上 下
235 / 490
第二十九章 女教師観察日記

先生とデート2

しおりを挟む

 パチンコでボロ儲けした宗像先生は、
「ヒャッハー! 換金してくるわ♪」
 とスキップしながら、店の奥にある謎の建物に直行。

 俺は先生を待っている間、パチンコ屋の駐車場でスマホを確認する。
 通知が酷いことになっていた。
 アンナの怒涛のL●NEが112件も。
 次にひなたから、電話やメールが数件。

 かなり心配しているようだ。
 返事だけでも打っておくかと、スマホのアプリを開き、メッセージを作成しようとした瞬間。
「おい、なにやってんだ? 新宮」
 と背後から声をかけられた。
「あ、いや。宗像先生、ひなたやアンナに連絡を……」
「必要ない!」
 そう言うと、俺のスマホを取り上げ、電源を強制シャットダウン。
「あ……」
「バカモン! これは没収だ。デート中に女性の前でスマホをいじるなんて、最低の行為だぞ? 取材にならないだろ……それこそ、あれだ。付き合っている女性の目の前で、エロ動画見て自家発電するぐらい失礼だ!」
「ええ……」
 初めて聞いたわ、そんな表現。

 俺はスマホを諦め、宗像先生の言う大人のデートとやらを、再開するのであった。
 先生が次に向かった場所は、ドラッグストア『森林もりばやし』だ。
 何か買い物をするのか? と訊ねたが、首を横に振る。
「ま、見ていろ。これが年の功というやつだ」
 入口を抜けてすぐにある、カート置き場で立ち止まる。
 積まれたカゴを一つ一つ持ち上げて中を確認する。
「ちっ、ないな……」
 すると次は、カートを一台ずつ、出しては直してを繰り返す。
「ないな……」
 なにかを一生懸命探しているようだ。

「宗像先生? なにか忘れ物ですか?」
「ああ。ドラ森は500円以上買い物をするとな。福引券が一枚出るんだよ」
「福引券? それがどうしたんですか?」
「たまに要らないって、捨てて行く客がいるんだよ」
 ニヤリと怪しく微笑む。
 乞食じゃねーか。

 カート置き場を諦めた先生は、店内に入っても買い物はせず、また福引券を探し始めた。
「いいか、一番落ちている確率が高いのは、サッカー台だ。買い物終わりの客が商品を詰め終わったあと。捨てて行くんだ。10枚集めないとくじができないからって、諦める奴が多いんだよ。さ、新宮も探せ探せ」
「えぇ……」
 俺と宗像先生はレジ近くで、コソコソと福引券を探す不審者と化してしまう。

 ~10分後~

「新宮、そっちはどうだ? 私は30枚もゲットしたぞ!」
 よくもそんなに拾ったな。
「俺は2枚ぐらいですね……」
 なにやってんだろ、俺。
「そうかぁ、じゃあ、あと8枚でくじが出来るなぁ~ よし、奥の手を使おう! レジの下やサッカー台の下を見てみよう!」
「う、ウソでしょ?」
「バカヤロー! これが大人の生き方ってもんだ。しっかり取材して覚えておけよ!」
 そう言ってかがみ込むと、床の上で四つん這いになり、サッカー台の隙間に手を入れて、探し出す。
 他の客から見たら、ケツをブリッとこちらに向ける痴女だ。
 しかも、宗像先生はローライズのショーパンだから、ちょっと、はみ尻しちゃっている。
「う~ん……おお、あったぞ! 新宮、こっちこっち! お前も速く取れ!」
 もう嫌だ。恥ずかしくて死にそう。

 40枚も集めた宗像先生は満足したらしく、
「くじを楽しむぞ!」
 なんて喜んでいる。

 これって、犯罪なのでは?
 どっかのマンガかアニメで、似たような事をしていたような……。
 あ、アレだ。ジ●ジョのしげちーのスタンドじゃん。

 宗像先生は今日のくじ引きのために、他にもくまなく探しまくったらしく、駐車場や近くの自動販売機の下も這いつくばって、福引券を大量にゲットしたと誇らしげに自慢していた。

「はーっははは! 見ろ、新宮! 100枚だ! ふっ、こんなに集めらるのは、私だけだな」
「でしょうね」
 冷めた目で、アラサーの女を見つめる。
 よく見れば、大半の福引券は、汚れたり、雨で濡れてグニャグニャに歪んでいるもので占めている。
 これ、持って行くのかよ。恥ずかしい。


 店内の奥にあるくじコーナーに向かい、宗像先生は、大量の紙切れをカウンターへと放り投げる。
 若い男性店員が、数えるのに必死だ。
「ひゃ、100枚なので、10回くじを回せます……」
 店員さん、拾っているのに気がついているだろ。めっちゃ、ドン引きじゃん。
「はーっははは! そうかそうか、新宮。今日は先生のおごりだ。お前が回していいぞ。その代わり、商品は全部先生がもらうからな!」
 いらねーよ。
 並べられている商品がそんなに大したもんじゃないもん。
 ティッシュ、トイレットペーパー、シャンプー、タオル、アメとか……。

 俺は抽選器を計10回も連続で回した。
 こんなに回すの、生まれて初めて。
 玉が出る度に、店員がベルを鳴らす。
「一等大当たり~! トイレットペーパーでーす!」
 なにこれ、全然うれしくない。
「……」
 無言の俺に対し、宗像先生はその場でジャンプして大喜び。
 もちろん、バカみたいにデカい乳がブルンブルン震えて。
「しゃあーっ! これでトイレに困らないな!」
 その後も、シャンプーが当たったり。
「よっし! でかした、新宮。これで髪のパサつきが、しばらく無くなるぞ!」
「……」
 なんか一周回って、この人が可哀想に思えてきたのは、俺だけでしょうか?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...