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23 女性だけのお茶会。
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別部屋にお茶とお菓子が用意されていた。
王妃様、サフィー、セシル様、私という顔ぶれ。
ナキッシュ殿下は、サフィーとの正式な婚約解消がよほど堪えたのか会話にならず、付き人とともに王宮に戻ったようだ。
「本当に情けない」
王妃はため息をついた。
「今回のこと、リリシーヌ嬢には迷惑をかけました。
あれほど愚かとか思わなかったわ」
「とんでもございません。王妃様の手を煩わせてしまって、申し訳ございません。
でも・・・ありがとうございました。正直もうだめだと思いました」
あのお嬢三人衆も、泣きながら謝ってきた。
さすがに懲りたようで、二度と関わらないと言ってきた。
・・・少し寂しい。
なにしてくるか、ちょっと楽しみだったのに。
「どうして殿下が愚行に走るって、わかったのですか。」
私が首をかしげると、王妃が噴き出した。
「愚行って・・不敬よ?あなた」
セシル様にあきれられました。
ああ!
ついホッとして。
「いいのよ。その通りだわ。あれは愚行よね」
笑いながら、許してくださった。
王妃様がおおらかな人で助かった。
「まずね。サフィーちゃんから正式な婚約解消の申し入れがあったの」
王妃様によると、王家としては政治的思惑が絡む以上、できれば婚約は撤回したくない。
そこで、条件を出した。
もし半年以内に王族としてふさわしくない行いをナキッシュ殿下がした時には申し入れを受諾すると約束した。
半年どころか、数日もたなかった。
「でも、決行日がよくわかりましたね。」
「それは、私が殿下の計画をサフィアス様にお話ししたから」
セシル様がにっこりと笑う。
セシル様って、殿下側の人間じゃなかったの?
「さすがにね・・・殿下からの申し出を無下にはできなかったわ」
最初は殿下に恩を売るつもりだったのだという。
風向きが変わったのは、お嬢三人衆が私に絡んできた時。
おバカたちが調子に乗って、余計な情報を私に与えていた。
その様子を見て、計画の成功率は低いと判断。
同じころ、世話係のバーサル様から彼女に接触があり、サフィーとこっそり話し合うことになった。
そこで、サフィーは殿下が動きやすいように総会を欠席するという情報をわざと流した。
「ずいぶん、お利口さんになったものね、セシル嬢。」
「やめてくださる?あなたとは関わりたくないのよ」
セシル様が、心底嫌そうにサフィーを見た。
余程、嫌な目にあったらしい。
確かにセシル様の見た目に騙された。
何もできないか弱い女性じゃない。
状況判断が早くて的確。
そして、強か。
「あなたも大変な人に気に入られたわね。
この人には気に入られても、嫌われても地獄よ?」
同情の目で見られました。
確かに。
「つまり、今回私だけが知らずに囮に使われたと・・・」
「違うのよ!ちゃんと守る自信があったし、死ぬほどの危険はないと思っていたから!」
「ふーーん、死ななければ良いと思っていたと?」
私がさらに追い打ちをかける。
必死に言い訳をするサフィー。
その様子を驚いたように、二人は見ていた。
「なるほどね。あの殿下が嫉妬するわけね」
セシル様があきれている。
「私もそろそろ戻らないと。あの愚息を躾をし直さないとね」
王妃様が微笑むのだけど、凄みを感じるのはなぜだろう。
殿下、がんばれ。
「権力を利用して事を起こせば、もっと大きな権力でつぶされることを今回のことで学んでくれるといいのだけど・・・」
王妃様はそう言って部屋を出ていった。
やっと、ひと段落ついたのだと実感がわいてきた。
「本当に修道院行きになるかと思った。助けてくれてありがとう。」
「この人に言う必要はないと思うわよ。元凶でしょう?」
セシル様が肩をすくめる
「ひどいわね。元凶はバカ殿下よ」
「不敬罪ですわね」
意外と仲が良い二人を見ながら、苦笑した。
お茶のお代わりをもらおうと立あが・・・
あれ?
なんだろう、世界が回る。
「リリ!!」
えっと・・力が入らない。
手足が軽く震える。
立っていられない。
寒い・・・
あ、これ死ぬ時のやつ・・・?・・
目の前が暗くなり、世界からゆっくりとフェードアウトしていく。
遠くにサフィーの声を聴きながら、私は気を失った
王妃様、サフィー、セシル様、私という顔ぶれ。
ナキッシュ殿下は、サフィーとの正式な婚約解消がよほど堪えたのか会話にならず、付き人とともに王宮に戻ったようだ。
「本当に情けない」
王妃はため息をついた。
「今回のこと、リリシーヌ嬢には迷惑をかけました。
あれほど愚かとか思わなかったわ」
「とんでもございません。王妃様の手を煩わせてしまって、申し訳ございません。
でも・・・ありがとうございました。正直もうだめだと思いました」
あのお嬢三人衆も、泣きながら謝ってきた。
さすがに懲りたようで、二度と関わらないと言ってきた。
・・・少し寂しい。
なにしてくるか、ちょっと楽しみだったのに。
「どうして殿下が愚行に走るって、わかったのですか。」
私が首をかしげると、王妃が噴き出した。
「愚行って・・不敬よ?あなた」
セシル様にあきれられました。
ああ!
ついホッとして。
「いいのよ。その通りだわ。あれは愚行よね」
笑いながら、許してくださった。
王妃様がおおらかな人で助かった。
「まずね。サフィーちゃんから正式な婚約解消の申し入れがあったの」
王妃様によると、王家としては政治的思惑が絡む以上、できれば婚約は撤回したくない。
そこで、条件を出した。
もし半年以内に王族としてふさわしくない行いをナキッシュ殿下がした時には申し入れを受諾すると約束した。
半年どころか、数日もたなかった。
「でも、決行日がよくわかりましたね。」
「それは、私が殿下の計画をサフィアス様にお話ししたから」
セシル様がにっこりと笑う。
セシル様って、殿下側の人間じゃなかったの?
「さすがにね・・・殿下からの申し出を無下にはできなかったわ」
最初は殿下に恩を売るつもりだったのだという。
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おバカたちが調子に乗って、余計な情報を私に与えていた。
その様子を見て、計画の成功率は低いと判断。
同じころ、世話係のバーサル様から彼女に接触があり、サフィーとこっそり話し合うことになった。
そこで、サフィーは殿下が動きやすいように総会を欠席するという情報をわざと流した。
「ずいぶん、お利口さんになったものね、セシル嬢。」
「やめてくださる?あなたとは関わりたくないのよ」
セシル様が、心底嫌そうにサフィーを見た。
余程、嫌な目にあったらしい。
確かにセシル様の見た目に騙された。
何もできないか弱い女性じゃない。
状況判断が早くて的確。
そして、強か。
「あなたも大変な人に気に入られたわね。
この人には気に入られても、嫌われても地獄よ?」
同情の目で見られました。
確かに。
「つまり、今回私だけが知らずに囮に使われたと・・・」
「違うのよ!ちゃんと守る自信があったし、死ぬほどの危険はないと思っていたから!」
「ふーーん、死ななければ良いと思っていたと?」
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必死に言い訳をするサフィー。
その様子を驚いたように、二人は見ていた。
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セシル様があきれている。
「私もそろそろ戻らないと。あの愚息を躾をし直さないとね」
王妃様が微笑むのだけど、凄みを感じるのはなぜだろう。
殿下、がんばれ。
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王妃様はそう言って部屋を出ていった。
やっと、ひと段落ついたのだと実感がわいてきた。
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「この人に言う必要はないと思うわよ。元凶でしょう?」
セシル様が肩をすくめる
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「不敬罪ですわね」
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あれ?
なんだろう、世界が回る。
「リリ!!」
えっと・・力が入らない。
手足が軽く震える。
立っていられない。
寒い・・・
あ、これ死ぬ時のやつ・・・?・・
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