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第三十章 おっしょい! 百万人のショタ祭り!
燃えろ! 腐女子たちよ!
しおりを挟む約束した通り、黒田節の像の下に一人の少女がいた。
相変わらずのスタイル。
白いブラウスに紺色のプリーツスカート。
深夜に一人の真面目そうな制服を着た女子高生。
ナチュラルボブに眼鏡。
一見すると塾帰りの学生に見えるが……。
あくまでも、見た目だけ。
だって、額に変なハチマキを巻いているもの。
『今日はケツ祭り!』
ニコニコ笑って、こちらへ手を振る。
「……」
関わりたくない。
「あ、ほのか~☆ 久しぶりぃ~」
純真無垢なミハイルは、彼女の汚れを知らない。
駆け寄って、久々の再会を喜ぶ。
「こんばん駅弁バック~♪ ミハイルくん!」
俺のダチに変な挨拶をインプットすな!
「駅のべんとう? それなら、お土産売り場に売っていると思うけど……」
ほらぁ~ うちの子はあなたみたいに煩悩が少ないんです。
「ミハイル。覚えなくても良い挨拶だ。ほのか、久しぶりだな」
「うん、琢人くんも、こんばん駅弁バック~♪」
「……」
こいつが女じゃなかったら、ぶん殴ってやるところだ。
「ん、お弁当のことでしょ? お腹空いているの? ほのか。それなら、どこかで夜食か、おやつタイムにしよ☆」
ミハイルきゅんがおバカで助かった。
※
俺たちは博多駅を少し離れて、大博通りへ向かった。
ほのかが言うには、祇園近くの東長寺前、清道が一番追い山のコースで見やすく楽しめるらしい。
彼女の案内に従って、大博通りを三人で仲良く歩く。
スマホの時刻を確認すると、『1:45』
レーススタート地点である櫛田神社から、各神輿が出発するのは、午前5時頃。
まだ3時間ほどある。
そこで、俺は大博通り沿いにあるカフェ、バローチェに寄って、時間を潰すことを提案した。
ほのかもミハイルも喉が渇いたし、一杯飲んで涼んで行こうと承諾してくれた。
店内に入ると、各々が好きな飲み物を注文する。
俺はアイスコーヒーのブラック。ミハイルはアイスカフェモカ。ほのかは、宇治抹茶ラテだ。
四人掛けのテーブルに座る。
誰がどこに座ると話し合う前に、ミハイルが一番先に奥の席に座り、その隣りに俺を座るよう、イスをトントンと叩く。
断ると殴られそうなので、黙って従う。
俺とミハイルは仲良く、並んで座る。
イスとイスの幅は充分余裕があるというのに、ミハイルは席をぎちぎちに詰めて、太ももを俺に擦り付ける。
グラスに小さなストローを差し込み、飲み始めた。
「んぐっ、んぐっ……ちゅっ、ちゅっ……ごくっん! ハァハァ……おいし☆」
お久しぶりです。エロすぎる咀嚼音さん。
俺は、向い側に座るほのかが一人で座っているのを、ちょっと気の毒に感じ、話を振ってみる。
「なぁ、ほのか。お前ってさ。好きな男のタイプとかってあるのか?」
マブダチのリキのためでもあった。
今後のために聞いておきたい。
すると、ほのかは顔をしかめて、考えこむ。
「うーん……それって、どっちの意味で?」
「は? どっちってどういうことだ?」
会話にミハイルも入ってくる。
「オレも気になる! ほのかってどんな男の子が好きなの?」
えらく前のめりで聞いてくるな……。
そうか、こいつもリキに力を貸したいのか。
というか、ほのかと俺を遠ざけたいんだろう。
ほのかは胸の前で腕を組んで、難しい顔をする。
しばらく唸りを上げたあと、人差し指を立てて、目を見開く。
「ズバリ! タイプとは……受けか攻めか、という質問よね!?」
テーブルをダンと両手で叩き、身を乗り出す。
ふくよかな胸がぶるんと震えた。
きもっ。
「受け? 攻め?」
ミハイルは脳内がパニックを起こしていた。
「ほのか。BLの話じゃないぞ? お前の好きな男性のタイプだ」
「うん、わかっているよ。だから私も、受けのタイプと攻めのタイプがいるってことだよ♪」
リキ先輩……腐女子の攻略、なかなか難しそうです。
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