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第三十章 おっしょい! 百万人のショタ祭り!
ヤンキー、腐女子に屈する
しおりを挟む「あっひゃ! ひゃっ~ひゃっひゃっ!」
オフィス街に響き渡る奇声。
その声の持ち主は……ただの女子高生であり、ただの変態である。
北神 ほのかだ。
命がけで神輿を必死に担ぎ、走っている男たちの生ケツを楽しみ、スマホで録画し、既に生モノとして、タブレット内では、激しく絡み合っている。
後ろをよちよちと歩く可愛らしい子供たちでさえ、素材に使われてしまう。
確かに祭りを楽しむのは、個人の自由だ。
しかし、神事である山笠をここまで、汚していいものか。
俺とミハイルは、ほのかから少し離れたコンビニの駐車場で待機していた。
車止めブロックを腰掛けにして、仲良くケツとケツを合わせる。
隣りにいるミハイルは、居眠りしている。
時折、首をカクンと落としてしまうのを、見兼ねた俺が自身の肩を貸してやる。
「タクト……お祭り、楽しいね……」
寝言か。
ていうか、どこが楽しいの?
俺たち、なにをしに来たんだよ!
ほのかのやつは、一人暴走して、勝手にふんどし姿を絡めやがるし、ミハイルは寝るし、俺は素直に追い山を楽しめてないぞ。
深いため息を漏らすと、ジーパンのポケットからブーッと振動が響く。
スマホにメールが届いたようだ。
確認すると、送信者はリキだった。
『よう。朝から悪いな。メール見たぜ! 早速、愛しのほのかちゃんのために、吸っていたタバコは全部捨てておいたぜ。教えてくれてサンキューな、タクオ!』
恋の力は偉大だな。
ヤンキーの喫煙まで、こうも簡単に止めてしまうとは。
感心するぜ。
俺はリキに
『礼はいらん。ダチとして当然のことをしたまでだ』
と返信。
すると、すぐに新たなメールを受信。
『あのさ。悪いんだけど、この前のミハイルのいとこ。アンナちゃんに会わせてくれないかな? ほら、俺とほのかちゃんが良い仲になれるよう、協力してくれるって言ってたからさ』
ファッ!?
色々とめんどくさい!
だが、俺とアンナが出しゃばったのも事実だ。
ここは彼に協力した方がいいだろう。
『わかった。アンナにも伝えておく。とりあえず、この前みたいに一人で突っ走るな。ほのかは難しい性格だ。まずは同じ趣味。共通点を作ろう。友情からの恋愛にも発展するかもしれん』
正確には、ほのかの興味はハッテン場だがな。
リキからまたメールが届き。
『マジ、サンキューな! 取材だっけ? 俺、めっちゃ頑張るわ!』
えぇ……めっちゃ頑張っちゃダメだろ。
俺が一人頭を抱えていると。
「うひょおおお! ふんどし、ケツ毛、ショタのツルツルお股最高かよ!」
なんて発狂するリキの想い人が。
あんな変態の落とし方、わかるかよ。
どうしたものか……。
ここは身近な腐女子たちに、意見を求めるとするか。
手始めに母さんと妹のかなで辺りか。
果たして、どんな攻略法をご教授いただけますやら。
うーん。不安しかない。
「タクトォ……今度は、パンパンマンミュージアムが良い~」
俺の肩で気持ち良さそうに眠る、ミハイルはこんなにも可愛らしい趣味をしているというのに。
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