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12.ショタじじいという新ジャンルと白い粉の正体
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「誰だ??」
見たことがないくらいの絶世の美少年のことをカールも知らないらしく驚いたように問いかけた。すると美少年は蠱惑的な笑みを浮かべながら答える。
「僕の名前はアインハルト。君達の父親の古くからの友人だよ。しかし、随分と不用心に会話しているね」
そうアインハルトが発した瞬間、キンと耳鳴りがしてまるで何か膜でも張ったような奇妙な感覚がした。
「結界くらい張らないと相手に会話が筒抜けだよ」
「結界……まさか、魔法使いか??」
カールの表情が明らかに歪むのが分かった。私の前世の知識ではこの世界は魔法の世界だ。魔法の道具があふれているし、魔法により人々は利便性を享受している。
それなのに、この世界でその魔法を生み出す魔法使いは冷遇されている。魔法がある子供が生まれると逆らえないように隷属の首輪をされて、国の外れの魔法搭に閉じ込められるのだ。
この問題についてゲームではぼんやりと触れられてはいたが、魔法使いの攻略対象はいなかったので結局うやむやなままになっていた記憶がある。
(ただ、確かこれについて元々は魔法使いの攻略対象キャラも作っていたけど諸々の都合で削除されたとかファンブックにかいてあったな……)
だから、この世界では魔法使いとは差別の対象とされているので、目の前の美少年に対してカールは差別的な表情を浮かべているのだろう。
その様子に慣れているのか気にしていないようにアインハルトは続けた。
「そうだよ。もっと言うと魔法搭の主をしている。だからこの国で僕よりすごい魔法使いはいないだろうね」
「えっ、アインハルトさんはどう見ても小〇生じゃないの??あ、いえ、その10歳くらいに見えますが……」
思わず前世の単語が漏れた。魔法搭の主と聞いたら某ハリー〇ッターのダンブル〇アのような白いひげに長髪のご老体を想像してしまうが、どう見てもアインハルトはショタだった。
「ははは、面白いお嬢様だね。僕の父はこの世界で一番の魔法使いで、母は妖精と伝説の狂戦士の血を引く家系だか他人より年を取るのが極端に遅いんだ。ちなみに君らの父親より年上だし、君らの祖父母よりも年上のじじいってヤツだ」
その言葉に何度も確認したがアインハルトの筋組織の年齢は10歳前後だった。私は他人の筋組織を確認することで年齢を確認できる。
(どう考えても筋組織的にも小〇生だと思うけどな……)
黙って、しばらくアインハルトを見つめていたが何故かまるで心を読んだように、
「なるほどなるほど。筋組織から年齢を割り出せるなんて珍しい才能だね」
と心を読まれてびっくりする。彼は底知れない笑顔を浮かべながら、話をはじめた。
「僕は君達の父親と契約している。だから敵ではないから安心して。魔法使いは契約者との約束は破れないからね。そして、昨日君達の父親が襲われる前に受け取ったものがふたつあるのだけど……そのうちひとつこの粉末の正体が分かったよ」
それは昨日、エミリーと仲がよかったメイドから取り上げたもので、フアナの食事に混ぜられていたと思われる白い粉だった。
「……その粉の正体は……」
「はっきりとは分からないしこの瓶程度の量では毒ではない」
絶対毒だと思っていたのでその言葉にがっくりきたが、アインハルトは言葉を続けた。
「けれど、これの粉の成分は体に蓄積されて自分ではそれを取り除けないものなんだ。だから、少量なら影響はないけれど何年も毎日とり続けたら……これは毒に変わる」
その言葉に、私の中のフアナが震えるのが分かった。当然だが毒になるものをどれくらいの期間か分からないが飲まされていたのだ。
そして、それは体になんらかの悪影響を紛れもなく与えていずれは殺すものだと聞いたら普通の令嬢なら、耐え切れないだろう。
「そんな……これはどんな影響が出るのですか??私は……死んでしまうのですか」
そう矢継ぎ早にフアナは縋るようにアインハルトに言った。氷の令嬢などと呼ばれてもまだ15歳で幸せも知らないままで死ぬなんて誰だって不本意だ。
「なんてことだ!!すぐに王家に抗議をしなければ」
黙っていた兄も怒っている。けれど、フアナの心は凪のように鎮まっていた。兄の言葉を信じられないのだ。
「小公爵、今はまだいけない。君達の父親も倒れていて、公爵家も君達の敵である継母が掌握しているんだ。下手に動けば潰されるだけだよ」
「けれど、フアナが、どうして妹がこんなひどい仕打ちを!!」
「お兄様、酷い仕打ちなら今にはじまったことではありません。ただ、流石に今回の件はやりすぎです。だから、王宮へは一度行きましょう」
フアナは兄を睨む。私はそんなフアナを俯瞰する。どうやら私とフアナは同一人物だが心はまだひとつになりきれずどこかまるで離れているようになってしまう時があるらしい。
今は完全にフアナの感情が優勢だ。
「王宮へ行って何をするのかな??」
アインハルトが目の笑わない笑みを浮かべながら告げると、フアナは負けじとアルカイックスマイルで答えた。
「王太子殿下との婚約を解消するためです」
見たことがないくらいの絶世の美少年のことをカールも知らないらしく驚いたように問いかけた。すると美少年は蠱惑的な笑みを浮かべながら答える。
「僕の名前はアインハルト。君達の父親の古くからの友人だよ。しかし、随分と不用心に会話しているね」
そうアインハルトが発した瞬間、キンと耳鳴りがしてまるで何か膜でも張ったような奇妙な感覚がした。
「結界くらい張らないと相手に会話が筒抜けだよ」
「結界……まさか、魔法使いか??」
カールの表情が明らかに歪むのが分かった。私の前世の知識ではこの世界は魔法の世界だ。魔法の道具があふれているし、魔法により人々は利便性を享受している。
それなのに、この世界でその魔法を生み出す魔法使いは冷遇されている。魔法がある子供が生まれると逆らえないように隷属の首輪をされて、国の外れの魔法搭に閉じ込められるのだ。
この問題についてゲームではぼんやりと触れられてはいたが、魔法使いの攻略対象はいなかったので結局うやむやなままになっていた記憶がある。
(ただ、確かこれについて元々は魔法使いの攻略対象キャラも作っていたけど諸々の都合で削除されたとかファンブックにかいてあったな……)
だから、この世界では魔法使いとは差別の対象とされているので、目の前の美少年に対してカールは差別的な表情を浮かべているのだろう。
その様子に慣れているのか気にしていないようにアインハルトは続けた。
「そうだよ。もっと言うと魔法搭の主をしている。だからこの国で僕よりすごい魔法使いはいないだろうね」
「えっ、アインハルトさんはどう見ても小〇生じゃないの??あ、いえ、その10歳くらいに見えますが……」
思わず前世の単語が漏れた。魔法搭の主と聞いたら某ハリー〇ッターのダンブル〇アのような白いひげに長髪のご老体を想像してしまうが、どう見てもアインハルトはショタだった。
「ははは、面白いお嬢様だね。僕の父はこの世界で一番の魔法使いで、母は妖精と伝説の狂戦士の血を引く家系だか他人より年を取るのが極端に遅いんだ。ちなみに君らの父親より年上だし、君らの祖父母よりも年上のじじいってヤツだ」
その言葉に何度も確認したがアインハルトの筋組織の年齢は10歳前後だった。私は他人の筋組織を確認することで年齢を確認できる。
(どう考えても筋組織的にも小〇生だと思うけどな……)
黙って、しばらくアインハルトを見つめていたが何故かまるで心を読んだように、
「なるほどなるほど。筋組織から年齢を割り出せるなんて珍しい才能だね」
と心を読まれてびっくりする。彼は底知れない笑顔を浮かべながら、話をはじめた。
「僕は君達の父親と契約している。だから敵ではないから安心して。魔法使いは契約者との約束は破れないからね。そして、昨日君達の父親が襲われる前に受け取ったものがふたつあるのだけど……そのうちひとつこの粉末の正体が分かったよ」
それは昨日、エミリーと仲がよかったメイドから取り上げたもので、フアナの食事に混ぜられていたと思われる白い粉だった。
「……その粉の正体は……」
「はっきりとは分からないしこの瓶程度の量では毒ではない」
絶対毒だと思っていたのでその言葉にがっくりきたが、アインハルトは言葉を続けた。
「けれど、これの粉の成分は体に蓄積されて自分ではそれを取り除けないものなんだ。だから、少量なら影響はないけれど何年も毎日とり続けたら……これは毒に変わる」
その言葉に、私の中のフアナが震えるのが分かった。当然だが毒になるものをどれくらいの期間か分からないが飲まされていたのだ。
そして、それは体になんらかの悪影響を紛れもなく与えていずれは殺すものだと聞いたら普通の令嬢なら、耐え切れないだろう。
「そんな……これはどんな影響が出るのですか??私は……死んでしまうのですか」
そう矢継ぎ早にフアナは縋るようにアインハルトに言った。氷の令嬢などと呼ばれてもまだ15歳で幸せも知らないままで死ぬなんて誰だって不本意だ。
「なんてことだ!!すぐに王家に抗議をしなければ」
黙っていた兄も怒っている。けれど、フアナの心は凪のように鎮まっていた。兄の言葉を信じられないのだ。
「小公爵、今はまだいけない。君達の父親も倒れていて、公爵家も君達の敵である継母が掌握しているんだ。下手に動けば潰されるだけだよ」
「けれど、フアナが、どうして妹がこんなひどい仕打ちを!!」
「お兄様、酷い仕打ちなら今にはじまったことではありません。ただ、流石に今回の件はやりすぎです。だから、王宮へは一度行きましょう」
フアナは兄を睨む。私はそんなフアナを俯瞰する。どうやら私とフアナは同一人物だが心はまだひとつになりきれずどこかまるで離れているようになってしまう時があるらしい。
今は完全にフアナの感情が優勢だ。
「王宮へ行って何をするのかな??」
アインハルトが目の笑わない笑みを浮かべながら告げると、フアナは負けじとアルカイックスマイルで答えた。
「王太子殿下との婚約を解消するためです」
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