幼馴染を忘れられなくて童貞34年極めたらリア充になれた話

味噌村 幸太郎

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第17話

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 俺は今、なにをしているんだ。
 朝、妹に別れを告げ。
 そして、今妹の半分あるかないかぐらいの年齢の女子高生、平野 あすかちゃんと並んで歩いている。

 夜も遅いので彼女を家まで連れて帰っている。
 なんでも学校帰りに古本屋で立ち読みしている俺を見かけ、その後、俺が公園に入っていくところまでは良かったが、公園で探しているところをあの風俗店長に捕まったらしい。


「聞いてもいいかな?」
「なんですか?」
 ニッコリと笑って俺の顔を覗き込む。
 いや、嬉しいんだけどさ。そんな見られると恥ずかしい。

「その、どうして俺なんかを?」
 俺が質問するとまた彼女の頬は火がついたように赤くなる。
「覚えて……ませんよね?」
「ん? なにを?」

 少し寂しそうに話を続ける。
「私が本田さんのお隣りに引っ越して着たのが10年前でした」
 そんな前のエピソード? 君が越して来たこと自体、記憶の中にないよ。
「小学5年生のある日、塾で遅くなった時でした。帰り際に近道しようとしたら、道に迷ってしまって、ずっと泣いていたんです」
 ありがちなやつだな。

「空が暗くなって星が輝きだした頃……」
 この子、回想がいちいち丁寧だな。
「とぼとぼ歩いていると今度は野良犬が現れて」
 まだ続くの?
「怖くてそのまま田んぼに逃げ込んだです」
 嫌な予感。
「そして、つまづいて肥溜めに落ちてしまいました……」
 そこからどう俺が関係するの? そのあすかちゃんには関わりたくないな。


「服もカバンもなにかも臭くなると野良犬もどこかに言っちゃって……。行き交う人も鼻をつまんで、離れていって…」
 そりゃ、誰でも離れますよ?
「その時でした!」
 え? そこで俺!?

「本田さんが現れて、私に声をかけてくれたんです!」
 耳を疑った。100歩譲って俺だとしよう。
 だが、糞まみれの少女に俺がわざわざを声をかけるだろうか?
 言っておくが俺にはスカトロの趣味はない!

「それって、本当に俺?」

 目を輝かせてあすかちゃんは答えた。
「間違いありません! 手をつないで私の家の前まで送ってくれました。隣りに住んでいる本田 広って名乗ってくれましたよ!」

 俺の鼻先まで顔を寄せる彼女の鼻息が熱意を表している。
 恥ずかしい…というか、目の前のあすかちゃんが可愛いすぐる。このままキスしたい。
 だが、本当に俺なのだろうか?


 義理のチート弟と間違えてないか? と彼女に確かめたが「違う」と言う。
「あの時の本田さんは本当に格好よかったです! 今よりも少しスマートで……私にとって白馬の王子様です。それからはずっと本田さんのことを……」
 良い様に捉えられたものだ。

「その時の俺の服装とか特徴か覚えてる?」
「もちろんです! えっと、とにかく全身真っ黒で、黒のキャップに……」
 俺だ。
「確か、右手に何か大きな茶色の紙袋を持っていて……」
 んん? なんかそんな記憶が。

「今ならその迷った場所、わかる?」
「わかりますよ。確かラーメン屋さんの裏の通りでした。今歩いたら、なんてことない近所でしたよ」
 思い出したぞ。
 そのラーメン屋の隣りに大人向けの『ハードコア』な店があって、俺はそこでよくエログッズを買ってたんだ。

 その日もお目当てのものを手に入れて、早くシコりたかった。
 だから家に近い裏道から急いで帰ろうとしたら、曲がり角で小さな女の子に衝突してしまったんだ。

 その時にエロビデオやらオナホやらが道に散乱してしまって、駅に近い裏道だったからサラリーマンや若いOL達が俺を白い目で見るもんだから、泣いていた女の子を助けるふりして、それらを袋に直してその場を逃げようとしたんだ。

 んで、家を聞いたら同じマンションだったからそのまま、一緒に帰ったんだよ。
 正直、あの時は糞まみれで顔がわかんなかったからな。
 というか、お互い受け捉え方が全然違うんだな。

「思い出したよ……」
「本当ですか!?」
 俺の手を両手で掴む。とても暖かい。

「ああ、大人の俺にとってはあまり印象が残らなかったみたいだね、ははは」
 ええい! 笑ってごまかせ!
「でも、良かった。私のことストーカーって思われちゃいそうで」
 それってちょっと前の俺なんだけどね。

 そうこうしているうちに彼女の、そして元俺の家についた。
 と言っても今回は家の前までは行けない。
 あれだけ言い切ったのに、「もう戻ってきたの?」とか言われそうだし。
 マンションの玄関で彼女に別れを告げようとした。


「じゃあ、俺はここで……」
「え! どうしてですか? 帰らないんですか? もう遅いですよ?」
 俺は子供かね?
「いや、その……実は家族とケンカしちゃってねw」
「そんな……」
 うつむくあすかちゃん。


「じゃ、じゃあ! 私の家に来たらどうですか!? 親はいつも海外出張でほとんどいないんです!」
 その真っ直ぐな目と言葉にちょっと心が揺らいだ。
「ごめん。君にはわからないだろうけど、俺はひきこもりぽいやつでさ。ニートなんだよ。君が思っているほど、いい奴じゃない」
「そんな……そんなことないです! 絶対!」
 結構、粘り強いなこの子。

「俺は妹の子供にも触れちゃいけないぐらい心が汚れているんだよ。君の気持ちは本当にありがたい。女の子に告白されたのは人生で初めてだ」
 彼女の目に涙が浮かぶ。
「けど、君の言葉と気持ちに甘えちゃダメだ……。俺は家族に誓ったんだ。ちゃんと1人で働いて、1人でメシを食えるようになるってね」
「そんなの…そんなのってヒドいです! 家族なら…家族なら苦しい時こそ助け合うべきです!」

 こんなに俺のことを想ってくれる人は弟以来か? 
 いやあの柴犬、守くんとはまた別だな、全然。

「ありがとう…君の気持ちだけは頂いていくよ。でも君はもっとちゃんとした若い男の子を見つけて。じゃあね」
 そう言うと背中を向けた。

 うーん、俺ってかっこいい…けど、現役JKとヤリたかった~!
 こんな可愛い子なら何発でもヤレるのにさ…。
 公園の便所で思い出しオナニーしよう。ティッシュもタダだし。
 数歩歩いた時だった。

「イヤッ!」

 衝撃と共に俺の胸には細い両腕でくるまれていた。背中には彼女の胸のふくらみを感じる。
 おお、これが『乙』ぱいなのか…ちょっとかたい気がする。
 ヤバイ…俺の息子くんが暴れだしちゃうよ~♪
 予告通り、股間がムクムクと膨らむ。

「行ったらダメダメ! 私を1人にしないで!」

 いやいや、本当に『俺の方』がイッちゃいそう~
 この子、ちゃんとしているようで中身は駄々っ子だな。
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