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47.ひとつの終焉
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その瞬間、眩い光と共にレフの目が開いた。
「ルティア……」
「レフ……」
はじめて自分からレフの体を抱きしめた。多くの血を失ったせいかとても冷たい気がしたが、それでも今、レフが生きてくれていることに安心する。
「終わりましたね。これでやっと貴方は幸せになれる」
レフのその言葉の意味を理解することができず、押し黙る。確かに、『成人の儀』は終わった。けれど、今の僕には色々あり過ぎてとにかく疲れていて何かを考えることができなかった。
そんな僕の頬にレフの大きな手が添えられる。まだ冷たいがいつも僕を励ましてくれるその手をとる。
「レフ……この先もずっと一緒にいてほしい」
「もちろん、ルティア殿下、いいえ、貴方が離れたいと言っても永遠に離れるつもりはありません」
明かに重いその言葉も、今の状態では嬉しかった。暗闇の中で襲われそうになるのは嫌だけれどこれからはレフとふたりで未来を考えていけるかもしれない。
(幸せになることができるかもしれない……母は自殺し、父をこの手にかけてしまった僕でももしかしたら……)
しかし、神様は見ているらしい。
「許さない、父上を!!」
突然、側の茂みからそう叫んだ声がして顔を上げると何故かそこにヴィンターが居て、その手にはナイフが握られていた。
あまりに突然のことで、僕も死に戻ったばかりのレフも反応が遅れてしまった。
何もできず硬直していた間に、ヴィンターは僕に素早く近づいてその胸にナイフを突き立てた。
グサッ
思った以上に深く突き刺さったそれに、僕の心臓が割れるような痛みを放つ。
「叔父上が、叔父上が悪いんだ、父上を殺した、叔父上が!!」
喚き散らすヴィンターを幽鬼のような姿で立ち上がったレフが無言で殴り飛ばす。
暴力を受けたことなどないヴィンターは当然受け身を取ることもできずそのまま吹き飛び、ドサっと何かにぶつかった音だけが響いた。
その間にも僕の体からは血が出て、視界がどんどんと白くなるのが分かる。
(死ぬ時の視界は真っ暗だと思ったのに、白くなるのか……)
そんなことを考えながら、そしてどこかで小さく安堵している自分に気付いた。たとえ憎まれ、嫌われていたとしても父親を殺した自分が罪の報いも受けずに生きれるか不安だった。
だからこそ、ヴィンターに刺されたのはその罪の報いだと……。
「ルティア、ルティア!!」
レフが叫んでいる。もう彼の姿も見えない。このまま消えて……。
その時、また『狂った竜王』の声が頭に聞こえた。
「だめだ、ルティア。また、逝かないでくれ。教えてほしい。君が望む世界を……」
遠のく意識の中で、確かにそう『狂った竜王』が呟いた。だから、僕は……。
****************************************************
短いですが、一旦ここで終わります。次回からしばらく閑話が入ってから本編に戻ります。色々な謎が明かされる閑話になりますのでお楽しみ頂けましたら幸いです。
「ルティア……」
「レフ……」
はじめて自分からレフの体を抱きしめた。多くの血を失ったせいかとても冷たい気がしたが、それでも今、レフが生きてくれていることに安心する。
「終わりましたね。これでやっと貴方は幸せになれる」
レフのその言葉の意味を理解することができず、押し黙る。確かに、『成人の儀』は終わった。けれど、今の僕には色々あり過ぎてとにかく疲れていて何かを考えることができなかった。
そんな僕の頬にレフの大きな手が添えられる。まだ冷たいがいつも僕を励ましてくれるその手をとる。
「レフ……この先もずっと一緒にいてほしい」
「もちろん、ルティア殿下、いいえ、貴方が離れたいと言っても永遠に離れるつもりはありません」
明かに重いその言葉も、今の状態では嬉しかった。暗闇の中で襲われそうになるのは嫌だけれどこれからはレフとふたりで未来を考えていけるかもしれない。
(幸せになることができるかもしれない……母は自殺し、父をこの手にかけてしまった僕でももしかしたら……)
しかし、神様は見ているらしい。
「許さない、父上を!!」
突然、側の茂みからそう叫んだ声がして顔を上げると何故かそこにヴィンターが居て、その手にはナイフが握られていた。
あまりに突然のことで、僕も死に戻ったばかりのレフも反応が遅れてしまった。
何もできず硬直していた間に、ヴィンターは僕に素早く近づいてその胸にナイフを突き立てた。
グサッ
思った以上に深く突き刺さったそれに、僕の心臓が割れるような痛みを放つ。
「叔父上が、叔父上が悪いんだ、父上を殺した、叔父上が!!」
喚き散らすヴィンターを幽鬼のような姿で立ち上がったレフが無言で殴り飛ばす。
暴力を受けたことなどないヴィンターは当然受け身を取ることもできずそのまま吹き飛び、ドサっと何かにぶつかった音だけが響いた。
その間にも僕の体からは血が出て、視界がどんどんと白くなるのが分かる。
(死ぬ時の視界は真っ暗だと思ったのに、白くなるのか……)
そんなことを考えながら、そしてどこかで小さく安堵している自分に気付いた。たとえ憎まれ、嫌われていたとしても父親を殺した自分が罪の報いも受けずに生きれるか不安だった。
だからこそ、ヴィンターに刺されたのはその罪の報いだと……。
「ルティア、ルティア!!」
レフが叫んでいる。もう彼の姿も見えない。このまま消えて……。
その時、また『狂った竜王』の声が頭に聞こえた。
「だめだ、ルティア。また、逝かないでくれ。教えてほしい。君が望む世界を……」
遠のく意識の中で、確かにそう『狂った竜王』が呟いた。だから、僕は……。
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短いですが、一旦ここで終わります。次回からしばらく閑話が入ってから本編に戻ります。色々な謎が明かされる閑話になりますのでお楽しみ頂けましたら幸いです。
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