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10 解放、自由、捕獲。
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週末。
久しぶりに、すべてからの解放。。
サフィーは家の事情で会えない。
「ごめんなさい、今週は一緒にいられないわ。次回、埋め合わせするから」
そう言って、公爵家に帰っていった。
サフィーのこと嫌いじゃないけど、たまには家に帰って。
むしろ、私に自由時間をください。
あれ以来、三人衆は嫌がらせをしてくることはなくなった。
遠巻きに睨んでくるくらいかな。
サフィーのおかげなのだけど・・・だけど。
何かあれば、公爵令嬢が出てくると噂になり・・・ほかの令嬢からも遠巻きにされるようになりまして。
サフィーのせいだね!
公爵令嬢とのパイプなんて、プラスマイナスでやっぱりマイナス。
羨望と嫉妬と畏怖。
何この状況。
羨ましいなら、かわってくれませんか?
むしろ、代わって。
伏してお願い。
なにしろ、「ほぼボッチ」から「完全ボッチ」に進化ですよ。
むしろ、社会動物としては退化ですよ。
目から、何かがあふれてくるよ。
いいよー。
一人を楽しむんだ。
サビシクナンテナイヨ。
「本当によろしいのですか?」
街への買い物についてきてくれたメイドのリムが、心配そうに尋ねる。
「構わないわ。
一時間くらいなら、あそこのお店でパンケーキを食べながら待っているから」
貴族の端くれなので、買い物のお供にリムが付いてきてくれたのだけど・・・会いたい人がいるらしい。
下っ端メイドじゃ、お休みなんてなかなか取れないものね。
彼氏に会って充電してくるといいよ。
「はい!ありがとうございます。」
駆け足で去っていった。
リムはいつもよく働いててくれるし、少しくらい息抜きをさせてあげなくちゃね。
お店の扉をくぐる。
・・・・・・・混んでる。
美味しいし、知る人ぞ、知るというお店だけど。
いつもは、ここまで混まないのに。
「いらっしゃいませ」
「空いている席はあるかしら?」
「申し訳ございません」
困った。
待ち合わせしている以上、別のお店にいくわけにもいかない。
その時、男性が近づいてきて店長に耳打ちをした。
店長が少し驚き、頷いた。
「相席になりますが、よろしいでしょうか」
「えっと・・・」
知らない人は少し抵抗がある。
やわらかい笑みを浮かべた男性が、こちらを向く。
「私の主が、ぜひお嬢様にご一緒していただけないかと。
いかがでしょう?」
男性は品が良く、荒くれものには見えない。
精悍な雰囲気をまとっている・・・貴族とかの護衛の方?
「決して、怪しいものではありません。そこは店長が保証してくださるはずです」
店長を見るとこくりと頷いた。
「わかりました。よろしくお願いします」
「こちらへ」
男性の後についていく。
二階のテラス席。
中庭が見える人気の場所。
え?・・・人がいない。
まさかの貸し切り?
「どうぞ」
案内された席に、優雅にくつろいでいる人がいた。
お店が混んでいた原因はこの人か。
「やぁ、奇遇だね」
サフィーの婚約者。
キラキラとした笑顔のナキッシュ殿下がそこにいた。
久しぶりに、すべてからの解放。。
サフィーは家の事情で会えない。
「ごめんなさい、今週は一緒にいられないわ。次回、埋め合わせするから」
そう言って、公爵家に帰っていった。
サフィーのこと嫌いじゃないけど、たまには家に帰って。
むしろ、私に自由時間をください。
あれ以来、三人衆は嫌がらせをしてくることはなくなった。
遠巻きに睨んでくるくらいかな。
サフィーのおかげなのだけど・・・だけど。
何かあれば、公爵令嬢が出てくると噂になり・・・ほかの令嬢からも遠巻きにされるようになりまして。
サフィーのせいだね!
公爵令嬢とのパイプなんて、プラスマイナスでやっぱりマイナス。
羨望と嫉妬と畏怖。
何この状況。
羨ましいなら、かわってくれませんか?
むしろ、代わって。
伏してお願い。
なにしろ、「ほぼボッチ」から「完全ボッチ」に進化ですよ。
むしろ、社会動物としては退化ですよ。
目から、何かがあふれてくるよ。
いいよー。
一人を楽しむんだ。
サビシクナンテナイヨ。
「本当によろしいのですか?」
街への買い物についてきてくれたメイドのリムが、心配そうに尋ねる。
「構わないわ。
一時間くらいなら、あそこのお店でパンケーキを食べながら待っているから」
貴族の端くれなので、買い物のお供にリムが付いてきてくれたのだけど・・・会いたい人がいるらしい。
下っ端メイドじゃ、お休みなんてなかなか取れないものね。
彼氏に会って充電してくるといいよ。
「はい!ありがとうございます。」
駆け足で去っていった。
リムはいつもよく働いててくれるし、少しくらい息抜きをさせてあげなくちゃね。
お店の扉をくぐる。
・・・・・・・混んでる。
美味しいし、知る人ぞ、知るというお店だけど。
いつもは、ここまで混まないのに。
「いらっしゃいませ」
「空いている席はあるかしら?」
「申し訳ございません」
困った。
待ち合わせしている以上、別のお店にいくわけにもいかない。
その時、男性が近づいてきて店長に耳打ちをした。
店長が少し驚き、頷いた。
「相席になりますが、よろしいでしょうか」
「えっと・・・」
知らない人は少し抵抗がある。
やわらかい笑みを浮かべた男性が、こちらを向く。
「私の主が、ぜひお嬢様にご一緒していただけないかと。
いかがでしょう?」
男性は品が良く、荒くれものには見えない。
精悍な雰囲気をまとっている・・・貴族とかの護衛の方?
「決して、怪しいものではありません。そこは店長が保証してくださるはずです」
店長を見るとこくりと頷いた。
「わかりました。よろしくお願いします」
「こちらへ」
男性の後についていく。
二階のテラス席。
中庭が見える人気の場所。
え?・・・人がいない。
まさかの貸し切り?
「どうぞ」
案内された席に、優雅にくつろいでいる人がいた。
お店が混んでいた原因はこの人か。
「やぁ、奇遇だね」
サフィーの婚約者。
キラキラとした笑顔のナキッシュ殿下がそこにいた。
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