上 下
364 / 490
第四十一章 ヒロインは一人で良い

股間は正直、パート2

しおりを挟む

「さっきから二人とも、なんで黙っているのよ! 本当にラブホテルへ行く関係だとでも言いたいわけ? 聞いているの、タクト!」
 アンナが黙っているせいで、怒りの矛先が俺に向けられた。
「いや……本当にそういう関係じゃないんだ。俺とアンナは小説のために、取材をするだけの仲であって……。つまり、ラブホテルは取材目的で行ったに過ぎない」
 間違いは言ってない。
 少しでも嘘を付けば、勘の良いマリアにはバレてしまうからな。
「ラブホテルに取材? それ、必要なことなの……。じゃあ、若い男女がそういうホテルへ入ったのに、何にもしなかったとでも言いたいの!?」
 それに対して、俺は即答する。真顔で。
「ああ。そういうことだ」
「なっ!?」
 俺の回答に驚きを隠せないマリア。

「信じてもらえないかもしれないが……。俺たちはホテルへ行ったが、何もしてない。これだけはハッキリ言わせてもらう」
「そ、そんな……健全な男女がラブホテルに入って、何もしない事なんてあるの!? あそこには大人の関係になりたくて、入る以外……使用する意味あるの!?」
「いや、それは一概には言えないんじゃないか、多分……」
 だって、ピンク系のサービスを受ける殿方もいるだろうし。
 経験が無いから知らんけど……。
「タクト! あなたはさっきから、そう言うけどね! この前は『ラブホテルへ行ったことない』って私にウソをついて……。それにあなたはなんで、ずっと股間が……え、エレクトしているのよ!」
「へ……?」

 マリアに指摘されて、俺は恐る恐る視線を股間に下ろす。
 すると、彼女の言うように、ガチンゴチンに硬くなってしまった息子くんが目に入る。
 膨らみ過ぎて、チャックが僅かに開いてしまうほど、元気になっていた……。

 そうか、マリアだと思っていた相手が、アンナだと知ったことにより、無意識のうちに興奮してしまったんだ。
 正面から、両手でパイ揉みをしたし、この前、ミハイルとはいえ、ファーストキスを交わした……。
 つまり、恋愛における『AからB』を一気に経験してしまったのか。
 大人の階段、昇っちゃったの? 男で……ないだろ。
 
 だが、身体はしっかりと反応している。
 全身の血流が全て、一か所に集い、パンパンに膨れ上がる。
 股間が沈静化することは、難しい。


「ま、マリア……これは、違くて……」
「ナニが違うのよ! 最低っ、そんなに私とデートをしたくなかったの? こんな屈辱は初めてよ……どうせ、今からそのアンナとキスでもして、この川を越えるつもりだったんでしょ!?」
 涙目で怒るマリア。
 ていうか、よくそこまで想像できたな……。
 誤解だって言うのに。

「ちょっと待ってくれ! そんな気はなくて……。おい、アンナもなにか言ってやってくれよ」
 隣りにいたアンナへ助けを求めるが、未だに彼女は黙りこくっていた。
 頬を赤くして、チラチラとある所を見つめる……。
 俺の股間だ。
「……」
 黙るなよ、否定してくれ。
 しかも、その反応。更に誤解を生むんじゃうよ。


「もう、いいわ! あなた達、本当に最低で卑猥よ! 不快で仕方ないのだけど!」
 ヤバい、更に火をつけちゃった……。
「マリア……本当に違うんだ、これは……」
 そう言って、彼女の元へ数歩を脚を進めると、「近寄らないで!」と怒鳴られた。
「さっきからエレクトしっぱなしのタクトに触られたくない!」
 あ、忘れていた。
 常時、卍解ばんかいしている俺の股間を。

 顔をぐしゃぐしゃに歪ませ、碧い瞳は涙でいっぱい。
 冷静沈着な彼女が、こんなに感情的になるのは初めてだ。
 よっぽど、屈辱的な出来事だったらしい。


「も、もう……いい。私、今日は帰るっ!」

 そう言うと、マリアは俺たちに背を向けて、カナルシティの方向へと走り去ってしまう。
 
 良かったのだろうか、これで。
 実質、初めてのデートだったろうに。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

僕は絶倫女子大生

五十音 順(いそおと じゅん)
恋愛
僕のコンプレックスは、男らしくないこと…見た目は勿論、声や名前まで男らしくありませんでした…。 大学生になり一人暮らしを始めた僕は、周りから勝手に女だと思われていました。 異性としてのバリアを失った僕に対して、女性たちは下着姿や裸を平気で見せてきました。 そんな僕は何故か女性にモテ始め、ハーレムのような生活をすることに…。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

お兄ちゃんは今日からいもうと!

沼米 さくら
ライト文芸
 大倉京介、十八歳、高卒。女子小学生始めました。  親の再婚で新しくできた妹。けれど、彼女のせいで僕は、体はそのまま、他者から「女子小学生」と認識されるようになってしまった。  トイレに行けないからおもらししちゃったり、おむつをさせられたり、友達を作ったり。  身の回りで少しずつ不可思議な出来事が巻き起こっていくなか、僕は少女に染まっていく。  果たして男に戻る日はやってくるのだろうか。  強制女児女装万歳。  毎週木曜と日曜更新です。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

なりゆきで、君の体を調教中

星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

トリビアのイズミ 「小学6年生の男児は、女児用のパンツをはくと100%勃起する」

九拾七
大衆娯楽
かつての人気テレビ番組をオマージュしたものです。 現代ではありえない倫理観なのでご注意を。

処理中です...