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10.波乱のお茶会ですがイヴァン殿下は何がしたいのかわかりません

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ジョバンニお得意の、事故にみせかけたさりげないボディータッチが炸裂しました。あざといです。

ちなみに偶然か知りませんが大体、ジョバンニボディータッチ、長いのでジョバンニタッチとしますが、炸裂してすぐイヴァン殿下はなんかジョバンニへの寵愛が深くなった気がします。

多分元々、好意があるので直接、体に触れることで増幅させるとかそういうやつなのかもしれません。知らんけど。

それについては大体4回目くらいの首コロリで気付いてました。

なので、試しに僕もイヴァン殿下に触れてみたことがあります。

ただ、ジョバンニみたいにさりげなく触れるのが無理だったので、落ち込んでるっぽかった殿下の肩を元気づける感じで強めに叩いて「イヴァン殿下、もっと熱くなれよ!!熱い血燃やしてけよ!!人間熱くなった時が、本当の自分に出会えるんだ。だからこそ!もっと!熱くなれよおおおおおおおお!!あ、後お米も食べましょう!!」と太陽神のお言葉を借りながら慰めたところ、なんか毛虫でも見るような目をされて、さらにそのまま毛虫を払う感じで大きく払われて転んだのを覚えてます。

その際に、割とアクロバティックに飛んで、何かに足が刺さり大けがをして痛かった記憶があります。

それでも首コロリに比べたら余裕な痛さでした。

そこから学んだのですが、イヴァン殿下が毛ほども僕を好きでなかったため、ジョバンニタッチみたいな効果がなかったということが分かりましたので、以降は触れるとかはしてません。

やはり下心がある相手でないと効かない技なんだと実感してます。

「ありがとうございます、イヴァン殿下!?」

お礼を言いながらしなだれかかるジョバンニが頬を赤らめながら、イヴァン殿下を見つめようとしてましたがなぜかイヴァン殿下がしわしわピカチュウ、いえ男梅のキャラクターみたいな顔をして目を合わせないというか完全に目を瞑っています。

例えるなら邪念に耐える修行僧みたいな顔でもあります。急にお腹でも痛くなったのでしょうか。

そこまで考えて、きっと今までも婚約者の僕なんてそっちのけで愛を囁きまくるほど寵愛しているジョバンニに身体が触れたことで性的なものがパーンとはじけて一気にきてどえらいことになり、それを隠しているのかもしれません。

実際、前かがみになっているようにも見えますし。

「ほっといてほしい。その腕を離してくれないか??」

「えっ、でもイヴァン殿下具合が悪いのではないでしょうか??僕を助けたのが原因ならお助けしないと……」

うるうるとした、もうそれで幾人の骨を抜いたんだって感じの表情で、相変わらずボディータッチを続けるジョバンニ。

何故か修行僧モード、賢者モードと違いまだ至っていないので苦行なうな雰囲気のイヴァン殿下はとうとうジョバンニを振りほどきました。

(えっ!!僕のことならまだしもイヴァン殿下がジョバンニを振りほどいた??)

流石に僕が吹っ飛ばされたようには飛びませんでしたが、尻もちをついたジョバンニ。取り巻きは想定外の事態にあわあわしていて誰も助けてあげません。

僕にとってとても苦手な相手ですが、僕がイヴァン殿下に突き飛ばされて何かが足に刺さった時に誰にも手を貸してもらえなかったのは辛かったのです。

だから、僕はジョバンニに手を差し伸べました。

「あの、ジョバンニ様。大丈夫ですか??」

「……」

けれど、ジョバンニはその手をスルーしてひとりで立ち上がりました。ちょっと傷つきます。

「ルドルフ、そろそろ行きましょう、俺達は邪魔なようなので」

「あっ、えっと……」

いつの間にか満面の笑みを浮かべている、ヴァンさんが僕の手を引き寄せました。ちょっと強引ですがそのあたたかさが心地良いのは何故でしょうか。

そして、僕はヴァンさんに近付いたことで気付きました。

(そうだ、イヴァン殿下に感じた違和感。匂いが違います。前のイヴァン殿下からはほのかに高貴なムスクのような香りがしましたが、今日の殿下からは何でしょうかそういうにおいがしません。例えるなら石鹸の匂いというか、騎士っぽい人のにおいがします。むしろヴァンさんのがムスクな香りがします)

クンクンとしばらくヴァンさんの匂いを嗅いでいると何故か蕩けた顔をしているヴァンさんが、甘い声で話しかけました。

「さぁ、行こう。お腹が空いただろう。あちらに米もある」

そう僕にだけ聞こえる声で耳打ちされた瞬間に忘れていた空腹が蘇りました。

しかも、どうやら我が国ではほぼ食べられないお米が今回のお茶会の立食にあるという情報まで教えて下さいました。

これはもう婚約もしないイヴァン殿下やあざといマウントジョバンニなどどうでもよいです。太陽神の教えに則りお米を食べねばなりません。

「そうですね。僕たちはこれで失礼します」

臣下の礼をとってからふたりの前から立ち去りました。早くご飯を食べるのです。

ヴァンさんに連れられて、立食パーティー用に王宮で準備された料理の並び場所に無事に到着しました。

目の前で湯気を立てている美味しそうな料理達を見ると、全てがどうでも良いような気持ちになりそうです。

そもそも腹が減っては戦はできないのに、さっきは空腹のまま戦に出てしまったので変なことになったのかもしれません。

(もうお腹の虫が鳴りそうです。いや、鳴ったと思いますが沢山の人達の僕に対しての声でかき消されました。お腹の虫やオナラを隠すなら雑踏です。しかし、慢心して思ったより大きな音が出てしまうとそれはもう大惨事が待ち構えていますが……)

どうでも良いことを考えながら、僕は並んでいた中で1番大きなお皿をとって、その上に目にはいった食べたいものを取ることにしました。

ブュッフェスタイルの良いところは好きなものを好きなだけ食べられるところです。

(ミートローフや、オマール海老の香草焼きに、ああ、たんシチューまであります。たんシチューがあるならお米をいっぱいおかずにしたいです。パンも良いですがやはりお米。お米が食べたいです。ヴァンさんはお米があると言ってましたがどこにお米があるのですかね……)

真剣にお米を探していた時でした。

「あ、あの……」
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