上 下
15 / 41

14.血文字風に自身のハンカチに書く患い方はしてません

しおりを挟む
「こ、これは!!」

そこに居たのは……。

「ミィー。ミィー」

「はわわ!!かわいい!!」

愛らしい三毛猫の子供、つまり愛らしい子猫が僕の足先に必死にしがみついてました。

そしてその愛らしい顔を僕の方へ向けて必死に何か訴えているように見えます。

例えるなら「助けてにゃ」とでもいうようなそんな感じです。

僕は猫が好きです。首コロリ10回のうち、その全てで猫を飼っていたくらい猫好きですし、日本でも飼ってました。

ただ、今回おかしいのが僕がこの世界で、出会うはずの猫様はヨハネ様のはずです。

ヨハネ様はとても高貴な感じの黒猫様なのですが、今目の前にいるのは三毛猫の子猫です。

猫は猫でもだいぶ違います。僕は、その子を持ち上げました。そしてその愛らしい瞳を見つめます。黄金に輝くそのつぶらな瞳、知らない子猫ですが見覚えがある気がしました。

そして、持ち上げたことによりすごいことに気付いてしまいました。

「……ヴァンさん、大変です」

「可愛いな、撫でまわしたいな……あ、なんだ??」

僕と子猫を見ていたヴァンさんが、なんか幸せそうにこちらを見てなごんでいます。

猫様は可愛いので仕方ないです。ヴァンさんも猫好きだったのは意外でしたが。

しかし、動物を好きなのは良きことです。後で、この子と触れ合ってもらうとして、それ以上に大切なことがあります。

「この子は男の子です」

「……それがどうかしたか??」

首を傾げているヴァンさん。この世界ではあまり気にしないのでしょうか、三毛猫の男の子と言えば激レアなのです。何故激レアなのかは知りませんが。

「この子は三毛猫の雄。ほとんど生まれてこない激レア猫なんですよ!!可愛いし激レアとかすごくないですか、もうこれはうちで飼うしかありません」

「猫を飼うことは別に構わないと思うけど……」

何故か複雑な顔をしているヴァンさんに僕は首を傾げました。

「何か気になりますか??」

「いや、その、なんでもない。それより、そいつがなんか布を咥えてたみたいだが……」

先ほどまで、その子がいた場所には布が落ちていました。薄暗闇でも分かる白いそれをヴァンさんは拾い上げました。

ランプで照らすと四つ折りになっているそれは見覚えのある白いハンカチで我が家の家紋が刺繍されています。

(風で洗濯中に飛んだのかな……)

この世界には洗濯乾燥機とかはもちろんないので、外に干している洗濯物が飛ぶ可能性はあります。

しかし、今日はガーデンパーティーをするくらいには穏やかな風のない天気でした。

「なんでこんなところにルドルフのハンカチがある??」

「さぁ??洗濯で飛んだのではなさそうですが……」

そう言ってヴァンさんからそのハンカチを受け取った僕は何気なくそれを開きました。実は貧乏症なので私物のハンカチにはナンバリング的な表記をしていたりします。

それを確認したかったのですが……

「えっ、な、血文字!!」

ハンカチには血で書いたような赤い歪んだ字が書かれていました。

僕は確かに中二病を患うこともありますが、私物のハンカチに「ネバーギブアップ!!お米食べろ!!」とか太陽神のお言葉を血文字風に書いたりはしないです。太陽神に誓ってそんな恥ずかしいことはしてませんし、書くならちゃんと黒で刺繍にします。

「血かはわからんが赤いな。なになに、『ミゲル・サドルをしんじるな』??」
しおりを挟む
感想 40

あなたにおすすめの小説

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。

山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。 お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。 サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!

棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。

君が俺を××すまで

和泉奏
BL
【執着攻め】ただ、いつもと同じように平凡な日を過ごすはずだった。 イラスト表紙、赫屋様

上司と俺のSM関係

雫@3日更新予定あり
BL
タイトルの通りです。

処理中です...