言いたくても、やりたくても、できないこと。

味噌村 幸太郎

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本屋

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 僕は昔から本屋が好きです。
 最近、紙の本が売れないせいか、近くにあった本屋がバタバタと潰れていく姿を見ると……。
 とても悲しい気持ちになります。
 
 このまま本屋さんが消えていくと、一体どうなるのでしょうか。
 考えると怖いです。

 ちょっと話が逸れましたが、まだ僕の近所にも本屋さんが一軒あります。
 買う予定がなくても、新刊コーナーや普段見ない棚を覗くのが、とても楽しいです。

 ある日、ライトノベルのコーナーを眺めている時。
 近くに立っていた男子高校生たちが、何やら大きな声で話をしていました。

「あ~ これって、何巻まで買ってたっけ?」
「それ? 俺が持ってるから、貸してやるよ」
「え、マジ? サンクス」
「いいって。俺さ、小遣いとかバイト代、全部ラノベと漫画に使ってるんだよね。多分、今月2万ぐらい使ったんじゃ、ないかな……」

 それを隣りで聞いていた僕は、思わず身体をビクっと震わせてしまう。

(2万円だって? 一冊が700円だとしても、一ヶ月に何十冊買う気なんだ? この子……)

「じゃあ、そろそろ行く?」
「うん。今日はこれとこれ、あれとそれ……ぐらいでいっか!」

 と本日、お買い上げになる商品を確認する男子高校生くん。
 片手で持っているけど、10冊はあるようです。

 それを見た僕は、思った。

(お小遣いやバイト代を全て、ラノベや漫画に全て使うとは)

(なんて、健気な少年なんだ!?)

 
 さて、ここでまた話が脱線しますが……。

 ライトノベルや小説などの文字数は、一冊につき10万文字と聞きます。
 別に宣伝したいわけではないのですが、僕が以前書いたラブコメ作品は、110万文字で完結しました。
 つまり、ライトノベルにして、11冊分になるということです。

 それを思い出した僕は、男子高校生に話しかけます。

「あ、あの……ちょっといいですか?」
「え? なんでしょう……」

 僕はジーパンのポケットから、スマホを取り出し、とある小説投稿サイトを開くと。
 自身が書いた、男の娘ラブコメ作品を彼に見せつけます。

「そんなにお金を使わなくても、無料で小説が読めますよ?」
「え? どういう意味ですか……?」
「僕の書いた作品ですが、今ならこのサイトにて無料で読めます!」
「いや、性癖が全然、違うんでいらないです」
「……」

 その結果、僕は通報された。
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