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閑話:裁くまでもなく自爆した令嬢達の話(ざまぁ有、モブ視点有)
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「……どうして、こんなことになっているの??」
私は震えていた。だって全てがうまくいくと私は思っていた。それなのに……。
「貴方がダラス子爵令嬢ね。ふふふ、ルキオ殿下とそういう関係でいらっしゃった方ね」
そう言って笑う女達。彼女は侯爵令嬢とその取り巻きだ。私より爵位は高いけど地味な容姿でそこまでモテるタイプの女ではない彼女達。正直表向きは従うふりをしながら見下していた。だって私のが可愛いしモテるのだから。
確かに私は子爵令嬢でしかも三女だ。我が家は長男である弟が家を継ぎ、姉ふたりにもなんとか婚約者が居たが私だけは貧乏な子爵家では縁談をまとめることができなかった。
なので、なんとか高位貴族の愛人になるために、自身の容姿を使い婚約者がいるような殿方にばかり目をつけて、誘惑していた。
彼女達の婚約者とも私は、一時期体の関係があったり、婚約者そっちのけで愛を語る人もいたくらい親密だったりもした。
特にリーダーの侯爵令嬢の婚約者だった伯爵令息のクリスは「彼女と婚約を破棄して君と結婚する」とまでいってくれるほど私にのめり込んでいた。
(それなのに……)
クリス含めて、彼女達の婚約者はある日を境に私との関係を清算した。あれだけ愛を囁いておきながらまるで最後は汚物でも見るような蔑んだ目で私を見ていた。理由が全く分からなかった。
それは、大層な大金と引き換えにある証言をしてほしいという打診だった。
ルキオ殿下との体の関係をほのめかす証言をしてほしいというその打診を私は大金に目がくらんで引き受けた。
高貴な血筋の方に見初められたことになれば、更に私の価値が高まり良い令息の愛人になれると踏んでの判断でもあった。
しかし、それが私を地獄へと突き落とす原因になったのだ。私は下級貴族の娘だから知らなかった、ルキオ殿下がどういう立ち位置で、どのような王子様であるかを……。
「いつもたくさんの婚約者のいる殿方を誘惑されておりましたが、まさかあのような幼い外見の殿下まで手籠めにしていたなんて私には真似できませんわ」
「そうね、成長が著しく遅い『竜の遅れ子』であるルキオ殿下のお相手が出来るなんて。ここだけのお話しですが殿下は男性機能すらまだないという噂もございますのよ」
「まぁ、確かに生贄にされた際に殿下のお体を見ましたが男女差も出ていないくらいの幼い少年にしか見えませんでしたわね。私にはまだ学園にも通っていない弟がおりますが、ルキオ殿下のお体はその弟くらいの年齢に見えましたわ。とてもじゃないですが男性として行為に及ぶなんて想像もできませんわ」
そう言ってくすくすと蔑むように笑う。周囲にいる他の令嬢、令息も大体が同じような様子でひそひそ話ながら私を見ている。
(知らなかったのよ……)
公の場にほとんど姿を現さないルキオ殿下。てっきり病弱だけれど王太子殿下のような素敵な殿方だと思っていた。けれど『竜の遅れ子』だったなんて知っていれば絶対に大金を貰えると保証されてもあんな証言はしなかった。
私のように愛人を狙って、婚約者のいる高位貴族の令息に学園で近づく下級貴族の娘は多かった。そして彼女達の大半が私のようにその話にのって同じ地獄を味わっているという。
「けれど残念ね。愛するルキオ殿下は生贄になってしまわれたのよ。もうまともな殿方は貴方のような特殊な趣味のご令嬢を受け入れてはくれませんわね」
「そうね。ふふふ。そう言えば貴方と浮気をしていた私の婚約者もヨリを戻したいと泣きついてきたわ、愚かよね」
そう言って私を嘲り笑う女達と、ひそひそ陰口を話す周囲に私は耐えられなくなり駆け出した。
*************************************
王国ではルキオが生贄になってからしばらく、令嬢の自殺が相次いだという。それはみなルキオと関係があると証言した令嬢ばかりで、きっと生贄にされた愛おしい殿下を想っての後追い自殺だと皆に噂されたが、それも真新しいスキャンダルに塗り替えられてすぐに話題にもならなくなったという。
私は震えていた。だって全てがうまくいくと私は思っていた。それなのに……。
「貴方がダラス子爵令嬢ね。ふふふ、ルキオ殿下とそういう関係でいらっしゃった方ね」
そう言って笑う女達。彼女は侯爵令嬢とその取り巻きだ。私より爵位は高いけど地味な容姿でそこまでモテるタイプの女ではない彼女達。正直表向きは従うふりをしながら見下していた。だって私のが可愛いしモテるのだから。
確かに私は子爵令嬢でしかも三女だ。我が家は長男である弟が家を継ぎ、姉ふたりにもなんとか婚約者が居たが私だけは貧乏な子爵家では縁談をまとめることができなかった。
なので、なんとか高位貴族の愛人になるために、自身の容姿を使い婚約者がいるような殿方にばかり目をつけて、誘惑していた。
彼女達の婚約者とも私は、一時期体の関係があったり、婚約者そっちのけで愛を語る人もいたくらい親密だったりもした。
特にリーダーの侯爵令嬢の婚約者だった伯爵令息のクリスは「彼女と婚約を破棄して君と結婚する」とまでいってくれるほど私にのめり込んでいた。
(それなのに……)
クリス含めて、彼女達の婚約者はある日を境に私との関係を清算した。あれだけ愛を囁いておきながらまるで最後は汚物でも見るような蔑んだ目で私を見ていた。理由が全く分からなかった。
それは、大層な大金と引き換えにある証言をしてほしいという打診だった。
ルキオ殿下との体の関係をほのめかす証言をしてほしいというその打診を私は大金に目がくらんで引き受けた。
高貴な血筋の方に見初められたことになれば、更に私の価値が高まり良い令息の愛人になれると踏んでの判断でもあった。
しかし、それが私を地獄へと突き落とす原因になったのだ。私は下級貴族の娘だから知らなかった、ルキオ殿下がどういう立ち位置で、どのような王子様であるかを……。
「いつもたくさんの婚約者のいる殿方を誘惑されておりましたが、まさかあのような幼い外見の殿下まで手籠めにしていたなんて私には真似できませんわ」
「そうね、成長が著しく遅い『竜の遅れ子』であるルキオ殿下のお相手が出来るなんて。ここだけのお話しですが殿下は男性機能すらまだないという噂もございますのよ」
「まぁ、確かに生贄にされた際に殿下のお体を見ましたが男女差も出ていないくらいの幼い少年にしか見えませんでしたわね。私にはまだ学園にも通っていない弟がおりますが、ルキオ殿下のお体はその弟くらいの年齢に見えましたわ。とてもじゃないですが男性として行為に及ぶなんて想像もできませんわ」
そう言ってくすくすと蔑むように笑う。周囲にいる他の令嬢、令息も大体が同じような様子でひそひそ話ながら私を見ている。
(知らなかったのよ……)
公の場にほとんど姿を現さないルキオ殿下。てっきり病弱だけれど王太子殿下のような素敵な殿方だと思っていた。けれど『竜の遅れ子』だったなんて知っていれば絶対に大金を貰えると保証されてもあんな証言はしなかった。
私のように愛人を狙って、婚約者のいる高位貴族の令息に学園で近づく下級貴族の娘は多かった。そして彼女達の大半が私のようにその話にのって同じ地獄を味わっているという。
「けれど残念ね。愛するルキオ殿下は生贄になってしまわれたのよ。もうまともな殿方は貴方のような特殊な趣味のご令嬢を受け入れてはくれませんわね」
「そうね。ふふふ。そう言えば貴方と浮気をしていた私の婚約者もヨリを戻したいと泣きついてきたわ、愚かよね」
そう言って私を嘲り笑う女達と、ひそひそ陰口を話す周囲に私は耐えられなくなり駆け出した。
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王国ではルキオが生贄になってからしばらく、令嬢の自殺が相次いだという。それはみなルキオと関係があると証言した令嬢ばかりで、きっと生贄にされた愛おしい殿下を想っての後追い自殺だと皆に噂されたが、それも真新しいスキャンダルに塗り替えられてすぐに話題にもならなくなったという。
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