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第二十九章 女教師観察日記
先生とデート2
しおりを挟むパチンコでボロ儲けした宗像先生は、
「ヒャッハー! 換金してくるわ♪」
とスキップしながら、店の奥にある謎の建物に直行。
俺は先生を待っている間、パチンコ屋の駐車場でスマホを確認する。
通知が酷いことになっていた。
アンナの怒涛のL●NEが112件も。
次にひなたから、電話やメールが数件。
かなり心配しているようだ。
返事だけでも打っておくかと、スマホのアプリを開き、メッセージを作成しようとした瞬間。
「おい、なにやってんだ? 新宮」
と背後から声をかけられた。
「あ、いや。宗像先生、ひなたやアンナに連絡を……」
「必要ない!」
そう言うと、俺のスマホを取り上げ、電源を強制シャットダウン。
「あ……」
「バカモン! これは没収だ。デート中に女性の前でスマホをいじるなんて、最低の行為だぞ? 取材にならないだろ……それこそ、あれだ。付き合っている女性の目の前で、エロ動画見て自家発電するぐらい失礼だ!」
「ええ……」
初めて聞いたわ、そんな表現。
俺はスマホを諦め、宗像先生の言う大人のデートとやらを、再開するのであった。
先生が次に向かった場所は、ドラッグストア『森林』だ。
何か買い物をするのか? と訊ねたが、首を横に振る。
「ま、見ていろ。これが年の功というやつだ」
入口を抜けてすぐにある、カート置き場で立ち止まる。
積まれたカゴを一つ一つ持ち上げて中を確認する。
「ちっ、ないな……」
すると次は、カートを一台ずつ、出しては直してを繰り返す。
「ないな……」
なにかを一生懸命探しているようだ。
「宗像先生? なにか忘れ物ですか?」
「ああ。ドラ森は500円以上買い物をするとな。福引券が一枚出るんだよ」
「福引券? それがどうしたんですか?」
「たまに要らないって、捨てて行く客がいるんだよ」
ニヤリと怪しく微笑む。
乞食じゃねーか。
カート置き場を諦めた先生は、店内に入っても買い物はせず、また福引券を探し始めた。
「いいか、一番落ちている確率が高いのは、サッカー台だ。買い物終わりの客が商品を詰め終わったあと。捨てて行くんだ。10枚集めないとくじができないからって、諦める奴が多いんだよ。さ、新宮も探せ探せ」
「えぇ……」
俺と宗像先生はレジ近くで、コソコソと福引券を探す不審者と化してしまう。
~10分後~
「新宮、そっちはどうだ? 私は30枚もゲットしたぞ!」
よくもそんなに拾ったな。
「俺は2枚ぐらいですね……」
なにやってんだろ、俺。
「そうかぁ、じゃあ、あと8枚でくじが出来るなぁ~ よし、奥の手を使おう! レジの下やサッカー台の下を見てみよう!」
「う、ウソでしょ?」
「バカヤロー! これが大人の生き方ってもんだ。しっかり取材して覚えておけよ!」
そう言ってかがみ込むと、床の上で四つん這いになり、サッカー台の隙間に手を入れて、探し出す。
他の客から見たら、ケツをブリッとこちらに向ける痴女だ。
しかも、宗像先生はローライズのショーパンだから、ちょっと、はみ尻しちゃっている。
「う~ん……おお、あったぞ! 新宮、こっちこっち! お前も速く取れ!」
もう嫌だ。恥ずかしくて死にそう。
40枚も集めた宗像先生は満足したらしく、
「くじを楽しむぞ!」
なんて喜んでいる。
これって、犯罪なのでは?
どっかのマンガかアニメで、似たような事をしていたような……。
あ、アレだ。ジ●ジョのしげちーのスタンドじゃん。
宗像先生は今日のくじ引きのために、他にもくまなく探しまくったらしく、駐車場や近くの自動販売機の下も這いつくばって、福引券を大量にゲットしたと誇らしげに自慢していた。
「はーっははは! 見ろ、新宮! 100枚だ! ふっ、こんなに集めらるのは、私だけだな」
「でしょうね」
冷めた目で、アラサーの女を見つめる。
よく見れば、大半の福引券は、汚れたり、雨で濡れてグニャグニャに歪んでいるもので占めている。
これ、持って行くのかよ。恥ずかしい。
店内の奥にあるくじコーナーに向かい、宗像先生は、大量の紙切れをカウンターへと放り投げる。
若い男性店員が、数えるのに必死だ。
「ひゃ、100枚なので、10回くじを回せます……」
店員さん、拾っているのに気がついているだろ。めっちゃ、ドン引きじゃん。
「はーっははは! そうかそうか、新宮。今日は先生のおごりだ。お前が回していいぞ。その代わり、商品は全部先生がもらうからな!」
いらねーよ。
並べられている商品がそんなに大したもんじゃないもん。
ティッシュ、トイレットペーパー、シャンプー、タオル、アメとか……。
俺は抽選器を計10回も連続で回した。
こんなに回すの、生まれて初めて。
玉が出る度に、店員がベルを鳴らす。
「一等大当たり~! トイレットペーパーでーす!」
なにこれ、全然うれしくない。
「……」
無言の俺に対し、宗像先生はその場でジャンプして大喜び。
もちろん、バカみたいにデカい乳がブルンブルン震えて。
「しゃあーっ! これでトイレに困らないな!」
その後も、シャンプーが当たったり。
「よっし! でかした、新宮。これで髪のパサつきが、しばらく無くなるぞ!」
「……」
なんか一周回って、この人が可哀想に思えてきたのは、俺だけでしょうか?
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