上 下
244 / 490
第三十章 おっしょい! 百万人のショタ祭り!

深夜のデート

しおりを挟む

 深夜の12時。
 この場合、0時と表現すべきか。
 いつもなら、朝刊配達のために仮眠を取るのだが。
 店長に頼んで今朝の仕事は休ませてもらった。

 深夜の駅だというのに、ホームは思ったより人が多い。
 特に博多行きは、家族連れや若者がちらほら見られる。
 時折、スマホを見て笑ってなんかいたりして。

 終電帰りのサラリーマンなんかとは違う。
 どこか非日常的な夜の世界。

 普通列車が到着して、車内に足を運ぶとやはり中も人が多い。
 カップルなんかはちょっとイチャついていたりして。
 うん、殺意湧くわ。
 と一人で拳を作っていると、背中あたりをチョンチョンと指で突っつかれた。

 振り返ると、ネッキーがプリントされた赤い帽子を被った金髪の少年がニッコリ笑って立っていた。
 イエローのシンプルなタンクトップを着ているのだが、肩紐がゆるゆるで、見ていてドキッとしてしまう。
 首元もざっくりと広めのデザイン。肌の露出度が高い。
 ダメージ加工のショートデニムパンツを履いている。
 その為、白く細い二つの美しい脚が拝める。
 足もとは動きやすいスニーカー。

「よっ、タクト☆」
 グリーンアイズをキラキラと輝かせるのは、古賀 ミハイル。
「ああ。こんばんは、だな」
 思わず口元が緩んでしまう。彼を見てしまうと。
「うん☆ なんか夜中なのに、みんなでお祭りに行くなんて、悪いことしちゃってるみたいで、楽しいよね☆」
「確かにな。俺も親に許可を取ったが、深夜に公然と未成年が出歩くってのは、今夜だけだもんな」
「ねーちゃんも『山笠ならOK』だって☆ オレ、今夜のために、お昼寝してきたよ☆」
 お昼寝とは何ともお子ちゃまな表現だな。


 その後、しばらく俺とミハイルは車内で立ちながら雑談した。
 列車に揺られること約30分。
 目的地である博多駅に辿り着いた。
 ほのかは待ち合わせ場所に、黒田節の像を選んでいた。

 真夜中だというのに、改札口から大勢の人々で混雑していた。
 5月に開催された博多どんたくやこの前の大濠公園の花火大会ほどではないが、それでも深夜にしてはたくさんの人で賑わっている。
 幼い小学生や高齢者など、皆伝統のあるお祭りを楽しみに、活気だっているようだ。

 博多口を出て、駅前広場に出る。
 そこでも普段は閉店しているはずの店が、今夜だけはオールナイトで営業していた。
 ビアホールみたいな会場が儲けられていて、大人たちはワインとウインナーを楽しんで騒いでいる。
 その姿を見て、ミハイルは苦笑していた。
「大人になるとこんなことをするんだな☆ でも、うちのねーちゃんの方が飲み方すごいゾ☆」
 なんて自慢げに胸を張る。
 タンクトップの紐が片方少しズレてしまい、胸のトップが露わになりそうだ。
 俺はそれを見て、咄嗟に紐を直してやる。
 無防備な彼の言動を見て、頬が熱くなるのを感じた。
 咳払いして、こう注意する。
「まあ、確かにヴィッキーちゃんの飲み方はエグいもんな。だけど、ミハイル。俺達はまだ未成年だ。今日は山笠とはいえ、深夜だ。迷子にならないように注意しろ」
「うん☆ タクトがついているから安心しているゾ!」
 なんて腰を屈めて、上目遣いで話してきやがる。
 だから、その無防備な態度が、一番怖いんだよ。
 俺の理性がブッ飛びそうで。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女ハッカーのコードネームは @takashi

一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか? その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。 守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

TSしちゃった!

恋愛
朝起きたら突然銀髪美少女になってしまった高校生、宇佐美一輝。 性転換に悩みながら苦しみどういう選択をしていくのか。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

処理中です...