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22.廃嫡フレンズとはもはや運命共同体なのかもしれないと思った朝

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「僕どうかしちゃったのかな……」

体と心がおかしい。どう考えてもおかしい。何故か僕は叔父様に抱かれたいとあの頭のおかしいテレフォンセッ〇スした時に思ったとか普通に考えておかしい。

あの行為のどこに僕が叔父様に惚れる要素がある?あるとしたら僕がド変態であるということになる。

これ以上変な属性を増やしたくない。大体今の段階で廃嫡系元王太子でかつ一時は全裸、水たまり製造機の属性を持っていてやっと一部の不名誉な属性は返上したのに、おニューの汚名の登場でしかもそれがド変態とかいうド直球なうえに色々試合終了案件みたいなのが辛すぎる。

そんなことを考えて鬱屈とした賢者タイムを迎えていた僕の耳にその声が聞こえた。

「やっほー久しぶりだね、元気?」

そう話しかけてきたのは、妙に軽薄な声のこの世界の神様だ。どうやら夢の中にいるみたいだ。

「あんまり元気じゃないです。この世界で人間としての尊厳とか色々僕が失ったものを責任とって返してもらえますか?」

元はと言えばこいつのせいで僕はえらい目にあっていて、ついには開けてはいけない扉を開きかけているんだから責任のひとつやふたつやみっつや無量大数はとってほしい。

「ははは、君は随分、叔父様に作り替えられているみたいだね。その分だと処女喪失と快楽堕ちも近そうだね」

「ぎゃああああああああ、やめてください!!大体あんなアブノーマルなプレイで感じて好きになった気がするとか絶対おかしいです」

「うん、おかしいね。まぁ強制力のひとつだからな……」

その言葉に合点がいった。やっぱりあんな変態プレイで叔父様に抱かれたいとかいう変な感情が湧いてでたのは完全に強制力、この目の前のクソ神のせいだと認識した。

「そういうのやめてもらいたいんですが!?危なく僕の処女が散るところでした」

「いいじゃん散らしなよ。まぁどちらにしてももうすぐ散らすことになるんだよね」

その言葉に血の気が失せた。叔父様が帰ってきたら僕はあの状態になって腰を振りながら叔父様に……あ、アウト!!完全に僕は処女とも正常な判断力ともさよならバイバイしてしまう。

「嫌です、こうなったら抗います!!エドワードだっけやっぱりあいつについて行きます」

「そっか、いいんじゃない?」

声しかない存在のはずなのに神が満面の笑みを浮かべた気がする。えっ、何、怖いんだが。

「嫌な予感しかない。そうだエドワードって信じて大丈夫なんですか?こんな体になった責任とって教えてください」

まるでみたいな発言をしてみる。なんだろう「神に犯された」ってカッコいい言い回しじゃないか、すごい中二っぽい。でも実際に犯されるのは却下だけど。

「うーん。その辺りは君が思い出さないとなんだよね。あ、でもひとつエドワードについて話してあげられることがあるね」

「なんですか!!役に立つ話ですか??」

一応神だし、多少は役に立つだろうと信じていた頃が僕にもありました。

「ああ。君がこの間見た夢のマーティンの番外編の相手は、なんとエドワードだよ」

すげぇどうでも良いわ。いや確かに少し気にはなってたけど、でもこの貴重なやりとりで知りたい話ではなかった。

つまりエドワードはマーティンを実のお兄さんを愛していたと……そして廃嫡を機に平民になったから自分のモノにした……なんか聞き覚えのある話だな。あ、まんま僕じゃん。兄弟ってとこ除けば……。

「マーティンのことはどうでも良いですよ、それよりもっと有益な情報を……」

しかし、その時周囲の景色が歪み、そのまま眩しい光に包まれてしまった。


目を開けば、昨日のテレフォン〇ックスで大変なことになった諸々は綺麗に片付けられていた。叔父様は遠征中だと考えると……片したのは……

「おはようございます、ルーク様。昨日はお楽しみでしたね」

選ばれしエスパー系使用人クリスお前だよね。ああああ、僕、昨日確かベッドとか衣服とか割と酷い感じで寝ちゃったのにちゃんと綺麗に片付いているということはつまりそういうことです。

泣きたい気持ちを必死に抑えたが、どうやら泣き喚いてもよいタイプみたいなので、次回同じことがあったら大人としての誇りを捨てて試してみるのもありかもね。

そう思って普通にベッドから出て立ち上がる、あ、うん。服は着せてもらってないのか。いつも通り全裸+「魔導式貞操アナルプラグ」通常装備でした。クリスには僕の服着脱の権利なかったからね。仕方ない。

とりあえず、 人間の尊厳いふくを身に着けて、クリスに促されるまま食卓へ行く。するとそこへエドワードが、僕の廃嫡フレンズのマーティンに歪んだご執心をお持ちらしいエドワードがやってきた。

「おはようございます、ルーク様」

「おはよう、エドワード様」

なんだろう、いままで直視できたのに、一応仲良かった友人のマーティンにあんなことやこんなことしているかもしれないと考えると、気まずくて思わず目を反らしてしまった。

(いや、だってマーティンは実の弟君に溺愛?うーん、わからんけどなんかされてるんだよな。カップリング的にどちらが上かわからないけどとりあえずデキてますってことを考えると複雑だよな)

「どうかされましたか?」

「い。いや別に。あ、の。エドワード様はその好きな人とか恋人とかいますか?」

(なんて質問しているんだ僕!!聞いたってなにひとつ良いことないよ。なんで聞いちゃったの僕!!)

「……恋人がいます。長年片思いをしていたのですがやっと実りました、今はこちらにお世話になっていて離れ離れですが、この屋敷での仕事が終わったら念願かなってひとつになる予定です」

幸せそうに顔をほころばせるエドワード。それは今までの胡散臭いものでも社交辞令でもない本当の笑顔。つまりそれほどまでにマーティンが好きということだろう。

そして、どうやらマーティンの処女喪失期限も僕と負けず劣らず近いらしいことがわかった。廃嫡をともに分かち合った仲だけど、処女喪失カウントダウンまで分かち合うなんて、マーティンとは運命共同体なのかもしれない。すごい嫌だけど。

それはともあれ、本題に僕は入るとことにした。

「それは幸せですね。ところでエドワード様、先日の話ですがお受けしたいなと」

短く簡潔に告げた。正直その選択が正しいかは未だに謎だ。しかし神から処女喪失が近い、つまり叔父様が帰ってきたら間違いなく叔父様の手に落ちるということが分かっている以上、ここはなんとか時間稼ぎをしたい。

「なんと、てっきり断られるかと思いましたが。わかりました。こちら準備させていただいて……」

そこまで言ってから小さな声で、

「本日の夕方にはお連れ致します」と言われて、僕はそれに頷く。

(これでいい。これでいいはずだ……。)

けれどなんだろう物凄い胸騒ぎが止まらないのはなぜだろう。
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