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45.暗闇の悪夢と『狂った竜王』
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僕の問いにレフは答えない。代わりに何故か後ろから強く抱きしめられた。
驚いて持っていたカンテラが手元から落ちてしまう。
カラン
と音を立てて落ちたそれは地面を転がりその衝撃で火が消えてしまった。
「レフ!!」
真っ暗な闇の中、抱きしめてきたその腕の主に叫ぶがさらに強く抱きしめられてしまう。
(やはり、レフじゃないのか??それなら逃げないと……)
そう思った時、抱きしめている腕の主が答えた。
「やっと、やっと貴方を手に入れた。もう邪魔なヤツらは居ない。ルティア殿下……いや、俺のルティア。この世界にはもう俺と貴方しか居ない。この暗闇の楽園でふたりっきりで愛し合いましょう」
熱い呼吸が首筋に当たり、その厚い舌が首筋に触れた。
その瞬間、何かが切れるのが分かった。
「嫌だ!!」
そう叫んで思いっきり蹴り飛ばしたところ、その腕から逃れられたので僕は走っていた。
間違いなく、あの腕の主はレフだったが、こんな暗闇の中で襲われるのは嫌だと素直に思ったし、何より『暗黒の森』のせいかレフは正気じゃない。
(そうでもないとあんなことをレフが口にする訳がない、いや、するかもしれないが、するかな??)
思考が予想外の事態に纏まらないが、僕は最早、唯一の光源に向けて走るよりほかなかった。
そうして光源に辿り着いた時、僕はその場所に立つ人と目があった。
その場所は、森の切れ目ではなく岩場であり光り輝いていたのは、その人の体が光り輝いていたからだ。
「国王陛下」
掠れた声でやっと吐き出した言葉。しかし、その顔に浮かんだ表情は苦悶だった。
よく見れば、国王陛下の手には鋭い鉤爪が生えていて、体には大小の傷が付いて背中には白い翼が生えていた。
そして、いつも整っていた服装もボロボロで髪型も乱れており、真っ赤な瞳から涙を流すその姿に、体が今更ガクガクと震えた。
「あっ……あああ!!」
叫びをあげながらその人はこちらに近づいてきた。
(……殺されるのか??)
死にたくはない、死にたくはないが殺したくもない。
僕はこの人に死を与えられたし、僕を愛してくれていた母を死に追いやった。
だから、許せないはずなのだ。
愛より憎しみが勝るはずだ、いつもいつも僕は愛されなかったのだから。
(けれど、やはり殺したくない!!)
そんな僕の気持ちなど分からないように、国王陛下、父上、いや、『狂った竜王』は僕の方へ鋭い爪を向けた。
僕は瞳を強く瞑り、死に至る痛みを受け入れようとした、その時……。
「ルティア!!」
聞き慣れた慟哭の後に、抱きしめられたのがわかった。
「グッ……」
『狂った竜王』の光に照らされた先に、口から血をこぼしているレフの顔がはっきりと見えた。
「レフ??」
微笑んだその顔は穏やかで優しいもので、先ほどまでの狂気は消えていた。
胸から血を流すその姿は、明らかに致命傷を負っていた。
しかし、それでも、レフは『狂った竜王』に向き直り叫ぶ。
「俺が、お前を倒す」
驚いて持っていたカンテラが手元から落ちてしまう。
カラン
と音を立てて落ちたそれは地面を転がりその衝撃で火が消えてしまった。
「レフ!!」
真っ暗な闇の中、抱きしめてきたその腕の主に叫ぶがさらに強く抱きしめられてしまう。
(やはり、レフじゃないのか??それなら逃げないと……)
そう思った時、抱きしめている腕の主が答えた。
「やっと、やっと貴方を手に入れた。もう邪魔なヤツらは居ない。ルティア殿下……いや、俺のルティア。この世界にはもう俺と貴方しか居ない。この暗闇の楽園でふたりっきりで愛し合いましょう」
熱い呼吸が首筋に当たり、その厚い舌が首筋に触れた。
その瞬間、何かが切れるのが分かった。
「嫌だ!!」
そう叫んで思いっきり蹴り飛ばしたところ、その腕から逃れられたので僕は走っていた。
間違いなく、あの腕の主はレフだったが、こんな暗闇の中で襲われるのは嫌だと素直に思ったし、何より『暗黒の森』のせいかレフは正気じゃない。
(そうでもないとあんなことをレフが口にする訳がない、いや、するかもしれないが、するかな??)
思考が予想外の事態に纏まらないが、僕は最早、唯一の光源に向けて走るよりほかなかった。
そうして光源に辿り着いた時、僕はその場所に立つ人と目があった。
その場所は、森の切れ目ではなく岩場であり光り輝いていたのは、その人の体が光り輝いていたからだ。
「国王陛下」
掠れた声でやっと吐き出した言葉。しかし、その顔に浮かんだ表情は苦悶だった。
よく見れば、国王陛下の手には鋭い鉤爪が生えていて、体には大小の傷が付いて背中には白い翼が生えていた。
そして、いつも整っていた服装もボロボロで髪型も乱れており、真っ赤な瞳から涙を流すその姿に、体が今更ガクガクと震えた。
「あっ……あああ!!」
叫びをあげながらその人はこちらに近づいてきた。
(……殺されるのか??)
死にたくはない、死にたくはないが殺したくもない。
僕はこの人に死を与えられたし、僕を愛してくれていた母を死に追いやった。
だから、許せないはずなのだ。
愛より憎しみが勝るはずだ、いつもいつも僕は愛されなかったのだから。
(けれど、やはり殺したくない!!)
そんな僕の気持ちなど分からないように、国王陛下、父上、いや、『狂った竜王』は僕の方へ鋭い爪を向けた。
僕は瞳を強く瞑り、死に至る痛みを受け入れようとした、その時……。
「ルティア!!」
聞き慣れた慟哭の後に、抱きしめられたのがわかった。
「グッ……」
『狂った竜王』の光に照らされた先に、口から血をこぼしているレフの顔がはっきりと見えた。
「レフ??」
微笑んだその顔は穏やかで優しいもので、先ほどまでの狂気は消えていた。
胸から血を流すその姿は、明らかに致命傷を負っていた。
しかし、それでも、レフは『狂った竜王』に向き直り叫ぶ。
「俺が、お前を倒す」
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