幼馴染を忘れられなくて童貞34年極めたらリア充になれた話

味噌村 幸太郎

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第24話

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「ヒロくん、ピーマン食べれる?」
「俺はつぶあんこ以外ならなんでも」
「そんなの焼くわけないじゃん」

 ホットプレートの上には、100グラム1000円近くもする高級牛肉がふんだんに並べられている。
 その少ない隙間と隙間を埋めていくように、あすかはピーマンを置いた。

 俺たちはあの後、みんなで近くのスーパーに家族全員で買い物に行き、自宅のテレビの部屋で焼肉パーティをしている。

 俺とあすかのお祝い&妹との和解、その他諸々かな?
 大きなちゃぶ台を円を描くように座り、俺の隣りにあすか。向かい側に母を挟むように姪たち2人が座っている。

 子供達は身を乗り出し、ジュージューと言う音を楽しんでいる。
「それで、あすかちゃんは、どうやってお兄ちゃんと付き合ったの? 馴れ初めを聞きたいな」
 キャベツが入ったボールを持って京子があすかの隣りに座る。

「ええと……食事中はちょっと話せないです。ご飯のあとでいいですか」
 それを聞いて少し京子が眉間にしわをよせる。
「ひょっとして出会い系とか、子供の前で話せないやつ?」
「変な想像すな!」
 いい頃合に焼けた肉を京子の皿に入れてやる。

「あ、ありがと♪ だってこんなかわいい女子高生と付き合っているんだもん。聞きたいじゃん、ね? みゆき、やよい?」
 向かい側に座る子供2人に話題をふる。
「聞きたい、聞きたい!」
「ねぇ、どこまで言ったと?」
「京子こそ、どんな教育してんだ?」
 部屋中が爆笑の嵐に包まれる。


「さあさあ、皆さん! どんどん肉持ってきますよ! じゃんじゃん、焼いて食べてくださいね、ガハハ!」
 守が肉の追加を持ってきた。そしてまたすぐにキッチンに戻る。「焼肉だけは男の仕事だ!」と言い張り、母と京子は手を出せずにいる。
 鼻歌まじりに慣れた手つきで肉をさばいている。
 忠実な柴犬、可愛いわ。


「もうあんた達、あすかちゃんをいじめんで。ところであすかちゃんって今いくつやったけ?」
「俺も聞いてなかった……」
「もうヒロくん。18歳で高校3年生です」
「若いねぇ…広! あすかちゃん泣かしたら母さん許さんけんね!」
「泣かすかよ」
 ハフハフと火傷しそうになるぐらい熱い肉を口の中に入れる。


「ヒロくんは優しいからそんなことありえませんよ! おば、お母さんって言うべきですかね?」
「まあ! まだ結婚も決まってないのに? ねぇ、広?」
「結婚……? するよ」
 肉を食べながらさらっと言った。
 部屋が静まり返る。


「あんた、今なんて言った?」
「だから結婚するよ。俺が働けて落ち着いたら。あ、でもあすかが高校を卒業してからがいいか……」
 肉を食らい続ける俺。
「嬉しい! ヒロくん!」
 俺の左腕に大きな胸を押し付けるあすか。
 驚いて肉を丸呑みしてしまった。


「ええ! お兄ちゃん、本当に結婚すると!?」
 どうやら妹は驚くと方言がでるらしいな。
「だから俺が落ち着いたらだよ」

「あんた、さらっとあすかちゃんにプロボーズしてから……断られたらどうしよったん?」
「その時はその時さ」
 あすかを見ると、目をキラキラ輝かせて俺をじっと見つめている。
 無言だが、言いたいことはわかる。「今すぐここでキスして!」だろう。「無理に決まっているだろう」とこっちも無言で気持ちを伝える。すると口を尖らせている。


「はあ、なんだかいいな~ お兄ちゃんだけ青春してるな」
 頬を膨らませる妹を太く硬い2つの大きな腕が覆う。
「キャッ!」
 急な出来事に甲高い声を出す。
「青春なら僕といつでも取り戻せるよ! 京子!」
 1日剃ってないだけだというのに、かなりのびきった髭をゴリゴリと京子の白い肌に擦りつける守。

「ちょっ、ちょっと、守くん! みんなの前だよ!」
「ハハハ! パパとママ、ラブラブだね!」
「そうだ! ママだってたまにはラブラブしたいんだ、みゆき!」
「たまにはって、けっこうしてるじゃん!」
「そうだ! パパとママの愛は不滅だ!」
「もう、なに言ってるの! 離してよ」
「京子~!」
 顎をつかみ、飼い主とキスをこころみる犬。
「守くん、生肉臭い!」
 えづく京子。
「あ、すまん……」
 部屋中が爆笑する。


「京子……子供の前ではダメだろ?」
「ハハハ! ヒロくんの家族ってやっぱりいい!」
「恥ずかしか~」
「恥ずかしい! 恥ずかしい!」
「臭い! 臭い!」
 こうして笑いは夜まで続いた。
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