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22.ナニカ(???視点)
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竜鳴きが響く。
それは何度も何度も森の中に響いては、今がいつかすら忘れさせる。ほとんど光の差さない闇の中で待っていた。
目の前の銀の砂時計からいよいよ最後の砂が消えたことで、やっとアレから千年目だと分かる。
「もうすぐ、アナタに会える」
全てはただひとりのアナタに再び出逢うためだけ。そして、全てを取り戻すため。
手のひらに握りしめた逆鱗は暗闇の中でなお青白く光り輝いている。
それは、永遠とも呼べるほど永い間を輝き続けている。
「大丈夫、今度こそは……」
瞼を閉じて耳を澄ます。
慟哭のような叫びを聞きながら、その時を待ちわびる。
「アナタを今度こそは……!!」
強い覚悟で、虚空をにらめば竜鳴きが止む。
もう、狂い叫ぶ季節は終わった。
フッと下を向いた時、凍てついた地面に自身の顔が浮かび上がるのが分かる。
漆黒の髪は長く伸びているが艶やかで、その瞳は血のように真っ赤に染まっていた。
長らく自分の顔ど気にする余裕はなかったが、その瞳の色に思わず笑いが止まらない。
「やはり、狂っていたのだな、アナタをアナタを……」
ピシリ
凍てついた地面を強く踏みつける。
途端にそれはひび割れていく。
バラバラに飛び散る氷の破片、その中にうつる壊れた顔。
「これでいい」
グニャリと歪んだ顔を嘲笑う。
「『狂った竜王』にはこれがふさわしい。アナタを花嫁を番いを喪くし千年を狂った俺にふさわしい」
しかし、それも終わる。
「アナタを……愛するルティアをやっと取り戻せる」
それは何度も何度も森の中に響いては、今がいつかすら忘れさせる。ほとんど光の差さない闇の中で待っていた。
目の前の銀の砂時計からいよいよ最後の砂が消えたことで、やっとアレから千年目だと分かる。
「もうすぐ、アナタに会える」
全てはただひとりのアナタに再び出逢うためだけ。そして、全てを取り戻すため。
手のひらに握りしめた逆鱗は暗闇の中でなお青白く光り輝いている。
それは、永遠とも呼べるほど永い間を輝き続けている。
「大丈夫、今度こそは……」
瞼を閉じて耳を澄ます。
慟哭のような叫びを聞きながら、その時を待ちわびる。
「アナタを今度こそは……!!」
強い覚悟で、虚空をにらめば竜鳴きが止む。
もう、狂い叫ぶ季節は終わった。
フッと下を向いた時、凍てついた地面に自身の顔が浮かび上がるのが分かる。
漆黒の髪は長く伸びているが艶やかで、その瞳は血のように真っ赤に染まっていた。
長らく自分の顔ど気にする余裕はなかったが、その瞳の色に思わず笑いが止まらない。
「やはり、狂っていたのだな、アナタをアナタを……」
ピシリ
凍てついた地面を強く踏みつける。
途端にそれはひび割れていく。
バラバラに飛び散る氷の破片、その中にうつる壊れた顔。
「これでいい」
グニャリと歪んだ顔を嘲笑う。
「『狂った竜王』にはこれがふさわしい。アナタを花嫁を番いを喪くし千年を狂った俺にふさわしい」
しかし、それも終わる。
「アナタを……愛するルティアをやっと取り戻せる」
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