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60.信頼ともふもふともふもふの中身(一部レイズ(兄上)視点)
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「今の音は……」
「ルーク、レイたんをしっかり抱きしめてあげていて欲しい。僕が君たちふたりに結界を張るから、ここで待っていてくれ」
そう言って、先ほどの部屋から出てすぐの畳張りの大体6畳くらいの特になにもない、普通の和室に連れていかれた。和室ってこの世界では初めて見たな。というか監禁されていたから気付かなかったけどこの館、日本家屋だ。
その異様さが気になる。
「で、でもマクスおじたんに何かあったら……」
感動の再会は尿意により色々台無しになったけれど、こんなにすぐに叔父様と離れ離れになるのは嫌だ。それに何か嫌な予感がするし、叔父様と離れると思うと、色々あって気持ちを理解したのもあり、とても不安な気持ちになる。
そんな僕の気持ちが分かったように叔父様が強く抱きしめた。とても安心して涙が出そうになる。
「大丈夫、すぐに全て終わる」
確信に満ちたその言葉だった。
「……わかりました。あ、おじたん、そのコレを持って行ってください」
でも、それでも僕は咄嗟に叔父様の危険を守れるものがないか考えて、ペンダントを差し出した。これならきっと枠外の何かに対しても叔父様を守ってくれるはずだ。
「ありがとう。では、代わりにこれをルークは持っていてくれるかい?」
そう言って、叔父様は嵌めていた指輪を、僕の左手の薬指にはめた。何故ぴったりはまったのかという部分は深く考えてはいけない。正気度が減るので。
指輪は黒い金属にルビーの入ったもので、なんとなく僕の髪色と目の色を意識してつくられている気がした。
「これは?」
「幸福のお守りだそうだ。小さな頃にある人からもらったもので僕の宝物だ」
「ありがとうございます。マクスおじたんが帰ってくるまで大切に預かります」
「僕も、このペンダントを大切に預かるよ」
そうして自然と僕と叔父様の唇が重なる。普段のような深いものではなく、触れ合うだけの優しい口づけ。けれどその確かなぬくもりに勇気を貰う。
そして、唇が離れる。
なんだか名残惜しいが、僕は笑顔を作る。
「いってらっしゃい、マクスおじたん」
「ああ、いってくる」
ここだけ見ると新婚夫婦みたいで大変恥ずかしい。もし前世の僕だったらリア充爆発しろとか暴言を吐いていたかもしれない。まさか僕が、そんなリア充になるなんて信じられない話だ。後、色々な尊厳を失くしたことも本当に信じがたい話だけれど。
叔父様の背中を見送りながら、僕の中で不安な気持ちもあったが、叔父様への信頼の方がそれを上回っていた。
「大丈夫、叔父様なら全て解決してくれる」
そう考えて、僕はさっきからこっちを見上げている、可愛い黒猫のレイたんを抱き上げた。その綺麗な青い瞳に思わず見入ってしまう。なんかこうこのタイプの綺麗な瞳を見たことがある気がしたけどレイたんと会うのははじめてなので多分気のせいだ。
「レイたん、かわゆいでちゅね」
不安な時でも、もふもふは癒しだ。そう僕は動物に優しい男なのでとりあえず良い子で天才なレイたんとハッピーもふもふタイムを過ごしながら叔父様の帰りを待つのだ。猫様の下僕。
******************
◇レイズ(兄上)視点◇
誰か、この状況を説明してほしい。館に入れないと叔父上に話したところ、何故か私は猫にされた。
「動物なら確実に入れるので、変身魔法でレイズを猫にしよう」
「えっ、猫?なぜ?」
「……レイズは猫っぽい」
色々意味がわからないが、抗議する前に僕は猫にされた。そしてその状態でルークと再会した。しかもルークがトイレをする姿を低い視点から見たり、あげく、叔父様とルークがイチャイチャする姿を間近で見せられるという体験をして辛い。
しかし、その辛さをも覆いつくすくらいに可愛いルークが、私を先ほどから撫でまわしているという非現実な状況がまだ理解できていない。
「レイたん、レイたんは本当に美人さんですね、完全にこれは神が作りたもうた最高の造形ですわ。もう本当に素晴らしい。しかもすごい大人しいしすごい良い匂いがする……」
そう言いながら僕の首筋あたりにルークが鼻を、くっつけてにおいをかがれている、恥ずかしい。ずっと好きな子に一方的ににおいを嗅がれる状況とか生きてきて考えたこともない。
(ルーク、むず痒いし恥ずかしい)
だからと言って、もしこの姿で抵抗するとルークを傷つける可能性もある、それなのに……。
「レイたん、もふもふでちゅね、かわいいでちゅね」
と赤ちゃん言葉を話しながら、体中をまさぐられる。これは天国と地獄が入り混じった拷問ではないか。
「しかし、レイたんは本当におとなしい子でちゅね。猫様って気まぐれだから猫パンチ食らうかと思ったけど……本当に可愛いな」
そう私に顔を近づけたルークがそのまま鼻先に顔を近づけるので、うっかりペロリとルークの鼻先を舐めてしまった。
(あ、やってしまった、いくら今は猫でも私は本来人間で……)
その自身の行いがものすごく恥ずかしい。そんな状況の中、さらにびっくりすることが起きた。
「レイたん、チュウしてくれるんでちゅか。僕のレイたんだいしゅきでちゅよ」
と言って、ルークが私(猫)にキスをした。
(ル、ルークから私にキスを?)
こちらから強制的にすることはあっても、ルークがキスをしてくれるなんて、夢でも見ているようだ。けれどこれは私が猫だから、いや、何言っているか意味が分からないが事実そうだから仕方ない。
(もうしばらく猫を満喫しよう、少しくらい私にだって、ご褒美があっていいはずだ)
色々複雑だが、一旦は幸福に埋もれて考えることを放置することにした。
「ルーク、レイたんをしっかり抱きしめてあげていて欲しい。僕が君たちふたりに結界を張るから、ここで待っていてくれ」
そう言って、先ほどの部屋から出てすぐの畳張りの大体6畳くらいの特になにもない、普通の和室に連れていかれた。和室ってこの世界では初めて見たな。というか監禁されていたから気付かなかったけどこの館、日本家屋だ。
その異様さが気になる。
「で、でもマクスおじたんに何かあったら……」
感動の再会は尿意により色々台無しになったけれど、こんなにすぐに叔父様と離れ離れになるのは嫌だ。それに何か嫌な予感がするし、叔父様と離れると思うと、色々あって気持ちを理解したのもあり、とても不安な気持ちになる。
そんな僕の気持ちが分かったように叔父様が強く抱きしめた。とても安心して涙が出そうになる。
「大丈夫、すぐに全て終わる」
確信に満ちたその言葉だった。
「……わかりました。あ、おじたん、そのコレを持って行ってください」
でも、それでも僕は咄嗟に叔父様の危険を守れるものがないか考えて、ペンダントを差し出した。これならきっと枠外の何かに対しても叔父様を守ってくれるはずだ。
「ありがとう。では、代わりにこれをルークは持っていてくれるかい?」
そう言って、叔父様は嵌めていた指輪を、僕の左手の薬指にはめた。何故ぴったりはまったのかという部分は深く考えてはいけない。正気度が減るので。
指輪は黒い金属にルビーの入ったもので、なんとなく僕の髪色と目の色を意識してつくられている気がした。
「これは?」
「幸福のお守りだそうだ。小さな頃にある人からもらったもので僕の宝物だ」
「ありがとうございます。マクスおじたんが帰ってくるまで大切に預かります」
「僕も、このペンダントを大切に預かるよ」
そうして自然と僕と叔父様の唇が重なる。普段のような深いものではなく、触れ合うだけの優しい口づけ。けれどその確かなぬくもりに勇気を貰う。
そして、唇が離れる。
なんだか名残惜しいが、僕は笑顔を作る。
「いってらっしゃい、マクスおじたん」
「ああ、いってくる」
ここだけ見ると新婚夫婦みたいで大変恥ずかしい。もし前世の僕だったらリア充爆発しろとか暴言を吐いていたかもしれない。まさか僕が、そんなリア充になるなんて信じられない話だ。後、色々な尊厳を失くしたことも本当に信じがたい話だけれど。
叔父様の背中を見送りながら、僕の中で不安な気持ちもあったが、叔父様への信頼の方がそれを上回っていた。
「大丈夫、叔父様なら全て解決してくれる」
そう考えて、僕はさっきからこっちを見上げている、可愛い黒猫のレイたんを抱き上げた。その綺麗な青い瞳に思わず見入ってしまう。なんかこうこのタイプの綺麗な瞳を見たことがある気がしたけどレイたんと会うのははじめてなので多分気のせいだ。
「レイたん、かわゆいでちゅね」
不安な時でも、もふもふは癒しだ。そう僕は動物に優しい男なのでとりあえず良い子で天才なレイたんとハッピーもふもふタイムを過ごしながら叔父様の帰りを待つのだ。猫様の下僕。
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◇レイズ(兄上)視点◇
誰か、この状況を説明してほしい。館に入れないと叔父上に話したところ、何故か私は猫にされた。
「動物なら確実に入れるので、変身魔法でレイズを猫にしよう」
「えっ、猫?なぜ?」
「……レイズは猫っぽい」
色々意味がわからないが、抗議する前に僕は猫にされた。そしてその状態でルークと再会した。しかもルークがトイレをする姿を低い視点から見たり、あげく、叔父様とルークがイチャイチャする姿を間近で見せられるという体験をして辛い。
しかし、その辛さをも覆いつくすくらいに可愛いルークが、私を先ほどから撫でまわしているという非現実な状況がまだ理解できていない。
「レイたん、レイたんは本当に美人さんですね、完全にこれは神が作りたもうた最高の造形ですわ。もう本当に素晴らしい。しかもすごい大人しいしすごい良い匂いがする……」
そう言いながら僕の首筋あたりにルークが鼻を、くっつけてにおいをかがれている、恥ずかしい。ずっと好きな子に一方的ににおいを嗅がれる状況とか生きてきて考えたこともない。
(ルーク、むず痒いし恥ずかしい)
だからと言って、もしこの姿で抵抗するとルークを傷つける可能性もある、それなのに……。
「レイたん、もふもふでちゅね、かわいいでちゅね」
と赤ちゃん言葉を話しながら、体中をまさぐられる。これは天国と地獄が入り混じった拷問ではないか。
「しかし、レイたんは本当におとなしい子でちゅね。猫様って気まぐれだから猫パンチ食らうかと思ったけど……本当に可愛いな」
そう私に顔を近づけたルークがそのまま鼻先に顔を近づけるので、うっかりペロリとルークの鼻先を舐めてしまった。
(あ、やってしまった、いくら今は猫でも私は本来人間で……)
その自身の行いがものすごく恥ずかしい。そんな状況の中、さらにびっくりすることが起きた。
「レイたん、チュウしてくれるんでちゅか。僕のレイたんだいしゅきでちゅよ」
と言って、ルークが私(猫)にキスをした。
(ル、ルークから私にキスを?)
こちらから強制的にすることはあっても、ルークがキスをしてくれるなんて、夢でも見ているようだ。けれどこれは私が猫だから、いや、何言っているか意味が分からないが事実そうだから仕方ない。
(もうしばらく猫を満喫しよう、少しくらい私にだって、ご褒美があっていいはずだ)
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