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35.会いたくなかった婚約者との迎合
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「……イヴァン殿下」
目の前に僕の首コロスイッチもとい、死亡フラグもとい、一応婚約者であるイヴァン殿下が立っていました。
その表情は、僕が知るかの人のイメージ通りあたたかさよりは冷たい感じがしました。ほんの1ミリ、いえ1ミリミクロンくらいはもしかしたら今回のイヴァン殿下が優しいという可能性も考えていましたが違いそうです。
今回はヴァンさんやシューゾーというイレギュラーが起きたので、ほんの少しだけ期待してたいのかもしれません。けれど、このイヴァン殿下と向き合ったことでそのイレギュラーにはやはり僕の幸せは含まれていない可能性が高いことを理解しました。
こういう時、太陽神なら『崖っぷちありがとう!! 最高だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!お米食べろ!!』とこの崖っぷちにも向かうべきだとおっしゃると思います。実際僕もそうするべきだと思うべきなのですが、この部分について首コロリ10回、この人を慕い続け裏切られ続けた記憶がどうしてもそれを邪魔してしまいます。
あの目を、僕を婚約者にしてもそれが本心ではなかったことが分かってしまう表情に忘れたはずの痛みが胸にズキリと痛みが走ってしまいます。
「どうした、顔色が悪い。無理はするな」
そんな僕に、ヴァンさんがすかさず肩をかしてくださいました。ヴァンさんは距離も近いしトイレの天井に張り付いてるようなストーカー気質なアレな人ですが、その肩から伝わってくるあたたかさが今は有難いです。
しかし、流石に婚約者の前でヴァンさんに頼るのは、僕だけではなくヴァンさんの命まで危険に晒しかねません。なんせ、僕が邪魔になり冤罪で首を平気でコロリ出来るイヴァン殿下の前なのですから。
「ありがとうございます、少し馬車で移動したので酔ったのかもしれません。イヴァン殿下、ご挨拶をちゃんとできず申し訳ございません」
「いや。気にするな。君は俺の婚約者だ。もう少し、その……」
何かを言いかけたイヴァン殿下が何故か黙ってしまいました。原因が全く分からないがこれはチャンスかもしれません。
「イヴァン殿下、ルドルフは具合が悪いようなのでこれで失礼いたします」
そう言って、無理やり腕を引いて立ち去ろうとする。
「ヴァンさん、流石に殿下に失礼です!!」
首コロリを平気でしちゃうイヴァン殿下の前で、ヴァンさんがまるで地雷原でタップダンスするくらい危険な発言をしています。このままだと、最悪僕だけでなくヴァンさんともども不貞の疑いとかでふたり仲良死してしまう可能性があります。
ダブル首コロリは絶対ダメです。
「……いや、構わない。その代わり明日にでも湖でふたりで会う時間がほしい。湖でカヌーにふたりきりで乗りたいんだが……」
(ええええええ!!それは見える死亡フラグでは、何としても断らないと!!)
そう思ったのに、何故か先ほどまですごい強く殿下から守ってくれたはずのヴァンさんが、ニッコリと笑い。
「そうですね。婚約者同士仲良くした方が良いですね」
と突如180度態度を変えたのだ。あまりの出来事に目を見開いて呆然とする僕にヴァンさんは小声で囁きました。
「心配するな。俺もちゃんと監視しているから」
いや、監視うんぬんではなく殿下とふたりきりとか見える死亡フラグを折りたい、そう思いましたが……。
「よかった。では、また明日迎えに行こう」
そう言うなりそそくさと去って行く殿下。違和感が半端ないです。だってイヴァン殿下は僕に全く興味のない様子だったのに何故あのような誘いをしてきたのでしようか。
あまりのことに固まる僕でしたが、マイキーがニカッと笑って言いました。
「明日予定入ったけど、その分、今日遊びまくろう」
「うん、ありがとう……」
湖では何泊掠る予定でしたが、とりあえず明日の面倒ごとは一旦忘れることにしましょう。僕は太陽神の信者。とりあえず今を一生懸命生きるのです。
そう切り替えたおかげで、僕は久々に親友とストーカーもといヴァンさんとなんやかんや楽しい1日目を湖で送ることができました。それにより、太陽神の偉大さを再確認しました。
目の前に僕の首コロスイッチもとい、死亡フラグもとい、一応婚約者であるイヴァン殿下が立っていました。
その表情は、僕が知るかの人のイメージ通りあたたかさよりは冷たい感じがしました。ほんの1ミリ、いえ1ミリミクロンくらいはもしかしたら今回のイヴァン殿下が優しいという可能性も考えていましたが違いそうです。
今回はヴァンさんやシューゾーというイレギュラーが起きたので、ほんの少しだけ期待してたいのかもしれません。けれど、このイヴァン殿下と向き合ったことでそのイレギュラーにはやはり僕の幸せは含まれていない可能性が高いことを理解しました。
こういう時、太陽神なら『崖っぷちありがとう!! 最高だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!お米食べろ!!』とこの崖っぷちにも向かうべきだとおっしゃると思います。実際僕もそうするべきだと思うべきなのですが、この部分について首コロリ10回、この人を慕い続け裏切られ続けた記憶がどうしてもそれを邪魔してしまいます。
あの目を、僕を婚約者にしてもそれが本心ではなかったことが分かってしまう表情に忘れたはずの痛みが胸にズキリと痛みが走ってしまいます。
「どうした、顔色が悪い。無理はするな」
そんな僕に、ヴァンさんがすかさず肩をかしてくださいました。ヴァンさんは距離も近いしトイレの天井に張り付いてるようなストーカー気質なアレな人ですが、その肩から伝わってくるあたたかさが今は有難いです。
しかし、流石に婚約者の前でヴァンさんに頼るのは、僕だけではなくヴァンさんの命まで危険に晒しかねません。なんせ、僕が邪魔になり冤罪で首を平気でコロリ出来るイヴァン殿下の前なのですから。
「ありがとうございます、少し馬車で移動したので酔ったのかもしれません。イヴァン殿下、ご挨拶をちゃんとできず申し訳ございません」
「いや。気にするな。君は俺の婚約者だ。もう少し、その……」
何かを言いかけたイヴァン殿下が何故か黙ってしまいました。原因が全く分からないがこれはチャンスかもしれません。
「イヴァン殿下、ルドルフは具合が悪いようなのでこれで失礼いたします」
そう言って、無理やり腕を引いて立ち去ろうとする。
「ヴァンさん、流石に殿下に失礼です!!」
首コロリを平気でしちゃうイヴァン殿下の前で、ヴァンさんがまるで地雷原でタップダンスするくらい危険な発言をしています。このままだと、最悪僕だけでなくヴァンさんともども不貞の疑いとかでふたり仲良死してしまう可能性があります。
ダブル首コロリは絶対ダメです。
「……いや、構わない。その代わり明日にでも湖でふたりで会う時間がほしい。湖でカヌーにふたりきりで乗りたいんだが……」
(ええええええ!!それは見える死亡フラグでは、何としても断らないと!!)
そう思ったのに、何故か先ほどまですごい強く殿下から守ってくれたはずのヴァンさんが、ニッコリと笑い。
「そうですね。婚約者同士仲良くした方が良いですね」
と突如180度態度を変えたのだ。あまりの出来事に目を見開いて呆然とする僕にヴァンさんは小声で囁きました。
「心配するな。俺もちゃんと監視しているから」
いや、監視うんぬんではなく殿下とふたりきりとか見える死亡フラグを折りたい、そう思いましたが……。
「よかった。では、また明日迎えに行こう」
そう言うなりそそくさと去って行く殿下。違和感が半端ないです。だってイヴァン殿下は僕に全く興味のない様子だったのに何故あのような誘いをしてきたのでしようか。
あまりのことに固まる僕でしたが、マイキーがニカッと笑って言いました。
「明日予定入ったけど、その分、今日遊びまくろう」
「うん、ありがとう……」
湖では何泊掠る予定でしたが、とりあえず明日の面倒ごとは一旦忘れることにしましょう。僕は太陽神の信者。とりあえず今を一生懸命生きるのです。
そう切り替えたおかげで、僕は久々に親友とストーカーもといヴァンさんとなんやかんや楽しい1日目を湖で送ることができました。それにより、太陽神の偉大さを再確認しました。
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