幼馴染を忘れられなくて童貞34年極めたらリア充になれた話

味噌村 幸太郎

文字の大きさ
上 下
1 / 26

第1話

しおりを挟む
 俺の名前は本田 広ほんだ ひろし
 34歳、未だ女を知らず……。
 顔立ちは中の中。要は中だ。
 目も小さからず大きからず。鼻は小さいが日本人なら平均的だろ。唇も厚くなく細くもなく、小さくもない。
 あくまで平均的。保健の教科書に載ってそう。

 問題は体格かな? 身長は170センチだが、体重は関取サイズ(100キロ)
 だから、平均サイズだった顔のサイズがモアイ象並みにデカくなった。
 あとは服装か? 
 年中真っ黒なジャージ。というのは、太るからジーンズは高いしすぐにキツくなるから、母親に「安い500円のこれにしろ」と言われた。
 500円って……そんなに価値ない? ってツッコミたくなるがね。
 以来、ずっとジャージだ。別に俺なんか誰も見てないし。
 靴も黒。キャップも黒の時がある。
 名探偵コ●ンの犯人顔負けの黒ずくめだ。



 まあ服装や髪型、それと自信さえクリアできれば、学生時代もリア充生活だって出来たはずなのだよ、多分。
 だが、できなかった。というか、頑張らなかった。
 ただただ時がくれば、いい女と出会い、いい生活ができるとなんとなく思っていた。

 子供の頃は明るい性格で男友達も何人もいた。
 もちろん友達とまではいかなかったが、クラスの可愛い女子とも遊んだりしたこともあった。
 
 俺が住んでいた名古屋には6、7年はいただろうか?
 だから、小学生時代はほとんど上記の町だ。
 だが、父の職業が元々、転勤の多い会社に勤めていて、いずれは引っ越すと思っていた。
 中学生になる前に名古屋から遠く離れた福岡に引っ越したことにより、以前住んでいたゆるい小学校とは違い、規則にかなり厳しく、その変化に対応しきれず、中学2年生で、不登校になってしまった。
 もちろん男友達すらゼロ。
 家に来るのはプリント持ってくる優しいクラスメイト。
 というかウザいだけだったのだが。

 その後、自分を変えようと勉強し直した上で、数年遅れで通信制の高校に通った。
 卒業までちゃんといたが、月2回程度のスクーリングでいつ女の子と話す?
 それ以上に高校でも友達も誰一人できなかった。

 推薦入学した大学も似たようなものだ。
 サークルにも入らず、ただただ毎日足を運ばせていただけだ。
 だが、大学の男友達はいてもいなくても良かったかな?
 独特のダサいセンスのファッション、いつも汗臭い、処女にこだわる…。
 もう手遅れなのにプライドだけは高く、上から目線で女を見る、だけ。
 夜間大学のせいか、選んだ学部のせいか、女性は10人もいただろうか?
 しかも全員がブス。
 あまりの大学のつまらなさに1年もしないうちに辞めてしまった。

 親からの冷たい目に耐えられず、次第と部屋に引きこもりがちになっていった。
 日中はずっと眠り、夕方に目を覚まし、行動を始める。
 親の年金から得た小遣いで、ゲームを買ってクリア後も遊び倒す。
 それに飽きると誰もいない深夜に散歩したり、コンビニに入ったばかりのマンガを買いにいったり、まあおもしろいよ?


 今は平日のゴールデンタイムだから人も車もまだ多い。
 まあ人は多いが、近所の古本屋に立ち読みでもいくか。
 机の上にあったMP3プレーヤーを取ろうとした瞬間だった。
 普段、誰からも鳴らない携帯が鳴った。
 基本使用料しか払ってないガラケーだ。
 大学に入学した時に契約してずっと同じ電話会社だ。
 もちろん料金は親持ち。

「イッチーか……」
 送信者を見ると以前住んでいたころの友達だった。
 市原 海人いちはら かいと。小学生時代の友人だ。
 数少ない、というか現在、唯一残っている親友だ。
 しばらく連絡をとっていなかった。
 こいつも悪いやつじゃないが、かなりの『癖』を持っていて、変態さんでもある。

『ヒロちゃん、久しぶり! 唐突だけど、今度名古屋に遊びにこない?』
 いや、唐突すぎるだろ…。
 折りたたみの携帯を閉じようとした瞬間、ある映像が頭の中をよぎった。




 
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

貞操観念逆転世界におけるニートの日常

猫丸
恋愛
男女比1:100。 女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。 夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。 ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。 しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく…… 『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』 『ないでしょw』 『ないと思うけど……え、マジ?』 これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。 貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。

処理中です...