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19.辺境伯の屋敷とはじめての体験と衝撃
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その後、父の叔父であるためどうあがいてもアラフィフかそれ以上のはずが、この世界で今まで見た人間の中でショタだが絶世の美少年のアインハルトと並ぶくらいの美しい美青年がそこに立っていた。
「嘘だ。こんなに大叔父上が若いわけがない、どう見たって父上より若い」
私が思ったことをカールが思わず口に出す。
「……カール、ルータスは私の可愛い甥だ。だからそんな風に言ってはいけない」
「いや、俺は事実を……」
カールは大叔父様の圧に黙る。顔は笑顔なのに体からは間違いなく、強者のオーラを感じた。そのオーラは私が前世、室伏広〇と向き合ったときに感じたものに似ている。
(間違いない、この男は強い)
その確信が私をワクワクさせる。強い男はいい。どうやって倒すか考える楽しみをくれる。
「フアナ、そこには段差があるから危ないよ」
なぜか屋敷に入る前の些細な段差に大叔父はまるで断崖絶壁くらいのテンションで私を、自然に抱き上げた。あまりに自然な動作だったが、私の全自動野生の本能で思わず裏拳をキメてしまった。
ゴン!!
顎が割れるくらいの音がしたので流石に焦るが……。
「あ……」
「すまない、急にレディを抱き上げてはびっくりさせてしまったね」
とまるで裏拳など喰らっていないというような笑顔を浮かべて、そのまままるで壊れ物でも扱うように紳士的に下ろしてくれた。
私の裏拳は前世、数多の強者を一撃で屠ってきたはずだ。いくら今、フアナの体だとしてもこれがカールにキマれば間違いなく一撃で殺れたはずだ。
けれど、この男はニコニコとまるで仔猫でも愛でるように甘い顔で私を見ている。そして、再び足元の段差がやっぱり危ないからと今度は「お姫様を上まで抱きしめさせもらっても良いかな??」と砂糖に砂糖をかけた、つまりただの砂糖くらいに甘い言葉で確認された。
私は免疫がない事態に思わずうなずくと、軽々としかしとても大切に抱き上げられて、世にいうお姫様抱っこをされてしまった。ちなみに前世では無理やり相手にさせたことはあるが、自主的にしてもらうのははじめての経験、つまり初体験だ。
あまりのことに弱点を考えられず恥ずかしくなってしまう。
「大叔父様」
「なんだい奇跡のような可愛いフアナ、後、大叔父様ではなく、そうだね「おおおじたん」とでも呼んでおくれ」
「いやだ」
まっすぐ汚れなき眼で私は、自身の主張をすると少し寂し気に大叔父様は俯いたので誤解がないように続けた。
「おおおじたんだと呼びにくい。もっと、呼びやすい方がいい」
「じゃあ、大パパと呼んでおくれ」
「えっ」
大叔父様の言葉に、カールが思わずドン引いた声を漏らす。その姿に大叔父様はにっこり微笑み、
「ああ、すまない。カールも大パパと呼びたいようなら呼んでおくれ」
嫌だという言葉が吐けない謎の圧にカールは何も言わないで目だけ逸らした。
そのまましばらく、大きな屋敷を歩いて(私はお姫様だっこ中なので全く歩いていないが、筋肉が泣きそうなので、こっそり腹筋をはじめている)ある大きな扉の前までやってきた。
その部屋の扉を開いた先には、家でも王城でも見たことのないような大きく豪華な天蓋付のベッドがあった。
「このベッドは一体……えっ??」
先に進んだカールが固まっているのがわかり、私は、大パパの腕の中で腹筋のポーズで覗き込む。
そこには、襲撃されたと聞いていた、父親のアウストリア公爵が頭に痛々しい包帯を巻かれた状態で寝かされていた。
ただ、その痛々しい状態よりもっとずっと気になることがあった。
「大パパ、何故お父様は……とてもファンシーなパジャマ姿なの??」
フリフリでピンクの女の子が着るようなパジャマを着た、現在の父親アウストリア公爵が横たわっていたのだから。
「嘘だ。こんなに大叔父上が若いわけがない、どう見たって父上より若い」
私が思ったことをカールが思わず口に出す。
「……カール、ルータスは私の可愛い甥だ。だからそんな風に言ってはいけない」
「いや、俺は事実を……」
カールは大叔父様の圧に黙る。顔は笑顔なのに体からは間違いなく、強者のオーラを感じた。そのオーラは私が前世、室伏広〇と向き合ったときに感じたものに似ている。
(間違いない、この男は強い)
その確信が私をワクワクさせる。強い男はいい。どうやって倒すか考える楽しみをくれる。
「フアナ、そこには段差があるから危ないよ」
なぜか屋敷に入る前の些細な段差に大叔父はまるで断崖絶壁くらいのテンションで私を、自然に抱き上げた。あまりに自然な動作だったが、私の全自動野生の本能で思わず裏拳をキメてしまった。
ゴン!!
顎が割れるくらいの音がしたので流石に焦るが……。
「あ……」
「すまない、急にレディを抱き上げてはびっくりさせてしまったね」
とまるで裏拳など喰らっていないというような笑顔を浮かべて、そのまままるで壊れ物でも扱うように紳士的に下ろしてくれた。
私の裏拳は前世、数多の強者を一撃で屠ってきたはずだ。いくら今、フアナの体だとしてもこれがカールにキマれば間違いなく一撃で殺れたはずだ。
けれど、この男はニコニコとまるで仔猫でも愛でるように甘い顔で私を見ている。そして、再び足元の段差がやっぱり危ないからと今度は「お姫様を上まで抱きしめさせもらっても良いかな??」と砂糖に砂糖をかけた、つまりただの砂糖くらいに甘い言葉で確認された。
私は免疫がない事態に思わずうなずくと、軽々としかしとても大切に抱き上げられて、世にいうお姫様抱っこをされてしまった。ちなみに前世では無理やり相手にさせたことはあるが、自主的にしてもらうのははじめての経験、つまり初体験だ。
あまりのことに弱点を考えられず恥ずかしくなってしまう。
「大叔父様」
「なんだい奇跡のような可愛いフアナ、後、大叔父様ではなく、そうだね「おおおじたん」とでも呼んでおくれ」
「いやだ」
まっすぐ汚れなき眼で私は、自身の主張をすると少し寂し気に大叔父様は俯いたので誤解がないように続けた。
「おおおじたんだと呼びにくい。もっと、呼びやすい方がいい」
「じゃあ、大パパと呼んでおくれ」
「えっ」
大叔父様の言葉に、カールが思わずドン引いた声を漏らす。その姿に大叔父様はにっこり微笑み、
「ああ、すまない。カールも大パパと呼びたいようなら呼んでおくれ」
嫌だという言葉が吐けない謎の圧にカールは何も言わないで目だけ逸らした。
そのまましばらく、大きな屋敷を歩いて(私はお姫様だっこ中なので全く歩いていないが、筋肉が泣きそうなので、こっそり腹筋をはじめている)ある大きな扉の前までやってきた。
その部屋の扉を開いた先には、家でも王城でも見たことのないような大きく豪華な天蓋付のベッドがあった。
「このベッドは一体……えっ??」
先に進んだカールが固まっているのがわかり、私は、大パパの腕の中で腹筋のポーズで覗き込む。
そこには、襲撃されたと聞いていた、父親のアウストリア公爵が頭に痛々しい包帯を巻かれた状態で寝かされていた。
ただ、その痛々しい状態よりもっとずっと気になることがあった。
「大パパ、何故お父様は……とてもファンシーなパジャマ姿なの??」
フリフリでピンクの女の子が着るようなパジャマを着た、現在の父親アウストリア公爵が横たわっていたのだから。
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