上 下
46 / 490
第七章 パニックパニック!

オワコン授業

しおりを挟む

 鬼教師こと宗像 蘭から、どうにか難を逃れることができた勇者タクトと聖女ミハイル一行。
 果たして、痴女魔王のセクハラから逃れ、一ツ橋高校に平和をもたらすことができるのか!?


「ふむ……ちがうな」
 俺は机の上に置いていたノートPCに、くだらない文章を書き起こしていた。
 
 隣りのミハイルは可愛らしい寝息とともに夢の中だ。

 ちなみに現代社会の授業中である。
 俺とミハイル以外も、各々が好きなことをしている。

 当の教壇に立つ若い無精ひげの教師は、コトを見なかったかのように授業を進める。
 そう、無法地帯と化したのだ。
 
 教師の話すことも、ほぼ毎日、ラジオやレポートで習ったことばかりで、『学ぶ』必要性が皆無なのだ。

 ので、俺は小説のプロット作成に勤しむ。
 ミハイルは徹夜でL●NEしていたので、安眠す。
 
 だが、まじめに勉強しているものもいた。
 俺の左側に、眼鏡女子の北神 ほのかがいて、慌てて教師のいうことをノートに写している。
 それ、やる必要ある?
 
 また北神の近くには真面目グループ、つまりは非リア充の一派が色薄く存在していた。
 頭を見ればわかる。
 なぜならば、皆、髪の色が地毛。
 つまり、黒なのだ。
 おもしろいぐらいに真っ黒。
 ま、俺もそのうちの一人なのだが。

「いやしかし……推しは『YUIKA』で決まりでしょう?」
「兄者。拙者は絶対に『AOI』でござる」

 変な口調に話の内容は、おかっぱ頭の日田の双子だ。
 奴らも二回目のスクーリングにして、飽きが来たようで、オタトークに華を咲かせている。

 本当に酷いクラスだ。
 俺も勉強なぞ、在宅で十分じゃ! と教師をバカにしている。

「で、では……みんなに聞きたいことがあるんだけど」
 現代社会のモブ教師がわざとらしく、咳払いをする。
「きみたちは既に18歳になった人もいるだろう……あと数日で選挙だね」
 なにが言いたいんだ。

 俺もキーボードの手をとめる。

「このなかで選挙に行く人は?」
 今日初めて見える笑顔だな、モブ教師。
 そんなに選挙に行きたいのか、それとも自分の好きな『美人すぎる政治家』にでも一票、投票させたいのか?

 一人が手をあげる。
 俺の隣りにいた北神だった。
「わ、私……今月で18歳なので」
 顔を真っ赤にして手をあげている。
 相変わらずの白ブラウスに、紺のプリーツスカート。
 まんま現役JKだよ。
 全日制の三ツ橋高校の制服組に間違えられそうだ。 
 というか、こいつ。俺とタメだったのか。

「そ、そう! えらいね~ センセイ、関心しちゃう」
 鼻のしたを伸ばして、うれしそうに教壇から北神をみつめる。
 キ、キモッ!

「そっかぁ♪ ええと、名前は?」
 わざわざ教壇から降りて、北神の席まで近づく。

「あ、あの……北神 ほのかですぅ」
「北神さんかぁ、キミ可愛いねぇ♪」
  今、容姿を褒める必要性あるか?
  生徒として見てないだろ。
 止めるべきシーンでは?
 このままでは、北神の貞操がヤバイってばよ!

「おい……」
 俺がいいかけた瞬間だった。

「うぃーす」
 見かけたランプ……じゃなかったハゲ。
 千鳥 力だ。
 て、おい。もう授業はじまって、30分は経ったぞ?
 それでも出席のために、途中からログインする気か。

「おはにょ~」
 このアホな挨拶は奴しかいない。
 伝説のヤンキー『それいけ! ダイコン号』が一人。
 『どビッチのここあ』
 つまりは花鶴 ここあだ。

「あれ? ほのかちゃん、どうしたんだ?」
 困っている北神にハゲが、睨みをきかせる。
 いいぞ、千鳥。もっと凄んでやれ。

「あ、おはよ。千鳥くん……」
 ホッとして、膨らんだブラウスの山が揺れる。
 彼女はいわゆる地味巨乳という奴で、俺からしたらどうでもいいスキルの保持者だ。

「え? 俺の名前を覚えてくれたの?」
 ハゲが照れくさそうに後頭部をかく。
 てか、後ろもツルッツル! そうめんでも流せそう。

 千鳥が北神の席まで足を運ぶと、間に挟まれたモブ教師はうろたえだす。
 公開セクハラを止められて、一安心。

「じゃ、じゃあ授業を再開しよ……」
 言いかけた瞬間だった。

 キンコーンカンコーン。

 この教師はいつもこういう情けない教師なのか?

「あっ、俺たち出席カードもらってないっす」
「あーしも♪」
 図々しいやつらだ。

「は、はい。二人分ね」
 渡すんかい!
 こいつら、何も習ってねーぞ。
 終わっているなこの高校。

 右手に視線をやると、ミハイルはスゥスゥと可愛らしい寝顔を見せてくれる。
 癒されるわ……。

 といって、俺はまたプロット作成に励むのであった。
 学級崩壊してて草。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

女ハッカーのコードネームは @takashi

一宮 沙耶
大衆娯楽
男の子に、子宮と女性の生殖器を移植するとどうなるのか? その後、かっこよく生きる女性ハッカーの物語です。 守護霊がよく喋るので、聞いてみてください。

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

TSしちゃった!

恋愛
朝起きたら突然銀髪美少女になってしまった高校生、宇佐美一輝。 性転換に悩みながら苦しみどういう選択をしていくのか。

性転換マッサージ

廣瀬純一
SF
性転換マッサージに通う人々の話

ニューハーフな生活

フロイライン
恋愛
東京で浪人生活を送るユキこと西村幸洋は、ニューハーフの店でアルバイトを始めるが

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...