最恐変態ヤンデレ竜王様は番の生贄ひよこ王子が可愛くって仕方ないので世界を滅ぼす約束をした

ひよこ麺

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15:復讐をスタートしたピヨちゃん

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「準備が出来まして。ナイアさんお願いいたします」

僕は服を脱いで、自身に透明化の魔法をかけて、そう伝えた。

「分かりました。では」

そう言って指をナイアさんが鳴らすと、僕は王城の元自室にいた。そこは以前と変わらず粗末な部屋だった。いや、部屋というより物置小屋に無理やり粗末なベッドなどが置かれているだけの本当に最悪の部屋だった。

(嫌な記憶が蘇るな……)

まだ母上が生きている頃は僕は母上と同じ部屋で生活をしていた。

母上は一応側妃であったし、押し付けられた公務をいつもひとりでこなして忙しかったため、あまり部屋には戻れなかったがそれでもちゃんとした王族の部屋に僕と住んでいた。

母上には公爵家からついてきた使用人が何人かついていたので、その使用人達が僕の世話をしてくれてもいた。

思えば、王宮の使用人はその当時から僕の世話をすることはなかった。かの王宮では使用人とは言っても身分のしっかりしている中堅貴族の嫡男以外が多かった。

だから、彼等、彼女等のプライドが名ばかりの王族である僕に仕えるなど許せなかったのだろう。

その弊害は母上が亡くなってすぐに訪れた。

側妃の部屋にいられなくなった僕は、王宮の端にある罪を犯したり、精神を蝕んだ王族を幽閉するためにある塔に入れられた。それがこの部屋だ。

閉じこめられている訳ではなかったが、そこから出てもまるで透明人間ででもあるように僕の存在は徹底的に無視された。そして、塔へやってきて僕の世話を言い渡された使用人は正妃の息がかかっている連中で、僕の世話などしなかった。

表立って暴力は振るわないが、僕に支給された使ようだ。それについて国王はなにひとつ追及することはなかった。

だから、僕はいつもボロボロで、なんとか冷たい井戸の水で体を洗い、着古した服も自分で洗濯していた。服についても勿論新しく与えられることがなかったので、僕が成長が著しく遅くなければ全裸で過ごさないといけなかったかもしれない。

食事は一応出たが、それは残飯だったらしく、使用人より粗末なものだったと後で僕を救ってくれた弟が憤慨していた。

そんな地獄のような生活を送っていた場所にやってきた時、もうトラウマなど忘れているだろうと思っていたのに、嫌な記憶が脳内に浮かんでしばらく動けなくなった。

『なんてひどい。やはり燃やしてしまいたい』

そんな僕の脳内に直接慣れたヨグ様の声が話しかけてきた。

(どういうことですか、何故……)

『ああ、今しゃべれないし透明になっているからティラノたんの脳に直接語り掛けているよ。僕の姿が見えないだろう??ちなみに僕にはティラノたんのエッチで美しい全裸の姿がはっきり見えているよ。はぁはぁ』

(毒電波を流すだけなら邪魔なんで先に帰ってくれませんか??)

『ははは。相変わらずの冷たい対応。野外というか人の家だと思うとすごく興奮するな。ティラノたんに今見えないしそれをいいことにちょっとした悪戯を……』

(それより、さっさと日記を回収しないと……)

しかし、先ほどから僕はトラウマもあるがある事情でその場を動けないでいた。今は夜中。真っ暗な物置同然で使用されていない部屋になど人は誰ひとりいないはずだった。

「……どこに隠したの」

そうまるで幽鬼のような青白い顔色をした正妃がさきほどからこの部屋をランタンひとつで照らしながら何かを探しているのがわかった。

僕は息を潜めて憎い仇を見つめる。

が残したアレを見つけ出さないと。私には確かに神が味方しているけれどあの話が本当なら早く手を打たないと大変なことになる……」

『あの女がティラノたんをここに入れて虐待していた女??』

(そうです)

『ティラノたん、殺していいかな??いや、でもすぐ殺したら僕の可愛い可愛い大切な大切な世界の始まりから待ち望んだ永遠の番であるティラノたんの苦しみの1%も与えられない。だとしたら、あはっ。そうだな、無間地獄っていういい場所があって……』

(前に話しましたが、あの女への復讐は僕が成し遂げます。だから手出しは無用です)

そう答えながら、なぜかと感じてしまった。僕の憎しみを理解してくれているといことが嬉しいなど、番というのは思ったより厄介なのかもしれないがそれについては一旦忘れることにした。
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