上 下
338 / 490
第三十九章 挽回デート

サブヒロイン、キラー

しおりを挟む

 その後もひなたのパパから、あれこれ説得された。

 自分の経営している会社の社長にしてやるとか。
 その会社で働いても、なにもしなくていい。
 小説でも書いて遊んで暮らせばいい。
 大事なのは、娘のひなたと子作りすることだ……。
 特に男子が欲しいだとか。


 長い間、湯船に浸かったこともあってか、俺はのぼせていた。
 フラフラになりながら、先に脱衣所へ向い、ママさんが用意してくれたパジャマに着替える。
 俺の着てきた服は、今洗濯して乾かせているらしい。


 リビングに戻ると、ひなたが一人でテーブルに座っていた。
 ルームウェアに着替えて。
 タンクトップとショートパンツの露出度高めなやつ。

 聞けば、自身もシャワーを浴びてきたとか。
 この家には、他にもバスルームが2つあるらしい。

 なんて、お金持ちなんだ……。
 確かに俺がこの家へ婿入りしたら、素晴らしいセレブ生活が送れるんだろうな。

 そんなことを考えていると、テーブルに置いていた俺のスマホが鳴り出す。
 手に取って、画面を確認すれば。
 相手は、「アンナ」だ。

「いっ!?」

 まさかとは思うが、ここ、梶木に来ているのか……。
 恐る恐る電話に出ると。

『もしもし、タッくん?』
「はい……そうですが」
 恐怖から敬語になってしまう。
『今ね。アンナ、梶木にいるの☆ タッくんのお仕事、そろそろ終わる頃かなって☆』
 近くにあった時計を確認すれば、既に夕方の6時。
 彼女の言う通り、普通の取材であれば、終わってもいい頃だ。

「アンナ……実はちょっと、予定があって。泊りの仕事になってな」
 そう言うと、彼女の声色が急変する。
 凍り切った冷たい声。
『なんで?』
 怖っ!
「そ、その……えっと……」

 一生懸命、言い訳を考えてみるが、なにもいい案が思いつかない。
 しどろもどろになっていると、近くにいたひなたが、それに気がつく。

「センパイ? 誰と話しているんですか?」
 自分の物みたく、パシッとスマホを奪い取る。
 そして、画面を見て、一言。
 
「チッ……ブリブリアンナじゃん」
 彼女のとった行動は、スマホの電源ボタンを長押し。
 つまり、強制シャットダウン。

「お、おい! まだ通話中だったのに!」
 しかし、ひなたはスマホをショートパンツのポケットに押し込み、ニコリと笑う。
「センパイ♪ ダメですよ、女の子の家へ取材に来たんだから、集中しないと♪」
「いや……電話ぐらいさせてくれても……」
 ひなたは笑顔で断言する。
「絶対にダメです♪ パパから聞きましたよ♪ 今日はお泊り回なんでしょ?」
「はい……」
「ちゃんと取材してくださいね。そうじゃないと小説に使えませんよ? 私に集中してくださいね♪」
「……」

 アンナさんがこの周辺を徘徊していないか、怖くて集中できないんですけど。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女ハッカーのコードネームは @takashi

一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか? その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。 守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

TSしちゃった!

恋愛
朝起きたら突然銀髪美少女になってしまった高校生、宇佐美一輝。 性転換に悩みながら苦しみどういう選択をしていくのか。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

人違いで同級生の女子にカンチョーしちゃった男の子の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

処理中です...