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57.人間としての尊厳 VS 生理的欲求
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「……うっ、これは……」
ずっと緊迫した空気で、しばらくうっかり忘れていたけれど……僕はとても重要なことを思い出した、いや思いだしてしまった。
それは人間にとって当然の生理的欲求。そうつまり……尿意だ。
「めちゃくちゃトイレ行きたい!!」
抗いようのないその欲求が、僕の中でじわじわ存在感を増し始めている。まず、まだ正気でいられるうちに手を打たないと。
さっきは、水たまり製造機になっても良いと言ったな、あれは嘘だ。良い年して漏らすのは正直本当に色々堪えるので何とか回避したい。
一応縛り方のため内股なのは救いだ。これがもしも開脚した状態で縛られていたらもう漏らしていたかもしれない。ありがとう犯人。いや、そもそもこんなとこに監禁されていなければ僕は尿意我慢チャレンジをしないで良かったのでやっぱりありがとうは撤回しよう。
(ここに閉じ込められてどれくらいたったの?ペンダント光っているけど、えっとどうしょうそれ以外、特に変化ないし、いや待てよ、このくらいの明るさならもしかしたら縄を切れるマストアイテムを発見できるかもしれない)
なんとかトイレ(※だだしあるとは言っていない)を探すしかない。
尿意に支配されつつある頭を切り替えて、もう一度ペンダントの明かりを頼りにロープを切れないかリトライするために、僕は再び転がって汚い床を芋虫のように這いずるターンに入った。このフレーズ微妙に気に入ってしまった。ちょっと江戸川乱歩の小説みたいな気がする。あくまで気がするだけで実際は全然違うんだけど。
闇雲に転がって汚い床を芋虫のように這いずっていた時よりも、光があるため室内をある程度ちゃんと確認できるのが救いだ。しかし、前回と違い、お腹いっぱいに張りつめている感覚があるのでうっかり圧迫するとチビりそうということについては注意が必要である。
そうして念入りに汚い床を芋虫のように這いずっていると、床の1か所にチクりとするポイントがあることに気付いた。
……昔その下に刃物がある的な怖い話をみたことがあったような。
とりあえず、その床のところの板をすごく頑張って、口とか使ったりすれば外れるかもしれないと考えて、トライしてみることにした。
しかし、漫画とかアニメと違って全然うまくいかない。こういう時、自分がサバイバル・ホラーとかの主人公ならうまくできたのにとか考えてしまう。でも実際サバイバル・ホラーの主人公なら既に恐怖で随時水たまり製造機化していそうなんでなしだった。ホラーすきだけどビビりなんですよ。
大体、この物語は叔父様という神格がいる時点でサバイバル・ホラーではなくコズミック・ホラーのが近いと思う。具体的には人知の及ばない存在を目の当たりにして、定期的に正気度のチェックが必要になる感じのヤツだ。
しかし、僕の正気度の大半は人間の尊厳が危ぶまれて減っている気もするけれど、今の尿意我慢チャレンジみたいに。
(大体、尿意を我慢するとか最悪膀胱炎になってしまう)
BL本の主人公が膀胱炎になるとか生々しいから絶対にないはずなんで、僕がはじめてその栄光に輝いてしまう、いや栄光ではない、汚点の間違いだな。
しかし、チクりさん全然出てこない。やはり口だけで床とかをどうにかするのは無理そうだ。
(このままでは、漏らしてしまう。ああ、漏らすのは嫌だでも、うっすら意識が遠のいてきた。クソ、さっきペンダントに水たまり製造機にはなりたくないと強く願うべきだった)
そう思って色々全てに絶望しかけたその時、今まで閉じていた扉が開いた。
ずっと緊迫した空気で、しばらくうっかり忘れていたけれど……僕はとても重要なことを思い出した、いや思いだしてしまった。
それは人間にとって当然の生理的欲求。そうつまり……尿意だ。
「めちゃくちゃトイレ行きたい!!」
抗いようのないその欲求が、僕の中でじわじわ存在感を増し始めている。まず、まだ正気でいられるうちに手を打たないと。
さっきは、水たまり製造機になっても良いと言ったな、あれは嘘だ。良い年して漏らすのは正直本当に色々堪えるので何とか回避したい。
一応縛り方のため内股なのは救いだ。これがもしも開脚した状態で縛られていたらもう漏らしていたかもしれない。ありがとう犯人。いや、そもそもこんなとこに監禁されていなければ僕は尿意我慢チャレンジをしないで良かったのでやっぱりありがとうは撤回しよう。
(ここに閉じ込められてどれくらいたったの?ペンダント光っているけど、えっとどうしょうそれ以外、特に変化ないし、いや待てよ、このくらいの明るさならもしかしたら縄を切れるマストアイテムを発見できるかもしれない)
なんとかトイレ(※だだしあるとは言っていない)を探すしかない。
尿意に支配されつつある頭を切り替えて、もう一度ペンダントの明かりを頼りにロープを切れないかリトライするために、僕は再び転がって汚い床を芋虫のように這いずるターンに入った。このフレーズ微妙に気に入ってしまった。ちょっと江戸川乱歩の小説みたいな気がする。あくまで気がするだけで実際は全然違うんだけど。
闇雲に転がって汚い床を芋虫のように這いずっていた時よりも、光があるため室内をある程度ちゃんと確認できるのが救いだ。しかし、前回と違い、お腹いっぱいに張りつめている感覚があるのでうっかり圧迫するとチビりそうということについては注意が必要である。
そうして念入りに汚い床を芋虫のように這いずっていると、床の1か所にチクりとするポイントがあることに気付いた。
……昔その下に刃物がある的な怖い話をみたことがあったような。
とりあえず、その床のところの板をすごく頑張って、口とか使ったりすれば外れるかもしれないと考えて、トライしてみることにした。
しかし、漫画とかアニメと違って全然うまくいかない。こういう時、自分がサバイバル・ホラーとかの主人公ならうまくできたのにとか考えてしまう。でも実際サバイバル・ホラーの主人公なら既に恐怖で随時水たまり製造機化していそうなんでなしだった。ホラーすきだけどビビりなんですよ。
大体、この物語は叔父様という神格がいる時点でサバイバル・ホラーではなくコズミック・ホラーのが近いと思う。具体的には人知の及ばない存在を目の当たりにして、定期的に正気度のチェックが必要になる感じのヤツだ。
しかし、僕の正気度の大半は人間の尊厳が危ぶまれて減っている気もするけれど、今の尿意我慢チャレンジみたいに。
(大体、尿意を我慢するとか最悪膀胱炎になってしまう)
BL本の主人公が膀胱炎になるとか生々しいから絶対にないはずなんで、僕がはじめてその栄光に輝いてしまう、いや栄光ではない、汚点の間違いだな。
しかし、チクりさん全然出てこない。やはり口だけで床とかをどうにかするのは無理そうだ。
(このままでは、漏らしてしまう。ああ、漏らすのは嫌だでも、うっすら意識が遠のいてきた。クソ、さっきペンダントに水たまり製造機にはなりたくないと強く願うべきだった)
そう思って色々全てに絶望しかけたその時、今まで閉じていた扉が開いた。
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