開く、と……。
「誰もいない?」
部屋には確かにジャックが縛った縄はあったが、男の姿がどこにもない。
「どこかに隠れている可能性は……」
「それもなさそうです」
僕の言葉にジャックが答えた。ジャックは確か五感が通常より優れていて人の気配ならほぼ感知できる。そのジャックがはっきりとそう口にした。
「でも、だとしたらどこに……」
中に先行して入ったジャックが縄の側に落ちていたそれを拾いあげる。それは一片の桜の花びらだった。
「これは……」
「なるほど、彼女は無事に帰れたようだな」
叔父様がジャックの手のひらにある花びらを見つめながら寂しそうに言った。全く状況が掴めない。
「あの、彼女って……」
「ルーク、もう問題ない。彼も彼女もここにはいない」
そう叔父様に、優しく言われて、本当なら色々聞いたりした方がいいのだろうけどそうする気になぜかその時は、なれなかった。
三者三様全く違う反応だ。ただ、この叔父様の笑顔にものすごく嫌な予感がする。
「あの……レイたんは……」
「ルークが動物を大好きなことは知っているが、いきなり動物の陰部のにおいを嗅ごうとするのは流石によくないと思う。どんなにルークが好きでも、本能的に蹴ってしまう」
そう恥ずかしそうに答えた、兄上。僕は全てを察した。しかし少し往生際悪く知らないふりをしてみよう。僕はとても往生際が悪い。結果さらに傷を拡げてかすり傷を重傷程度にするスペシャリストである。
「あれれ~?おかしいぞ~。どうして兄上が僕がレイたんにしたことを知っているのかな?」
「それは……」
兄上すごい恥ずかしそう。そうだよね。動物になってもふもふされていた方もきっと恥ずかしい。はずかしいはずだ……が。
「レイズはルークに赤ちゃん言葉で話しかけられながら、キスしてもらえたかい?後、体中を求めて撫でまわされたかい?しかし、ルーク。僕の時は流石に陰部に顔を埋めようとは……」
「ああああああああ!!違います、陰部ではなくお腹のにおいをくんかくんかしたかったんです。レイたん柑橘類みたいな良い香りがして……」
傷口に僕は自身で粗塩を塗り込んだ。因幡の白兎のように。
「すまない、ルーク。私は君を騙したくはなかった、けれど……ルークが可愛い顔で私を求めてくれるとつい拒めなくて……」
(兄上、そんな恥ずかしそうに顔を赤らめて伏せるのはやめて。その言葉だけだと僕が兄上を襲ったみたいじゃないか。いや、実際襲ったのか?てか兄上ってとても美人で色っぽいんだな。前に僕が拘束されて襲われた時には感じなかったけど……前世の姉さんが「レイズ殿下は受け。攻めもいいけど受けもみたいのよ!!」とか叫んでいたけど……今納得したわ。どちらもいけますこれは)
そう割と失礼なことを考えていたのがバレたのか、何故か急に兄上が不敵に笑った。
「ただ、ルークが先ほど猫の私としてくれた「レイたん。おうちに帰ったらレイたんの好きなことご褒美でひとつ叶えてあげるから」という約束については、折角だから王城についたら必ず履行してもらうのでそのつもりでいてね」
先ほどの恥ずかそうな、僕と愧死ブラザーズ感があった兄上は完全に消えてしまい、あの監禁時のドSみのある兄上みたいに戻りふるえた。
そんな僕らふたりを生ぬるい眼差しで叔父様が見つめている。しかし、そこで僕はとても大切なことを思い出す。
「ジャック、あの血まみれの庭師の人はどうしたの?」
「それは……彼は捕縛して、先ほどの部屋におりますが……」
そう、ジャックが答えたが僕には妙な胸騒ぎがした。それを立証するように叔父様が続けた。
「……ジャック、普通の縄で縛っているか?だとしたら気づいたら彼は逃げ出せるはずだ。とあえず確認に向かおう」
それはまた、叔父様が危険に晒されるのでは。咄嗟に先程の惨劇が浮かぶ。
「嫌です。おじたんにまた何かあったら……」
「大丈夫だよ。今度は全身に結界を張ってあるから最悪すぐに殺されることはない。それに愛するルークと王太子のレイズは守る必要があるからね。ジャックふたりで先陣を切ろう」
そう言って微笑む叔父様。たとえ後、11機ほどの残機があってもまた叔父様が死んでしまうところを見るのは絶対に嫌だった。ただ、今回はジャックもいるしバリアもあるから慎重にいけば問題ないだろうとも思った。
さっき居た部屋に戻ると襖はしっかりと閉められていた。鍵があるわけでもないその部屋の扉をゆっくりと開く、と……。
「誰もいない?」
部屋には確かにジャックが縛った縄はあったが、男の姿がどこにもない。
「どこかに隠れている可能性は……」
「それもなさそうです」
僕の言葉にジャックが答えた。ジャックは確か五感が通常より優れていて人の気配ならほぼ感知できる。そのジャックがはっきりとそう口にした。
「でも、だとしたらどこに……」
中に先行して入ったジャックが縄の側に落ちていたそれを拾いあげる。それは一片の桜の花びらだった。
「これは……」
「なるほど、彼女は無事に帰れたようだな」
叔父様がジャックの手のひらにある花びらを見つめながら寂しそうに言った。全く状況が掴めない。
「あの、彼女って……」
「ルーク、もう問題ない。彼も彼女もここにはいない」
そう叔父様に、優しく言われて、本当なら色々聞いたりした方がいいのだろうけどそうする気になぜかその時は、なれなかった。
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