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33.なんで殿下がこんなところにいるんだ??(マイキー視点)
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※湖に行くためにルドルフと合流する少し手前の話です。
ルドと久々に湖に遊びに行く話になり、テンションが上がっていた俺は、運よくルドの家で朝食を食べることになった。
ルドの家の料理は、少し変わっているけど美味しいものが多いので気に入っている。だけど食卓に着こうとして目の前にあり得ない人物が座っているんのが分かった。
(……嘘だろう、イヴァン殿下が何故ここに??)
間違いない、ルドと婚約がきまった我が国の王太子殿下が堂々と食卓についていたのだ。しかも何故かルドは彼を小辺境伯様と勘違いしている。
その異常さに、ルドに彼の正体を明かそうとしたが、それを察したようにイヴァン殿下がこちらを睨んできた。
実は、俺はイヴァン殿下の将来の側近候補でもある。だから、ここであまりことを荒立てたくないというのも事実としてはある。
しかし、親友が知らずにひとつ屋根の下で殿下と暮らしているという衝撃が半端ないし、親友の貞操のためにも一度しっかり話す必要がありそうだ。
なので、イヴァン殿下に呼ばれて食事後別室へやってきた。部屋に入ると物凄い形相で睨みつけるイヴァン殿下が偉そうに高い椅子に腰かけていた。
「……お前はどうやら俺の正体に気付いたようだな」
「はい。イヴァン殿下。俺は騎士としての鍛錬ならびに我が家系の嫡男は代々『真理の目』を持ちますので、例え魔法で擬態したりあるいは、なんらかの状態異常系の魔法についても強い弾くことができます」
招来の主君かもしれない、この国のナンバー2に嘘はつけなかった。その言葉に警戒した様子だったイヴァン殿下の表情が変わる。まるでなにかひらめいたというような様子に少し嫌な予感がした。
「そのような都合の良い力があるとは。なるほど、正直ルドルフに好かれている上に、正体がバレたなら最悪辺境へ飛ばしてやろうと考えていたが気が変った。お前にはルドルフを守るための手助けをしてほしい」
「ルドを守るですか??」
目の前の男の表情は読みにくいが嘘をついているような気はしなかった。
「そうだ。俺がルドルフと婚約したのは知っているな??」
「ええ。嫌がっていたルドと無理やり婚約したのは知っております」
「お前、割と平気で思ったことを口にするタイプだな。気をつけろ。これから俺達が対峙する敵にその真っすぐさは命取りになるかもしれない……」
そう難しい顔をして言ったイヴァン殿下は、とても信じがたい話を俺に聞かせた。
内容的にはありえない部類なのだが、しかし、明らかにイヴァン殿下は嘘をついていないのが分かった。
「……なるほど。その場合、ルドルフはジョバンニとミゲルに狙われているということが確定ですね。さらに、その内容だともっとその魔の手を伸ばしているかもしれない」
「ああ。ただ、相手も万能ではない。既にサドル子爵令息が手に堕ちたことで枠がひとつ減ったのでどんなに多くても4人以上は難しいはずだ」
「後4人……イヴァン殿下、貴方は狙われているから影武者と入れ替わっているのですね。しかし影武者が篭絡される可能性はあるのでは??」
「そこは問題ない。あいつへの対応方法は伝授済みだ。後、父母、つまり王と王妃は特別なアイテムを保有しているからあの魔法には掛からないはずだ。しかし……万が一があるかもしれない」
「万が一の場合、俺が必ずルドを守ります。あいつは俺にとって親友ですから」
そう答えると、最初の鬼のような形相から、穏やかな表情に変わった。
「感謝する。今度こそ俺はルドルフを守り幸せにしてやらなければいけない。もう二度と迷わないと神に誓ったからな」
「イヴァン殿下。いいえ、小辺境伯様、その任務お受けいたしました」
そうして、俺とイヴァン殿下はある種の協力者兼共犯者になったのだった。
ルドと久々に湖に遊びに行く話になり、テンションが上がっていた俺は、運よくルドの家で朝食を食べることになった。
ルドの家の料理は、少し変わっているけど美味しいものが多いので気に入っている。だけど食卓に着こうとして目の前にあり得ない人物が座っているんのが分かった。
(……嘘だろう、イヴァン殿下が何故ここに??)
間違いない、ルドと婚約がきまった我が国の王太子殿下が堂々と食卓についていたのだ。しかも何故かルドは彼を小辺境伯様と勘違いしている。
その異常さに、ルドに彼の正体を明かそうとしたが、それを察したようにイヴァン殿下がこちらを睨んできた。
実は、俺はイヴァン殿下の将来の側近候補でもある。だから、ここであまりことを荒立てたくないというのも事実としてはある。
しかし、親友が知らずにひとつ屋根の下で殿下と暮らしているという衝撃が半端ないし、親友の貞操のためにも一度しっかり話す必要がありそうだ。
なので、イヴァン殿下に呼ばれて食事後別室へやってきた。部屋に入ると物凄い形相で睨みつけるイヴァン殿下が偉そうに高い椅子に腰かけていた。
「……お前はどうやら俺の正体に気付いたようだな」
「はい。イヴァン殿下。俺は騎士としての鍛錬ならびに我が家系の嫡男は代々『真理の目』を持ちますので、例え魔法で擬態したりあるいは、なんらかの状態異常系の魔法についても強い弾くことができます」
招来の主君かもしれない、この国のナンバー2に嘘はつけなかった。その言葉に警戒した様子だったイヴァン殿下の表情が変わる。まるでなにかひらめいたというような様子に少し嫌な予感がした。
「そのような都合の良い力があるとは。なるほど、正直ルドルフに好かれている上に、正体がバレたなら最悪辺境へ飛ばしてやろうと考えていたが気が変った。お前にはルドルフを守るための手助けをしてほしい」
「ルドを守るですか??」
目の前の男の表情は読みにくいが嘘をついているような気はしなかった。
「そうだ。俺がルドルフと婚約したのは知っているな??」
「ええ。嫌がっていたルドと無理やり婚約したのは知っております」
「お前、割と平気で思ったことを口にするタイプだな。気をつけろ。これから俺達が対峙する敵にその真っすぐさは命取りになるかもしれない……」
そう難しい顔をして言ったイヴァン殿下は、とても信じがたい話を俺に聞かせた。
内容的にはありえない部類なのだが、しかし、明らかにイヴァン殿下は嘘をついていないのが分かった。
「……なるほど。その場合、ルドルフはジョバンニとミゲルに狙われているということが確定ですね。さらに、その内容だともっとその魔の手を伸ばしているかもしれない」
「ああ。ただ、相手も万能ではない。既にサドル子爵令息が手に堕ちたことで枠がひとつ減ったのでどんなに多くても4人以上は難しいはずだ」
「後4人……イヴァン殿下、貴方は狙われているから影武者と入れ替わっているのですね。しかし影武者が篭絡される可能性はあるのでは??」
「そこは問題ない。あいつへの対応方法は伝授済みだ。後、父母、つまり王と王妃は特別なアイテムを保有しているからあの魔法には掛からないはずだ。しかし……万が一があるかもしれない」
「万が一の場合、俺が必ずルドを守ります。あいつは俺にとって親友ですから」
そう答えると、最初の鬼のような形相から、穏やかな表情に変わった。
「感謝する。今度こそ俺はルドルフを守り幸せにしてやらなければいけない。もう二度と迷わないと神に誓ったからな」
「イヴァン殿下。いいえ、小辺境伯様、その任務お受けいたしました」
そうして、俺とイヴァン殿下はある種の協力者兼共犯者になったのだった。
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