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閑話:炎の妖精と呼ばれたある側妃の日記(抜粋)01
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この世界の強制力が強すぎる。結果私は、一切姉をいじめていないしその事実もないのもかかわらず、姉が行った偽装工作により、断罪されて婚約破棄を言い渡された。
ただ、私はある事実に気付いている。その事実が正しければ私はこの強制力から逃れることができるはずだ。
まず、復習するとこの世界は書籍版の世界で間違いないはずだ。展開がweb版にはないもの、修正されたもので進行している。
それならば、この後、私は処刑や国外追放は一旦されない。
何故なら姉は王妃教育がまだ出来ていない。正妃としてのマナーが身につくまでの間、私は公務のために側妃に召し抱えられる。そしてこき使われて愛されもせず精神的な痛みを伴いながら、幼い我が子を残して過労死することになる。それが罪滅ぼしとなっている。
書籍版で読んだときは斬新なざまぁだなとも思ったが、実際なんの罪も犯していないのにこんなことをされると、腹が立つを通りこして虚無のような気持ちになりそうだ。
けれど、私の中の炎のように熱い気持ちがこう叫ぶ「諦めんなよ! 諦めんなよ、お前!! どうしてそこでやめるんだ」と。そうだ私はやめてはいけない、止まってはいけない。
突破口を見つけたら、私は壁を叩き続けるだけだ。
婚約破棄をされたここからが勝負だ。そして、私が得ている情報はまだ幼い息子に遺さないといけない。そうして分かりにくくて申し訳ないが、この日記に私は息子のためにそれを記そう。そして、姉、いやこの世界の現ヒロインにこの存在がバレないように、バレても情報が洩れないように魔法をかけたい。
そう考えて私は、街で評判の魔術師に会うことにした。大丈夫。私が魔術師と接触するという内容はこの世界の強制力には含まれないはずだから。
************************
魔術師に会った。彼はとても気さくで紳士的な人だった。今までこの世界に転生してからどこかとても孤独だったけれど、この人に出会えてよかったとはじめて思えた。
この国では珍しい浅黒い肌をした綺麗なその人は、蕩けるような優しい笑顔をして、私の話を親身になって聞いてくれた。転生者である話はするつもりがなかったけれどその金色の瞳に見つめられたら話してしまった。
そうして、日記に合言葉を正しく言わなければ解けない魔術をかけてもらった。
************************
側妃として迎えられた。既に姉と番なのだから、私と初夜などしなくていいのに、そこだけ義務で抱かれた。
義務で本当に愛のない行為は虚しかった。ただ、この行為により私はたったひとりの息子を妊娠するはずだ。悲しいけれど愛のない結婚で私は子を孕まないといけない。
その行為の最中、なぜかあの魔術師の人の顔が浮かんだ。あの人となら私は幸せに抱き合えたかもしれない。そんな絵空事を想った。実は不思議なあの人はあの後も夜にたまに会いに来てくれた。
そうして、私が強制力を打ち破るための相談をするといつも笑顔で。
「私には熱さがないから貴方の熱さが眩しい。大丈夫、何かあっても私が貴方を手伝いしましょう」
と言ってくれた。この世界で強制力の及ばないところで生まれたその得難い絆。そして沸き立つような深い愛情。この感覚が単純な恋なのか私にはまだ分からないけれど愛のない行為を愛のない人としたからかあの人の顔が浮かんで涙が止まらない。
ただ、私はある事実に気付いている。その事実が正しければ私はこの強制力から逃れることができるはずだ。
まず、復習するとこの世界は書籍版の世界で間違いないはずだ。展開がweb版にはないもの、修正されたもので進行している。
それならば、この後、私は処刑や国外追放は一旦されない。
何故なら姉は王妃教育がまだ出来ていない。正妃としてのマナーが身につくまでの間、私は公務のために側妃に召し抱えられる。そしてこき使われて愛されもせず精神的な痛みを伴いながら、幼い我が子を残して過労死することになる。それが罪滅ぼしとなっている。
書籍版で読んだときは斬新なざまぁだなとも思ったが、実際なんの罪も犯していないのにこんなことをされると、腹が立つを通りこして虚無のような気持ちになりそうだ。
けれど、私の中の炎のように熱い気持ちがこう叫ぶ「諦めんなよ! 諦めんなよ、お前!! どうしてそこでやめるんだ」と。そうだ私はやめてはいけない、止まってはいけない。
突破口を見つけたら、私は壁を叩き続けるだけだ。
婚約破棄をされたここからが勝負だ。そして、私が得ている情報はまだ幼い息子に遺さないといけない。そうして分かりにくくて申し訳ないが、この日記に私は息子のためにそれを記そう。そして、姉、いやこの世界の現ヒロインにこの存在がバレないように、バレても情報が洩れないように魔法をかけたい。
そう考えて私は、街で評判の魔術師に会うことにした。大丈夫。私が魔術師と接触するという内容はこの世界の強制力には含まれないはずだから。
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魔術師に会った。彼はとても気さくで紳士的な人だった。今までこの世界に転生してからどこかとても孤独だったけれど、この人に出会えてよかったとはじめて思えた。
この国では珍しい浅黒い肌をした綺麗なその人は、蕩けるような優しい笑顔をして、私の話を親身になって聞いてくれた。転生者である話はするつもりがなかったけれどその金色の瞳に見つめられたら話してしまった。
そうして、日記に合言葉を正しく言わなければ解けない魔術をかけてもらった。
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側妃として迎えられた。既に姉と番なのだから、私と初夜などしなくていいのに、そこだけ義務で抱かれた。
義務で本当に愛のない行為は虚しかった。ただ、この行為により私はたったひとりの息子を妊娠するはずだ。悲しいけれど愛のない結婚で私は子を孕まないといけない。
その行為の最中、なぜかあの魔術師の人の顔が浮かんだ。あの人となら私は幸せに抱き合えたかもしれない。そんな絵空事を想った。実は不思議なあの人はあの後も夜にたまに会いに来てくれた。
そうして、私が強制力を打ち破るための相談をするといつも笑顔で。
「私には熱さがないから貴方の熱さが眩しい。大丈夫、何かあっても私が貴方を手伝いしましょう」
と言ってくれた。この世界で強制力の及ばないところで生まれたその得難い絆。そして沸き立つような深い愛情。この感覚が単純な恋なのか私にはまだ分からないけれど愛のない行為を愛のない人としたからかあの人の顔が浮かんで涙が止まらない。
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