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第七章 パニックパニック!
ヒロインにはモデルがいる
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「で? そのラブコメのプロットは?」
宗像先生が目で殺しにかかる。
これは出さないとレポートを増やされる……。
「わ、わかりましたよ……てか、宗像先生は関係なくないですか?」
「あぁん!?」
だからその恐ろしい眼光を放つのをやめてくれよ。
「だ、出します……」
観念した俺はリュックサックからノートPCを取り出した。
もち、校則違反だけど。
起動すると、すぐに書きかけのテキストファイルを開く。
すると白金、宗像先生、ミハイルが顔を寄せてモニターをのぞき込む。
タイトル:未定
主人公:オタクの高校生。
ヒロイン:同級生でハーフ美人の女の子。普段はショーパンにタンクトップとボーイッシュだが、
デートするときは主人公好みな女の子らしいガーリーなファッションを好む。
備考:主人公だけが大好き。
「……」
ミハイルが顔を真っ赤にして、口を真一文字にする。
そりゃそうだろな、これってミハイル=アンナのことだからな。
「ほう……新宮。お前、女を自分色に染めるタイプか?」
宗像先生がニタニタと笑う。
これはいじめだ!
「い、いえ。あくまでもフィクションですよ……やだな、先生」
苦笑いが言い訳を助長させる。
「DOセンセイ! なんですか、このヒロイン!」
白金はテーブルを叩いて、眉間にしわを寄せていた。
「なんだ? やはり、ボツか?」
「……いえ、このヒロインは合格です! センセイの作品の中で一番、キャラ立ちしていて、なによりライトノベルの読者がほぼ童貞というリサーチ結果をふんでの構想。実にすばらしいです!」
おまえ、読者様になんてことを言ってんだ!
非童貞もいるだろ! 知らんけど。
「そ、そうか……じゃあ主人公はどうする?」
「うーん、こんな可愛いヒロインさんが、べた惚れになる男なんてこの世にいます?」
ここにおるんだが。
「日葵。お前、本当に出版社の人間か?」
横から入る外部の人間。
「なぁに? 蘭ちゃんは素人じゃん。黙っててよ。それともなんかいい案があるの?」
白金がムキになっていると、それをあざ笑う宗像先生。
「だってあれだろ。フィクションだろうと、新宮は取材しないとダメな作家なんだろ?」
「……?」
なんか嫌な予感。
「こうしろ、主人公は新宮本人をモデルにすればいい」
「はぁ? DOセンセイを?」
「ヒロインもモデルがいるんだろ? なら主人公は新宮でいいじゃないか?」
クッ、俺が一番危惧していた展開だ。
「なるほど……DOセンセイ! それでいきましょう! 主人公はDOセンセイ本人で!」
「嫌だと言ったら?」
俺が震えた声で尋ねる。
「断ったら、これまでの数々の経費を却下しますよ!」
経費、それはなんてすばらしい言葉なのだろう。
仕事に関わるものであれば、なんだって所属している出版社が支払ってくれるのだ。
ちなみに俺の今月の経費はほぼ映画の料金だ。
たぶん3万ぐらい……。
「や、やるよ……」
「これで決まりですね! 引き続き、その取材対象の方に恋愛を教わってください♪ これは業務連絡ですからね♪」
ニコリと笑う白金。しかし、目が笑ってねぇ。
「了解した」
ミハイルに目をやると顔を真っ赤にして、床ちゃんとお友達している。
ふむ……これは面倒なことになったな。
~帰り道~
「なあ本当に良かったのか、ミハイル?」
うなだれる彼に声をかけた。
「え、え……オレ?」
額から汗が尋常じゃないぐらい流れているぞ。
「ああ、お前の……いとこに迷惑かけてないか?」
なんか言葉遊びになってない?
「アンナのことか? なら、大丈夫! タクトのこと気に入っているらしいから☆」
なに、この遠回しな『I・LOVE・YOU』わ。
「まあアンナがいいなら構わんが」
「大丈夫だって☆ オレのいとこなんだから」
お前にいとこがいたら、ヒドイ目にあっているんだろうな。
「そうだ☆ 今朝、アンナからオレにL●NEが届いてさ……」
自分から自分にL●NEって、病んでない?
「タクトとアンナって、一緒にプリクラ撮ったらしいじゃん?」
可愛らしい夢の国のネッキーがショーパンからニョキッと現れる。
「やぁ、ボクの名前はネッキー。今日はとっても天気がいいね! 一緒にひきこもろう!」
なんていいそうだな。
「なに言っているんだ? タクト?」
ネッキーをおもちゃにしたせいか、ミハイルさんに睨まれた。
スマホを手にとると、スワイプする。
待ち受け画面がでた瞬間、俺は愕然とした。
「タクトの写真だから待ち受けにしちゃった☆」
しちゃった☆ じゃねー!
引きつった笑顔の俺と女装したミハイル……つまりはアンナとのツーショット写真。
情報がダダ漏れじゃないか。
「そうか……なあ、その写真、どうやって送られてきたんだ? アンナがスマホでプリクラを撮ったのか?」
いわゆるデジタルフォトに近いものであったので、興味がわいた。
「これ、知らないの。タクト?」
「え? なにがだ」
「プリクラ撮ったらIDとか書いてあるじゃん? バーコードとか」
「そんなものあったか?」
「あったよ! そのIDとかバーコード使うと、無料でサイトからダウンロードできるんだよ☆」
「なるほどな……俺も帰ってダウンロードしてみるか」
そう言うと、ミハイルは嬉しそうにニッコリ笑った。
「オレの写真、メールで転送してやるよ☆」
「す、すまんな……」
その作業はアンナちゃんにやらせてよくね?
色々と手順が面倒な多重人格さんだな。
駄弁りながら、俺とミハイルは赤井駅に向かった。
そして電車に乗ると、今回は真島駅で降りるのではなく、席内駅で二人して降りた。
「さあ、タクト☆ オレが席内を案内してやるよ☆」
「了解した」
案内されるまでもないだろ……。
宗像先生が目で殺しにかかる。
これは出さないとレポートを増やされる……。
「わ、わかりましたよ……てか、宗像先生は関係なくないですか?」
「あぁん!?」
だからその恐ろしい眼光を放つのをやめてくれよ。
「だ、出します……」
観念した俺はリュックサックからノートPCを取り出した。
もち、校則違反だけど。
起動すると、すぐに書きかけのテキストファイルを開く。
すると白金、宗像先生、ミハイルが顔を寄せてモニターをのぞき込む。
タイトル:未定
主人公:オタクの高校生。
ヒロイン:同級生でハーフ美人の女の子。普段はショーパンにタンクトップとボーイッシュだが、
デートするときは主人公好みな女の子らしいガーリーなファッションを好む。
備考:主人公だけが大好き。
「……」
ミハイルが顔を真っ赤にして、口を真一文字にする。
そりゃそうだろな、これってミハイル=アンナのことだからな。
「ほう……新宮。お前、女を自分色に染めるタイプか?」
宗像先生がニタニタと笑う。
これはいじめだ!
「い、いえ。あくまでもフィクションですよ……やだな、先生」
苦笑いが言い訳を助長させる。
「DOセンセイ! なんですか、このヒロイン!」
白金はテーブルを叩いて、眉間にしわを寄せていた。
「なんだ? やはり、ボツか?」
「……いえ、このヒロインは合格です! センセイの作品の中で一番、キャラ立ちしていて、なによりライトノベルの読者がほぼ童貞というリサーチ結果をふんでの構想。実にすばらしいです!」
おまえ、読者様になんてことを言ってんだ!
非童貞もいるだろ! 知らんけど。
「そ、そうか……じゃあ主人公はどうする?」
「うーん、こんな可愛いヒロインさんが、べた惚れになる男なんてこの世にいます?」
ここにおるんだが。
「日葵。お前、本当に出版社の人間か?」
横から入る外部の人間。
「なぁに? 蘭ちゃんは素人じゃん。黙っててよ。それともなんかいい案があるの?」
白金がムキになっていると、それをあざ笑う宗像先生。
「だってあれだろ。フィクションだろうと、新宮は取材しないとダメな作家なんだろ?」
「……?」
なんか嫌な予感。
「こうしろ、主人公は新宮本人をモデルにすればいい」
「はぁ? DOセンセイを?」
「ヒロインもモデルがいるんだろ? なら主人公は新宮でいいじゃないか?」
クッ、俺が一番危惧していた展開だ。
「なるほど……DOセンセイ! それでいきましょう! 主人公はDOセンセイ本人で!」
「嫌だと言ったら?」
俺が震えた声で尋ねる。
「断ったら、これまでの数々の経費を却下しますよ!」
経費、それはなんてすばらしい言葉なのだろう。
仕事に関わるものであれば、なんだって所属している出版社が支払ってくれるのだ。
ちなみに俺の今月の経費はほぼ映画の料金だ。
たぶん3万ぐらい……。
「や、やるよ……」
「これで決まりですね! 引き続き、その取材対象の方に恋愛を教わってください♪ これは業務連絡ですからね♪」
ニコリと笑う白金。しかし、目が笑ってねぇ。
「了解した」
ミハイルに目をやると顔を真っ赤にして、床ちゃんとお友達している。
ふむ……これは面倒なことになったな。
~帰り道~
「なあ本当に良かったのか、ミハイル?」
うなだれる彼に声をかけた。
「え、え……オレ?」
額から汗が尋常じゃないぐらい流れているぞ。
「ああ、お前の……いとこに迷惑かけてないか?」
なんか言葉遊びになってない?
「アンナのことか? なら、大丈夫! タクトのこと気に入っているらしいから☆」
なに、この遠回しな『I・LOVE・YOU』わ。
「まあアンナがいいなら構わんが」
「大丈夫だって☆ オレのいとこなんだから」
お前にいとこがいたら、ヒドイ目にあっているんだろうな。
「そうだ☆ 今朝、アンナからオレにL●NEが届いてさ……」
自分から自分にL●NEって、病んでない?
「タクトとアンナって、一緒にプリクラ撮ったらしいじゃん?」
可愛らしい夢の国のネッキーがショーパンからニョキッと現れる。
「やぁ、ボクの名前はネッキー。今日はとっても天気がいいね! 一緒にひきこもろう!」
なんていいそうだな。
「なに言っているんだ? タクト?」
ネッキーをおもちゃにしたせいか、ミハイルさんに睨まれた。
スマホを手にとると、スワイプする。
待ち受け画面がでた瞬間、俺は愕然とした。
「タクトの写真だから待ち受けにしちゃった☆」
しちゃった☆ じゃねー!
引きつった笑顔の俺と女装したミハイル……つまりはアンナとのツーショット写真。
情報がダダ漏れじゃないか。
「そうか……なあ、その写真、どうやって送られてきたんだ? アンナがスマホでプリクラを撮ったのか?」
いわゆるデジタルフォトに近いものであったので、興味がわいた。
「これ、知らないの。タクト?」
「え? なにがだ」
「プリクラ撮ったらIDとか書いてあるじゃん? バーコードとか」
「そんなものあったか?」
「あったよ! そのIDとかバーコード使うと、無料でサイトからダウンロードできるんだよ☆」
「なるほどな……俺も帰ってダウンロードしてみるか」
そう言うと、ミハイルは嬉しそうにニッコリ笑った。
「オレの写真、メールで転送してやるよ☆」
「す、すまんな……」
その作業はアンナちゃんにやらせてよくね?
色々と手順が面倒な多重人格さんだな。
駄弁りながら、俺とミハイルは赤井駅に向かった。
そして電車に乗ると、今回は真島駅で降りるのではなく、席内駅で二人して降りた。
「さあ、タクト☆ オレが席内を案内してやるよ☆」
「了解した」
案内されるまでもないだろ……。
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