幼馴染を忘れられなくて童貞34年極めたらリア充になれた話

味噌村 幸太郎

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第2話

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 セミがやかましく鳴く、蒸し暑い7月。
 夏休みを前に教師がたまたま風邪で休み、代替の教師もおらず、『無法地帯』となっていた。
 教科書と問題集を自由に勉強し、進め方次第では通知表にも影響するという餌だったのだが。

 私語が多く、特に男子が暴れまわっていた。
 俺は普段なら彼らと混ざって悪ふざけしていたのだが、絶対に参加しなかった。
 隣りに座っていたのが初恋の相手、神埼 明日香かんざき あすかだったからだ。
 髪はボーイッシュな短髪だ。
 当時流行っていたアイドルの影響もあったかもしれない。
 切れ長の目に小さな鼻、ふっくらした唇。細い顎が特徴的な顔だ。
 この日はカーキ色のコーデュロイスカートに、キャラクターがプリントされた白いTシャツを着ていた。


 彼女もいつも休み時間は、男子とドッジボールするような活発な女子だった。
 裏でグループ分けする女子と遊ぶよりも、分かりやすい男子と遊ぶほうが、気が楽だといつも俺に話してくれていた。
 だが、今日は大人しく俺と隣りに座ってくれている。
 問題をお互いに教えあって、なんだか勉強しているのにデートしている気分だった。


「ねぇ、本田は夏休みどこにいくの?」
「そうだな。俺ん家はばあちゃんの家が遠いからさ。退屈なだけだな、神埼は?」
「そっか…私はおばあちゃんの家にずっといるからそれも嫌だよ、退屈」
「どうしてさ? いとことかとたくさん遊んだり、おじいちゃんおばあちゃんと旅行とかするんだろ?」
「ううん、おじいちゃんおばあちゃんはもう身体が弱いもん。それにいとこは女ばっかだからウザいだけだよ」
 逆に男のいとこがいなくて良かったと安心した。だって結婚できるもんな。

「名古屋にいれば、本田と『アドベンプール』に行って遊びにいきたかったよ」
 寂しそうに俺の目を見つめる。
 神埼、まさか俺のことを?
「え…」
 ビックリして俺が返答に困っていると、ニコッと笑って俺の腹を思い切りくすぐる。
「間に受けてやんの! どうせ私の水着姿とか想像したんでしょ!? 本田のエッチ!」
「ヒヒヒッ、やめ、やめろよ!」

 神埼の手を掴み「誰がお前のまな板水着なんてよ!」と言って、こっちもお返しに腹を思い切りくすぐる。
 お返しできたのが嬉しかった。触れるからな。
 神埼の腹は肉はないが、ぷにょぷにょしてて気持ちよかった。

「アハハハ! や、やめてよ、本田! アハハハ…」
 激しく俺に抵抗しながら爆笑していたせいか、足がゆるみ、隙間から白いパンティーが見えていた。
 アッ! 神埼のパンティー! ら、ラッキー!
 思いがけぬ奇跡に俺の手の力が緩むと、視線に気がつき、顔を真っ赤にして開きかけていた足をバチンと閉める。

「今、見たでしょ!?」
「見てない見てない! 見てないよ!」
 ド定番の言い訳。これこそ、男の幸福である。
「わ、私だって女の子なんだからね…」
 顔を真っ赤にさせてうつむく神埼を見て罪悪感が沸く。
「ご、ごめん。神埼! 悪かったよ、許してくれ!」
 黙って床を見ながらコクッとうなづく。
「あ、ありがと。神埼」
 胸を撫で下ろす。
「ほ、本田だから許す…他の奴なら許さない」
 俺だけに聞こえるような小さな声だった。
 そっちの言葉の方が驚いた。脈ありと見ていいんでしょうか? 

 後ろの席に座っていた友人、市原ことイッチーが「ヒューヒュー」と冷やかす。
「こんなに暑い日だって言うのに、お二人さんのせいで身体が溶けちゃうよ」
「てんめ! イッチー!」
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