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08.魔王は配下と対峙する(魔王様視点)
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「魔王様、なぜ人間などを保護されたのですか」
叫ぶように声を上げた男を冷たく一瞥する。
一瞬怯んだがすぐに睨んでくる年嵩の公爵位の魔族であるハイハットは、長い白髪の髭を生やした貴族院のまとめ役だ。
広い会議室には今回も所狭しと貴族階級の魔族が座っていて、彼らのほとんどがハイハットと同じ意見らしいが反感を持つ眼差しとは裏腹に何も口にはしなかった。
毎月の魔王としての義務とはいえ、貴族院との話し合いが憂鬱でないことがない。
「なぜ、それをハイハット、お前に説明する必要がある」
「魔王様は、人間がどれほど邪悪な存在か忘れたのですか??」
この世界の神々はそれぞれが自身を信奉する民と、その旗印になる存在をおつくりになった。
我々、『魔』もそのひとつであり、魔王とは神の代行者である。
神々には不可侵の条約があり、それぞれの民は各で幸福に暮らしていた。
しかし、人間はその理に反した行動をとりだの他の神々への領地への侵略行為や、自身の神までも欺いたためついには神は人間に対して手を引いてしまった。
その結果、人間は自身らの存続が危ぶまれたため豊かな領地を持つ魔族や妖精族に対して戦争を起こした。
そして、その際に神から加護を得れない自身らの都合のために、他の異世界の人間、正確には神の加護を持つ人間達の世界の存在を無理やり召喚し、旗印、『勇者』として我々を邪悪な存在と教えこみ戦わせるような野蛮な奴らだ。
ハイハットの言葉は魔族の立場からしては間違えていない。
しかし……、
「私がそれを忘れると思うのか??」
「ならなぜ……、イリス様のことを殺した人間を城に……うっ!?」
イリスの名が出た瞬間私は怒りを抑えきれなくなった。
反射的にハイハットの動きを魔法で拘束し、首を締め上げた。
「イリスを語るな……」
私は忘れない。確かにイリスを殺したのは人間だが、イリスが死ぬ要因を作ったのはここにいる貴族達だ。
イリスを下級魔族として差別し、精神的に苛んだ原因を作った奴らがまるで、イリスを今更同胞のように語るのが許せなかった。
その顔が酸欠で赤くなる。
「魔王様、おやめください!!」
止めようとした連中を薙ぎ払いながら、私は恐怖に震えたヤツらを見渡して告げる。
「私は忘れていない。人間がしたことと同じようにお前らがした全ても」
ハイハットを軽く放り投げると、グシャっと音を立てて床に転がった。
そうしてから、全体を見渡せば皆が震えて跪いていた。
「それから、レイジは私の宝物だ。次はない、覚えておけ」
私は伝えるべきことを伝えて終えたのでそのままその場を立ち去った。
「魔王様、お待ちください」
慌てたようにやって来たのはフラムだった。
フラムはレイジがこの城に来た日に最初に遭遇した魔族だ。
レイジに暴行をしたので本来なら殺したかったが、あの時の行動自体は誤りではなかったので一旦謹慎をさせるだけにしていた。
「……お前は謹慎中のはずだが??」
「申し訳ございません。しかし、どうしても急ぎでお伝えしたいことがございまして……」
そうフラムが言いかけた時だった。
「魔王様、大変です!!レイジ様が……」
叫ぶように声を上げた男を冷たく一瞥する。
一瞬怯んだがすぐに睨んでくる年嵩の公爵位の魔族であるハイハットは、長い白髪の髭を生やした貴族院のまとめ役だ。
広い会議室には今回も所狭しと貴族階級の魔族が座っていて、彼らのほとんどがハイハットと同じ意見らしいが反感を持つ眼差しとは裏腹に何も口にはしなかった。
毎月の魔王としての義務とはいえ、貴族院との話し合いが憂鬱でないことがない。
「なぜ、それをハイハット、お前に説明する必要がある」
「魔王様は、人間がどれほど邪悪な存在か忘れたのですか??」
この世界の神々はそれぞれが自身を信奉する民と、その旗印になる存在をおつくりになった。
我々、『魔』もそのひとつであり、魔王とは神の代行者である。
神々には不可侵の条約があり、それぞれの民は各で幸福に暮らしていた。
しかし、人間はその理に反した行動をとりだの他の神々への領地への侵略行為や、自身の神までも欺いたためついには神は人間に対して手を引いてしまった。
その結果、人間は自身らの存続が危ぶまれたため豊かな領地を持つ魔族や妖精族に対して戦争を起こした。
そして、その際に神から加護を得れない自身らの都合のために、他の異世界の人間、正確には神の加護を持つ人間達の世界の存在を無理やり召喚し、旗印、『勇者』として我々を邪悪な存在と教えこみ戦わせるような野蛮な奴らだ。
ハイハットの言葉は魔族の立場からしては間違えていない。
しかし……、
「私がそれを忘れると思うのか??」
「ならなぜ……、イリス様のことを殺した人間を城に……うっ!?」
イリスの名が出た瞬間私は怒りを抑えきれなくなった。
反射的にハイハットの動きを魔法で拘束し、首を締め上げた。
「イリスを語るな……」
私は忘れない。確かにイリスを殺したのは人間だが、イリスが死ぬ要因を作ったのはここにいる貴族達だ。
イリスを下級魔族として差別し、精神的に苛んだ原因を作った奴らがまるで、イリスを今更同胞のように語るのが許せなかった。
その顔が酸欠で赤くなる。
「魔王様、おやめください!!」
止めようとした連中を薙ぎ払いながら、私は恐怖に震えたヤツらを見渡して告げる。
「私は忘れていない。人間がしたことと同じようにお前らがした全ても」
ハイハットを軽く放り投げると、グシャっと音を立てて床に転がった。
そうしてから、全体を見渡せば皆が震えて跪いていた。
「それから、レイジは私の宝物だ。次はない、覚えておけ」
私は伝えるべきことを伝えて終えたのでそのままその場を立ち去った。
「魔王様、お待ちください」
慌てたようにやって来たのはフラムだった。
フラムはレイジがこの城に来た日に最初に遭遇した魔族だ。
レイジに暴行をしたので本来なら殺したかったが、あの時の行動自体は誤りではなかったので一旦謹慎をさせるだけにしていた。
「……お前は謹慎中のはずだが??」
「申し訳ございません。しかし、どうしても急ぎでお伝えしたいことがございまして……」
そうフラムが言いかけた時だった。
「魔王様、大変です!!レイジ様が……」
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