百獣最強と言われた私が転生したのは婚約破棄後に不治の病で死ぬ悪役令嬢でした

ひよこ麺

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15.新たなるつわものの気配といつの間にかできていたフアナ親衛隊

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その言葉に、私はフアナの記憶の中にある一度だけ幼い日にあった大叔父である辺境伯を思い出す。

父親より年上のはずなのにとてもそうは見えない、20代後半で時が止まっているように見えたその人はフアナと同じ銀髪に碧眼で、とても引き締まった筋肉を持つ長身だった。

隣国イガルク帝国の皇族の血を引いていることと、とても通常の人間では考えられないほど強いということで辺境伯に任命されていた。

以前のフアナなら特に何も感じなかったかもしれないが、私は強いヤツに会えると思うと本能的にワクワクしてしまうのだ。そんな私の心のうちはフアナの絶対零度の表情でバレなかった。

「大叔父上が??」

「そう、あそこならしばらくは安心だろう。フアナ嬢の件についても後で病気で婚約解消をするならば体調不良が原因で王妃教育を休んでしばらく自然と空気が綺麗な辺境伯領へ行くと辺境伯経由で伝えたらいいとおもうよ」

アンハルトの言葉に説得力があったのと、何より私は強いヤツに会いたかったのでそのままアインハルトの魔法でこっそりと屋敷を抜けることにした。ただ、同時にふたつ魔法が使えないらしいので一旦結界の魔法を解くと、どうも屋敷が騒がしいことに気付いた。

「……何かあったのかしら??」

もし敵襲なら仕方ないので一旦肉体言語で解決しようと考えていると、何故かカールが私を制止するような動きをした。

「確認してくる」

そう言って、私の部屋の扉を開くと、そこには泣き腫らした顔のアンと、昨日私を冬雀にした騎士達がいた。

「フアナお嬢様ご無事でしたか!?」

「よかった、ああ、麗しいお嬢様に何かあったかと思いました!!」

「そうです!!もしフアナお嬢様になんかあれば私は後を追うつもりでした!!」

などなど彼らが私を探していたことが分かった。よく意味が分からず首を傾げると、アインハルトが小さな声で、

「結界をはったときに関係者以外を外に出すと一瞬で消えたようにみえるんだよな」

と囁いたのが聞こえて、そう言えばアンも一緒に部屋にいたのを思い出して、この騒動の原因を理解した。本来ならアインハルトにアイアンクローをお見舞いしたかったが姿が美少年なので我慢した。

私は小さきものと老人には優しいのだ。なんせ力加減を間違えると逝ってしまうので慎重に扱う必要があるのだ。仕方なく諸々をアインハルトにもう一度結界をはってもらい説明すると、彼等も私達について来たいといった。

「「「フアナお嬢様にどこまでもついていきます!!」」」

そうハモった声に、カールが悲し気な顔をしていたのは見なかったことにしてそのまま、まだ見ぬつわもののいる辺境伯領へとアインハルトの魔法でテレポートしたのだった。

※短いですがキリが良いのでここまでで。。
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