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第二十六章 真夏の夜の部

等価交換

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 お尻処女が逝ってしまったことに対し、俺は便座の上で手と手を合わせて黙とう……もちろん、号泣して。

 しばらくすると、扉がノックされた。
「タッくん? 大丈夫? そんなに痛いの?」
 アンナが心配そうに声をかけてくる。
「ふぅ……」
 よし気持ちの切り替えOK!
 張り切っていこう!

 便座から立ち上がって、扉越しに返事をしてみる。
「ああ。痛くないぞ。ちょっと驚いただけだ。問題ない」
 本当は大有りなんだけどね。
「そっか☆ じゃあ、代わりの着替えを渡したいから、ドアの鍵開けてくれる? 今のタッくんは……裸だろうから、アンナは目を瞑るね?」
 そう言えば、尻へのダメージばかり考慮していて、自分の身なりを気にしていなかった。
 まだ生まれたばかりの姿じゃないか。
「すまんな。今開けるよ」
 鍵を外しゆっくり扉を開く。

 アンナが廊下に立っていた。
 いつもキラキラと輝くグリーンアイズは、ぎゅっと瞼で閉じてしまっている。
 そんなに俺の裸が嫌なのか?

 小さな両手には白いバスローブと……ん?
 ピンクのなにか、小さく丸く折りたたんでいるハンカチ?

「タッくん、これ使って。浴衣はもうシミが取れなかったし」
「ああ……じゃあ、トイレの中で着て来るよ」
「うん。その、渡したのって……まだ一回ぐらいしか、使ってないやつだし。洗濯もしているキレイなやつだから、気にしないでね。アンナだって、タッくんに他の女の子のを履かれたくないから……。仕方ないから、今回だけ特別だよ? 福岡に帰ったら、ソレ捨てていいから」
「ん?」
 頬を赤くしている。
 その姿からして、恥ずかしがっているのか?
 要領を得られないでいた俺は、首を傾げながら、とりあえず差し出された物を受け取り、再び扉を閉めた。

 ホテルのトイレはユニットバス式だったから、隣りにシャワールームがある。
 小さなカゴがあって、そこにアンナから受け取った物を置き、着替えを始めた。

 まずはバスローブを羽織ってみる。
 ノーパンで過ごせってことか……。
 まあ仕方ないか、なんてローブの紐を結ぼうとした瞬間。
 あるものに気がつく。
 もう一つの物体だ。
 ピンクの小さな丸くて柔らかい生地の……。
 カゴから手に取って、広げてみる。

「こ、これは!?」

 ピンクの可愛らしいリボン付き、正真正銘女の子のパンティーじゃあないか!
 アンナが頬を赤くしていた理由は、このことだったのか……。
 た、確かに、これは素晴らしい提案、いやカノジョ役には辛いことをさせてしまったな。
 しかし、ノーパンで福岡に帰るよりはマシだろう。

「よし、やるか」

 深呼吸した後、ゆっくりとうら若き女子のおパンツを足先からすぅーっと太ももまであげてみる。
 き、きつい……宗像先生の汚パンツとは違って、細すぎるウエストに、小桃サイズのヒップ。
 男の俺からしたら、ギチギチだ。

 腰まで全部履き終えると、なんとも言えない高揚感が湧き上がってくる。
 見慣れないリボンが股間の上にあり、下の生地はスイートピーがキレイに刺繍されている。
 男もののパンツなら、前面は余裕があるはずだが、これは締め付けられるぐらいのデザイン。
 痛い。だが、それも含んで、アンナに包まれているような優しさを感じてしまう。
 ふと、自身の尻を撫で回してみた。
 後ろの生地は前面と違い、サテンのようなツルツルとした生地で、なんとも肌触りが良く、とある誤解を生んでしまう。
 それは……。

「あれ。俺って今、間接的にアンナの尻を撫で回しているのでは?」

 そう思うと、胸がバクバクとうるさく高鳴る。
 鼻息が荒くなり、理性がブッ飛ぶ。

 自然と俺の股間がパンパンに膨れ上がろうとしたその瞬間、ギチィ~ッとアンナのパンティーがそれを強制的に抑え込む。

『いやぁ! タッくんたら、ダメェ~!』

 なんておパンツちゃんが叫んでいるようだった。

「ふぅ」
 さ、部屋に戻ろう。
 福岡に帰るのが楽しみだ。これは小説の取材した結果だ。
 資料としてちゃんと保管しておこう。
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