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63.それは、藪からスティックに
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「レイたん、かわゆいでちゅね、本当にすごいもふもふふにふにーっ。ああ、黒いお腹もかわいいでちゅね、ああ、くんかくんかさせて、あたっ!」
僕のしつこいもふりにも耐えていた、賢いレイたんも流石にお腹をくんかくんかしようとしたら、猫パンチをしてきた。いや、後ろ足だから猫キックやね。
(くうう、その一撃もたまらぬ。むしろもっと叩いてほしい!!)
完全に猫様の下僕という状態異常を発現している僕の目の前に突然黒い靄が現れた。
「なっ??えっ??こわっ」
この物語は忘れてはいけないがBL本、しかもどちらかというと叔父様との追いかけっこ主体のエッチではあるけれどホラー要素のない世界のはずなんだけど、明らかにあの黒い靄はホラー、それもジャパニーズホラーの忌地とかに発生している瘴気とかそういう類のものっぽい。
「まずい、まずい、レイたんと逃げないと、あわわ」
あんまり運動神経は良くないけれど、僕は急いでその瘴気から距離をとる。むしろ叔父様の張った結界内に入ってくる瘴気とか絶対ヤバイヤツに違いない。
それがぐにゅりとまるで泥の中から人が出てくる感じで人型を作るのを目の当たりにした僕は、正気度チェックと水たまり製造機チャレンジチェックを両方する羽目になる。
「ひぃいいいい」
レイたんを胸に抱きしめながら伏せたその瞬間……
ドサリ
何かが落ちた音がした。こういう場合、僕は中々見るのが怖いタイプである。例えるならば、注射をされる時、僕は終わるまで目をつぶっているタイプなのだから。勝手なイメージだけれど叔父様は注射が終わるまで絶対見ているタイプだと思う。ガン見していると思う。この辺りは勝手な全てイメージですけど。
「ニャーオ」
しかし、そんなヘタレ全開の僕と違って勇敢カッコイイ天才にゃんこのレイたんが、僕の胸元から脱出して、その人影の方へ向かう。
「あああ、レイたん、危ないでちゅよ……ん?あれ?ジャック?」
恐る恐る指の隙間から見たところ、そこにはジャックが倒れていた。
(ジャックも僕を助けにきてくれていたのか……。本当にみんなには感謝しないとな)
そう考えながら、倒れて気絶している、ジャックをゆさゆさしてみる。
「ジャック、ジャック」
しかし、反応がないただの屍のようだ……いや屍になられたら困る。こういう場合どうすれば目を覚ますだろうか……。
(そういえば、昔……テレビで睫毛をコショコショするとどんな人間も覚醒するみたいな話ししていたな、よしジャックに試そう)
そう思い、寝ているジャックの顔に近付いて、睫毛に手を伸ばしかけたその時……
「ルーク殿下!!!!」
いきなり起き上がったジャックと僕は正面衝突した。具体的には……キスした。
一瞬の沈黙、硬直……。そして、その後に離れた唇。
「はんぎゃああああああああああああああああ」
「ああああ、申し訳ございません!!!!」
珍しくジャックも叫んだ。何このラブコメ展開。普通頭突きする距離感だったのにキスって、このBL本の強制力舐めてた。
「不敬罪です、死にます、切腹いたします……」
「いやいや、やめて、臓物を晒さないでジャック!! それより大丈夫?」
変な靄から出てきたジャックが当然、何の問題もない訳がない。実際ジャックの頬からは血が流れている。
「何か、こう布があれば……」
「ニャーオ」
せめて血を拭えないかと考えた時、レイたんがそれを口にくわえて僕に差し出した。
清潔な白いハンカチだ。しかしどこからレイたんはそれを、出したのかな?実はレイたんはかの有名な青い猫ロボのような未来から来た存在でその毛皮の下に、四次元空間へつながるポケットとか隠しているのかな……。すごいな、もふもふでそんなチートとか無敵じゃん。猫様の下僕。
「ありがとう。レイたんはえらい子でちゅね」
ああ、もふりたい。でも今はジャックの傷にその布をあててもらうのが先だ。
「これ、使って」
「ありがとうございます」
恥ずかしそうにそのハンカチを受け取るジャック。本当に彼は純粋な良い子だよな。僕なんかのために人生棒に振るのはもったいない人材だよね。
そんなことを考えていたら、ジャックが急に真剣な顔になる。
「ルーク殿下、質問です。以前ルーク殿下が話していた薄紅の綺麗な花のお話しをお伺いしたく」
いきなり想定外の話を振られてしまった時、人は焦る。当然、僕も焦るだから多少のことは多めに見て欲しい。
「えっ、いきなり藪からスティックになんで、そんなこと知りたいの?」
だからちょっと某大柴さん的な口調になってしまったことについては、大目に見て頂きたい。仕方ないじゃん、中身、残念王子かつ前世可哀そうな社畜なんで許してください。
「実は……」
僕のしつこいもふりにも耐えていた、賢いレイたんも流石にお腹をくんかくんかしようとしたら、猫パンチをしてきた。いや、後ろ足だから猫キックやね。
(くうう、その一撃もたまらぬ。むしろもっと叩いてほしい!!)
完全に猫様の下僕という状態異常を発現している僕の目の前に突然黒い靄が現れた。
「なっ??えっ??こわっ」
この物語は忘れてはいけないがBL本、しかもどちらかというと叔父様との追いかけっこ主体のエッチではあるけれどホラー要素のない世界のはずなんだけど、明らかにあの黒い靄はホラー、それもジャパニーズホラーの忌地とかに発生している瘴気とかそういう類のものっぽい。
「まずい、まずい、レイたんと逃げないと、あわわ」
あんまり運動神経は良くないけれど、僕は急いでその瘴気から距離をとる。むしろ叔父様の張った結界内に入ってくる瘴気とか絶対ヤバイヤツに違いない。
それがぐにゅりとまるで泥の中から人が出てくる感じで人型を作るのを目の当たりにした僕は、正気度チェックと水たまり製造機チャレンジチェックを両方する羽目になる。
「ひぃいいいい」
レイたんを胸に抱きしめながら伏せたその瞬間……
ドサリ
何かが落ちた音がした。こういう場合、僕は中々見るのが怖いタイプである。例えるならば、注射をされる時、僕は終わるまで目をつぶっているタイプなのだから。勝手なイメージだけれど叔父様は注射が終わるまで絶対見ているタイプだと思う。ガン見していると思う。この辺りは勝手な全てイメージですけど。
「ニャーオ」
しかし、そんなヘタレ全開の僕と違って勇敢カッコイイ天才にゃんこのレイたんが、僕の胸元から脱出して、その人影の方へ向かう。
「あああ、レイたん、危ないでちゅよ……ん?あれ?ジャック?」
恐る恐る指の隙間から見たところ、そこにはジャックが倒れていた。
(ジャックも僕を助けにきてくれていたのか……。本当にみんなには感謝しないとな)
そう考えながら、倒れて気絶している、ジャックをゆさゆさしてみる。
「ジャック、ジャック」
しかし、反応がないただの屍のようだ……いや屍になられたら困る。こういう場合どうすれば目を覚ますだろうか……。
(そういえば、昔……テレビで睫毛をコショコショするとどんな人間も覚醒するみたいな話ししていたな、よしジャックに試そう)
そう思い、寝ているジャックの顔に近付いて、睫毛に手を伸ばしかけたその時……
「ルーク殿下!!!!」
いきなり起き上がったジャックと僕は正面衝突した。具体的には……キスした。
一瞬の沈黙、硬直……。そして、その後に離れた唇。
「はんぎゃああああああああああああああああ」
「ああああ、申し訳ございません!!!!」
珍しくジャックも叫んだ。何このラブコメ展開。普通頭突きする距離感だったのにキスって、このBL本の強制力舐めてた。
「不敬罪です、死にます、切腹いたします……」
「いやいや、やめて、臓物を晒さないでジャック!! それより大丈夫?」
変な靄から出てきたジャックが当然、何の問題もない訳がない。実際ジャックの頬からは血が流れている。
「何か、こう布があれば……」
「ニャーオ」
せめて血を拭えないかと考えた時、レイたんがそれを口にくわえて僕に差し出した。
清潔な白いハンカチだ。しかしどこからレイたんはそれを、出したのかな?実はレイたんはかの有名な青い猫ロボのような未来から来た存在でその毛皮の下に、四次元空間へつながるポケットとか隠しているのかな……。すごいな、もふもふでそんなチートとか無敵じゃん。猫様の下僕。
「ありがとう。レイたんはえらい子でちゅね」
ああ、もふりたい。でも今はジャックの傷にその布をあててもらうのが先だ。
「これ、使って」
「ありがとうございます」
恥ずかしそうにそのハンカチを受け取るジャック。本当に彼は純粋な良い子だよな。僕なんかのために人生棒に振るのはもったいない人材だよね。
そんなことを考えていたら、ジャックが急に真剣な顔になる。
「ルーク殿下、質問です。以前ルーク殿下が話していた薄紅の綺麗な花のお話しをお伺いしたく」
いきなり想定外の話を振られてしまった時、人は焦る。当然、僕も焦るだから多少のことは多めに見て欲しい。
「えっ、いきなり藪からスティックになんで、そんなこと知りたいの?」
だからちょっと某大柴さん的な口調になってしまったことについては、大目に見て頂きたい。仕方ないじゃん、中身、残念王子かつ前世可哀そうな社畜なんで許してください。
「実は……」
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