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9 広い知識と深い教養の使い方。

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ランチを終え、ぐったりと疲れて教室へ向かう途中。

いました。
嫌がらせトリオが。

こっちに歩いてくるけど、相手にしたくないなぁ。

見えないことにしよう。
そうしよう。

「ちょっと!」

あ~いい天気だなぁ。
帰ったら、甘めのチョコクッキーが食べたいな。

「ちょっと、失礼じゃなくて!」

回り込んできた。
ため息が出る。
相手にしないとダメ?

「何か?」
「何か?じゃないわよ。先ほどの件はどうなりましたの?」

なにかあったけ?
首を傾げる。

「知らないふりなんて、おふざけがすぎますわね。サフィアス様に取次をするようにいったわよね」
「本来なら、あなたの方から出向くべきなのに。ほんと、子爵風情は気が利かなくて困りますわ」
「待っていてくださるなんて、ダーナ様はお優しい」

待っていて欲しいなんて言ってないし、取次も紹介もする気はないのですが。

「折角、仲間に入ることを許そうとしてくださるダーナ様のお気遣いに報いようという気持ちがないなんて・・・淑女としてどうなのかしら?」

えっと・・・
人の話を聞かないあなたたちは、人としてどうなのかしら?

あ、ちょっと心がささくれてるかも。

言い返しそうになる言葉をぐっとこらえる。

私は大人。
私は大人。
私は大人。

とりあえず、3回手のひらに書いて飲み込めばいいかな。

「あななたち、おやめなさい」

ダーナ嬢が二人を制する。

「そんな風に責め立ててはいけないわ。彼女はもったいぶって、私たちを焦らしているのだから」
「そうなのですね。なんて身の程知らずな」

ダーナ嬢が一歩前に出る。

「焦らすのはもう十分でしょう?それで何時紹介していただけるのかしら?」

頭大丈夫かな?この子たち。

私、一言も『紹介する』などと言ってないのだけど。
【勝手な未来予想図】という妄想はやめてほしい。

「私のお友だちになんの御用かしら?」

あれ?いつの間に?
気配なかったよね。

「サフィアス様・・・」

三人も気が付かなかったらしい。

「リシー、困りごと?」
「それがね・・・」
「ち、違います!」

私が口を開くより早く、ダーナ嬢が割って入る。

まだ何も言ってないし。
大体、サフィーの許可なしに会話に入り込むのは、マナー違反だって気が付いてる?

「リリシーヌ様が、私たちを【赤き薔薇】様にご紹介してくださるとお約束したのに・・・いつものように意地悪をなさるものですから。」

声を震わせ、涙ぐむ。

いつものように意地悪?
されたことはあったけど。
したことないよ?

あっ、おもちゃのトカゲはいじめに入る?

「そうなの?あなたたち、私のお茶会に参加したいの?」
「は、はい!ぜひ」

にこりと笑うダーナ嬢。
涙ひっこむの、はやっ。

サフィーが異国の言葉で、優しく語りかける。

「は・・え?・・・」

「あら、ご理解できなかったかしら。簡単なベリガグシュ語なのだけど。
その程度もわからずに、どうやって私を楽しませてくださるおつもりなのかしら。」

「そ・・その・・」

「知識教養が、ある程度はお持ちじゃないと、私のお茶会にいらしても楽しめないと思いますのよ。
それでもよろしいのであれば・・・」

「わ、私、午後の授業の準備が・・・失礼しますわ!」

身をひるがえし、去っていくダーナ嬢。
それを追いかけるように残りの二人も去っていった。

ベリガグシュ語って、確か外交官とか妃殿下教育を受けるような方々が習う言語だったと思うけど。

「そんな言葉を話せないとお茶会に参加できないなんて、初めて知ったわ」
「私も知らなかったわ」

サフィーがにこっと笑う。

「それで、なんていったの?」
「失せろ。〇ッチ」
「ちょ!わかる人が聞いたら、サフィーの品位が疑われるでしょうが!」
「心配してくれてるの?」
「違うから!」

サフィーが嬉しそうに、腕に絡みついてきた。





私の神経、もつかな?
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