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30:強制力に関する考察と珍しく良いことを言った竜王様
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「ただ、だとしたら気になるのが物語の強制力がなんとなく弱い気がすることですかね??兄上が主人公の話の前、母上がヒロインの話の強制力は強いのに何か差があるのだろうか……」
この世界の強制力は強いはずだ。しかし、弟の話からは僕は原作では、小さいまま襲われているという狂気的な事実を突きつけられたが、実際は小さいままでは現段階では先っちょだけだし、基本は大きくなって抱かれている。
「……謎ですね。母上は強制力に相当翻弄されているようだったのに、何が違う??」
不特定要素は潰したいが、正直分からない。一応、既に終わった前作の内容を弟に読んで確認してもらい、実際の事象とすり合わせるべきだろうかと考えた時、いきなり今まで聞いていた竜王様が笑った。
「ははは、ティラノたん。多分それはとても簡単なことなのかもしれない」
「簡単ですか??」
首を傾げる僕に、「首傾げてるのも美しい。ああ、その傾げている側の首筋のにおいくんかくんかしたい」とか変態が呟いているのは無視することにしよう。
ただ、母上の日記から、正妃は母上を陥れたということだけは分かる。母上に対して悪意を持っていた、そして悪意により強制力が働いているとも感じた。
「悪意ですかね……。強い悪意が強制力を作るとか……」
正妃のあの嘲るような目が浮かぶ。あの女は深い憎しみを抱いていたはずだ。
「うーん、それも外れてないけど、これは予測だけど多分、主人公の強い意思が強制力になるんじゃないかな??」
その言葉に、ハッとした。それなら確かに辻褄が合うかもしれない。つまり、原作の主人公が「願ったこと」が形になる、つまり正妃は母の優しさなど関係なく断罪したい、酷い目に遭わせたいと強く願ったから、それが強制力、正確には原作と同じ展開を導いたのだろう。
逆に正妃でもそこまで強く願わなければ、強制力にはならなかったのかもしれない。そこで気になるのが、一体現在は僕と正妃どちらが主人公かという疑問だ。
一応弟曰く、既に僕のストーリーということらしいが……。
「つまり、ティラノたんが僕と1週間性行為をしたのは完全にティラノたんの強い意思ということだね。うんうん。嬉しい限りだよ」
「はっ!?兄上になにしてんの!!変態竜王、本当に俺の兄上、もといピヨ上に先っちょ以外いれてないですよね??いや、先っちょも相当許せないですが、原作だともう少し挿れたり、後メイドさんなお洋服や、猫耳しっぽを……って、兄上目怖っ!!」
変なところで僕の願いが捏造されているのを止めつつ考える。僕が願えば、強く考えて復讐をすれば正妃とも戦えるのだろう。ただ、そのために僕は、もっと強くなる必要がある気がした。
(今のままでは、僕は結局ヨグ様や、イグ様、ナイアさんに頼ってばかりだ。これではいけない。もっと強くなりたい……)
「可愛い番よ、強さを望むか」
いきなり、魔王みたいな口調で問いかけてきたヨグ様。完全なる悪ふざけだろう。チッとうっかり漏れた本音の舌打ちをしてから、頷く。
「ならば、我らが力を授けよう」
「いや。僕自身が強くならないといけないと思うのですが……」
その言葉にヨグ様が少し切ない顔をした。そして、いつの間にか僕を抱きしめながら優しい声で囁いた。
「いいかい、君は頼れる相手がほとんどいない場所で長年戦い、自分ひとりが強くなる道を選んできたと思う。けれど今は君の味方が沢山いる。だから、その味方に頼ることを覚えてほしい。ひとりでは怖くても僕が手をいつだって握って隣にいる。怖かったら叫んでおくれ、必ず助けるから」
「……」
そんな言葉を誰かに言われる日が来るなんて考えたこともなかった。すべてひとりで成し遂げて戦わないといけないと考えていたから、頼るなんてできなかったから。
僕は少し腹が立つような気持ちをあたたかいぬくもりにまどろむような気持ちで、ただなにも言えなくなる。けれど僕の背中をあたたかい手でポンポンと叩かれれば、母の腕の中でただ眠っていただろう遠い日を思い出すような不思議な気持ちになる。
「僕の大切な番。君はどんなことがあっても僕が守るべき人で、僕と一緒に生きてくれる人なんだよ。だから、君の首筋のかおりを嗅ぎたくなるくらいは許してね。くんかくんか」
「色々台無しです。でも、それでも……」
「あの、俺がいることふたりとも忘れてませんか??」
弟が後ろから、すごい顔で見ている。変態に正論を言われて少しイラっとしたが、活路は見えたかもしれない。とりあえず僕が思う復讐をはじめよう。
この世界の強制力は強いはずだ。しかし、弟の話からは僕は原作では、小さいまま襲われているという狂気的な事実を突きつけられたが、実際は小さいままでは現段階では先っちょだけだし、基本は大きくなって抱かれている。
「……謎ですね。母上は強制力に相当翻弄されているようだったのに、何が違う??」
不特定要素は潰したいが、正直分からない。一応、既に終わった前作の内容を弟に読んで確認してもらい、実際の事象とすり合わせるべきだろうかと考えた時、いきなり今まで聞いていた竜王様が笑った。
「ははは、ティラノたん。多分それはとても簡単なことなのかもしれない」
「簡単ですか??」
首を傾げる僕に、「首傾げてるのも美しい。ああ、その傾げている側の首筋のにおいくんかくんかしたい」とか変態が呟いているのは無視することにしよう。
ただ、母上の日記から、正妃は母上を陥れたということだけは分かる。母上に対して悪意を持っていた、そして悪意により強制力が働いているとも感じた。
「悪意ですかね……。強い悪意が強制力を作るとか……」
正妃のあの嘲るような目が浮かぶ。あの女は深い憎しみを抱いていたはずだ。
「うーん、それも外れてないけど、これは予測だけど多分、主人公の強い意思が強制力になるんじゃないかな??」
その言葉に、ハッとした。それなら確かに辻褄が合うかもしれない。つまり、原作の主人公が「願ったこと」が形になる、つまり正妃は母の優しさなど関係なく断罪したい、酷い目に遭わせたいと強く願ったから、それが強制力、正確には原作と同じ展開を導いたのだろう。
逆に正妃でもそこまで強く願わなければ、強制力にはならなかったのかもしれない。そこで気になるのが、一体現在は僕と正妃どちらが主人公かという疑問だ。
一応弟曰く、既に僕のストーリーということらしいが……。
「つまり、ティラノたんが僕と1週間性行為をしたのは完全にティラノたんの強い意思ということだね。うんうん。嬉しい限りだよ」
「はっ!?兄上になにしてんの!!変態竜王、本当に俺の兄上、もといピヨ上に先っちょ以外いれてないですよね??いや、先っちょも相当許せないですが、原作だともう少し挿れたり、後メイドさんなお洋服や、猫耳しっぽを……って、兄上目怖っ!!」
変なところで僕の願いが捏造されているのを止めつつ考える。僕が願えば、強く考えて復讐をすれば正妃とも戦えるのだろう。ただ、そのために僕は、もっと強くなる必要がある気がした。
(今のままでは、僕は結局ヨグ様や、イグ様、ナイアさんに頼ってばかりだ。これではいけない。もっと強くなりたい……)
「可愛い番よ、強さを望むか」
いきなり、魔王みたいな口調で問いかけてきたヨグ様。完全なる悪ふざけだろう。チッとうっかり漏れた本音の舌打ちをしてから、頷く。
「ならば、我らが力を授けよう」
「いや。僕自身が強くならないといけないと思うのですが……」
その言葉にヨグ様が少し切ない顔をした。そして、いつの間にか僕を抱きしめながら優しい声で囁いた。
「いいかい、君は頼れる相手がほとんどいない場所で長年戦い、自分ひとりが強くなる道を選んできたと思う。けれど今は君の味方が沢山いる。だから、その味方に頼ることを覚えてほしい。ひとりでは怖くても僕が手をいつだって握って隣にいる。怖かったら叫んでおくれ、必ず助けるから」
「……」
そんな言葉を誰かに言われる日が来るなんて考えたこともなかった。すべてひとりで成し遂げて戦わないといけないと考えていたから、頼るなんてできなかったから。
僕は少し腹が立つような気持ちをあたたかいぬくもりにまどろむような気持ちで、ただなにも言えなくなる。けれど僕の背中をあたたかい手でポンポンと叩かれれば、母の腕の中でただ眠っていただろう遠い日を思い出すような不思議な気持ちになる。
「僕の大切な番。君はどんなことがあっても僕が守るべき人で、僕と一緒に生きてくれる人なんだよ。だから、君の首筋のかおりを嗅ぎたくなるくらいは許してね。くんかくんか」
「色々台無しです。でも、それでも……」
「あの、俺がいることふたりとも忘れてませんか??」
弟が後ろから、すごい顔で見ている。変態に正論を言われて少しイラっとしたが、活路は見えたかもしれない。とりあえず僕が思う復讐をはじめよう。
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