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27.優しい兄上というとてもレアな現象
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「……」
兄上に抱えられて、現在兄上が滞在している部屋に連れて来られた僕は思ったよりずっと優しくその部屋のベッドにおろされた。
「兄上……先ほどの件は……」
先ほどヴァンさんと騒いでしまったので、これは兄上に怒られるフラグだと思ったのでまずは謝ろうとしたが、何故か兄上は左右に首を振った。
「何も言わなくていい」
なんだろう、すごく可哀そうな人を見るような目で見つめて来る兄上。基本的に無表情なこの人がこんな顔をするところははじめて、いえ、とても小さな頃に見たことがあるかもしれませんがそれくらいレアです。
あまりのレアさにまじまじと見つめていると、兄上は僕の頭を撫でました。意外にもあたたかいその手にびっくりしていると、聞いたことのない優しい声色で言いました。
「心配するな。今日はここでゆっくり休みなさい。鍵を掛けるからそうすればあの方もこの部屋には入れない」
「ありがとうございます、でもそうすると兄上は……」
「部屋は沢山ある、問題ない」
急に別人のように優しい兄上に感謝の気持ちもありつつ割と困惑している。兄上はこの間エスコートもしてくれていないし、そもそも首コロリ10回において全て僕を冷たい目で見るだけで優しかったことなんてない。
けれど、今回はヴァンさんの登場、きれいなミゲルと同じくらい様子が違います。そんなことを考えていると兄上が続けるように奇妙なことを話し始めました。
「その……マイケル以外には気をつけなさい」
「えっ??」
兄上の唐突な言葉に思わず疑問が口から出てしまいました。びっくりした顔をしているとまた頭を撫でられました。おかげで髪型が割とぐしゃぐしゃになってますが寝るだけなんで良いかなと思いますが。
「マイケル以外は……」
そう兄上が話しをしてくれたのですが、色々ありすぎて熱が急に上がったのか僕はそのまま寝落ちしてしまい、次に目覚めた時は翌朝になっていました。
ベットから立ち上がると、まだ少しぼんやりしますが熱はだいぶ下がったようでした。朝ごはんのために部屋を出ようとしましたが、カチャリと音を立てて控え目にノックがなりました。
「どうぞ」
そう答えると、執事のジョージさんが居ました。
ジョージさんは厳格な雰囲気のある渋めのイケオジです。黒い髪はきっちりとセットされていて、青い瞳は切れ長で鋭い印象がありますが、厳しいですが冷たい人ではありません。
僕が太陽神の刺繍が得意なのはジョージさんのレッスンのおかげでもあります。ちなみにジョージさんにはじめ偉大なる神の刺繍がしたいと言ったときは凄い止められたんですが今は何も言われなくなりました。きっと腕前があがったからかもしれません。
ジョージさんは朝食の乗ったトレイをワゴンに載せて持ってきてくれたようでした。そこにはお粥や果物が乗っています。
「ルドルフ様、お体の調子はいかがですか??」
「はい、だいぶ楽になりました」
そんな穏やかな会話をしていた時でした。
「ルドルフ!!」
バタバタと部屋に、相変わらず元気なヴァンさん……と思いましたがちょっと不機嫌だしなんなら顔に引っかき傷が無数についてます。
「……ヴァンさん、どうして傷だらけなのですか??」
兄上に抱えられて、現在兄上が滞在している部屋に連れて来られた僕は思ったよりずっと優しくその部屋のベッドにおろされた。
「兄上……先ほどの件は……」
先ほどヴァンさんと騒いでしまったので、これは兄上に怒られるフラグだと思ったのでまずは謝ろうとしたが、何故か兄上は左右に首を振った。
「何も言わなくていい」
なんだろう、すごく可哀そうな人を見るような目で見つめて来る兄上。基本的に無表情なこの人がこんな顔をするところははじめて、いえ、とても小さな頃に見たことがあるかもしれませんがそれくらいレアです。
あまりのレアさにまじまじと見つめていると、兄上は僕の頭を撫でました。意外にもあたたかいその手にびっくりしていると、聞いたことのない優しい声色で言いました。
「心配するな。今日はここでゆっくり休みなさい。鍵を掛けるからそうすればあの方もこの部屋には入れない」
「ありがとうございます、でもそうすると兄上は……」
「部屋は沢山ある、問題ない」
急に別人のように優しい兄上に感謝の気持ちもありつつ割と困惑している。兄上はこの間エスコートもしてくれていないし、そもそも首コロリ10回において全て僕を冷たい目で見るだけで優しかったことなんてない。
けれど、今回はヴァンさんの登場、きれいなミゲルと同じくらい様子が違います。そんなことを考えていると兄上が続けるように奇妙なことを話し始めました。
「その……マイケル以外には気をつけなさい」
「えっ??」
兄上の唐突な言葉に思わず疑問が口から出てしまいました。びっくりした顔をしているとまた頭を撫でられました。おかげで髪型が割とぐしゃぐしゃになってますが寝るだけなんで良いかなと思いますが。
「マイケル以外は……」
そう兄上が話しをしてくれたのですが、色々ありすぎて熱が急に上がったのか僕はそのまま寝落ちしてしまい、次に目覚めた時は翌朝になっていました。
ベットから立ち上がると、まだ少しぼんやりしますが熱はだいぶ下がったようでした。朝ごはんのために部屋を出ようとしましたが、カチャリと音を立てて控え目にノックがなりました。
「どうぞ」
そう答えると、執事のジョージさんが居ました。
ジョージさんは厳格な雰囲気のある渋めのイケオジです。黒い髪はきっちりとセットされていて、青い瞳は切れ長で鋭い印象がありますが、厳しいですが冷たい人ではありません。
僕が太陽神の刺繍が得意なのはジョージさんのレッスンのおかげでもあります。ちなみにジョージさんにはじめ偉大なる神の刺繍がしたいと言ったときは凄い止められたんですが今は何も言われなくなりました。きっと腕前があがったからかもしれません。
ジョージさんは朝食の乗ったトレイをワゴンに載せて持ってきてくれたようでした。そこにはお粥や果物が乗っています。
「ルドルフ様、お体の調子はいかがですか??」
「はい、だいぶ楽になりました」
そんな穏やかな会話をしていた時でした。
「ルドルフ!!」
バタバタと部屋に、相変わらず元気なヴァンさん……と思いましたがちょっと不機嫌だしなんなら顔に引っかき傷が無数についてます。
「……ヴァンさん、どうして傷だらけなのですか??」
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